第45話 ダンジョンクリア
-side エリク-
--ドッカーーン!!
--バッカーーン!!
ボス部屋にいるエリクの目の前では、エンシェントドラゴンとフェンリルvsギガントゴーレムによる怪獣大戦争のような異次元のバトルが繰り広げられている。
「……」
『……』
「なあ、レオンさんや」
『なんだい爺さん?』
「誰が爺さんだ!それよりこの戦い俺ら完全に蚊帳の外なんだけど!?」
今、エリクはレオンの結界に守られている。流石に今のエリクには、ギガントゴーレムの相手はまだ早いと思われたからだ。
『……エリク』
「ん?」
『一緒にしないでくれない?^ ^』
「コ◯ス」
レオンは創造神だ。その気になればダンジョンも破壊できるくらいの力はある。
そんな事はお互いわかっているのだが、とりあえず暇だから煽っとくかみたいなノリで行われた非常に雑な煽りである。
意外と煽り耐性の低いエリクには刺さりまくる。
--GYAAAAAAA!!!
「ん?」
唸り声のする方を見ると、ギガントゴーレムがエリク達の方をガン見して激怒していた。
『なんか怒ってない?』
「もしかして、レオンが煽ったからじゃないか?」
『まっさかー!!天下のエリクさんとギガントゴーレムさんがこんなペーペーの煽りなんて間に受けるわけないじゃーん^ ^煽り耐性なさすぎじゃな〜い?^ ^』
--GYAAAAAAAAA!!!
『あ、これめっちゃ怒ってるわ』
「レオン」
『ん?』
「俺も怒ってる⭐︎」
『ちょちょちょっとまっちちょっとまっち』
「あの世で会おう」
そう言って、エリクとギガントゴーレムは同時にレオンに向かって拳を下げる。
--バッカーーーン!!
レオンはダンジョンの壁にのめり込み意識を失った。その様子を見てうんうんと満足そうに頷くエリク。
「ふう……、これで邪魔者はいなくなった。あいつはちょっとこの世界には欠かせないやつだったが、いい奴だった」
「ゴーゴー!!」
心なしかギガントゴーレムもスッキリした表情だ。
--ジーー
--ジーー
しばらく、特にピリついた雰囲気もなく、見つめ合う。ギガントゴーレムが仲間になりたそうに見ている。なんとなく、こいつとは相性が良いのかもしれないと直感的にエリクは思った。
「なあお前、気が合いそうだな」
「ゴー!」
「俺と一緒に来ないか?」
「ゴーゴー!」
「おーー!一緒に来てくれるのか!こういう時、なんて言うんだっけ?えーっと!?そうだ!テイム!!」
ピカーーッ!!
エリクとギガントゴーレムが光る。
直感的に繋がったような感覚がした。
「あ、なんかテイムできたわ」
「なぬ?ダンジョンボスをテイムできるとは」
“聞いたことがないのう。そのような話”
後ろから様子を見守っていたトールとルークが驚きの声をあげながらくる。
「そうなのか?」
「まあでも、実際にテイム出来ているしな、いいのではないか?」
“そうだのう。細かいことを気にしても仕方あるまいて。それより、キガントゴーレムと戦わずにして、ダンジョンに出れるのはありがたい。ちと、倒すのに骨が折れるからのう”
「そうだな。最悪の場合、ダンジョンを破壊しなければ出られなかった事を考えると、良い結果か」
状況的にはそこまで悪かったのかとエリクは思ったが黙っておく。
2人の視線の先にはダンジョンの出口の階段があり、上からは光が差し込んでいる。
「ようやくダンジョンクリアか。よっし!」
「ゴーゴー!」
「何はともあれ、鬼畜ダンジョンともこれでおさらばだし、仲間も増えたしで大満足だな」
「そうだのう。まあ、これから賑やかになるて」
“そうだのう!!ちとなんか忘れてる感じもするが?”
「……?」
--ピッカーー!
なんだっけ?まあいいか、とりあえずこのダンジョンから出てから考えようと思ったエリクの後ろが神々しく光る。
『こらーー!置いてくな!!』
「あ!そうだ!忘れてた^ ^」
『絶対覚えてたでしょ!?その反応』
「ちょっとこの世界にとって大切そうな人って感じ?」
『ちょっと!?私はこの世界に創造神!この世界になくてはならない存在だろうが!?』
「そうだっけ?」
「本当に必要な存在ならアピールしないだろう。放っておけ」
“無視してとっとと行くかのう”
『えっ!?ちょっと!?確かに色々今まで悪かったけどさ……(早口)、--ってまって!なんでダンジョンボスであるギガントゴーレムギガンをテイムできてるのか詳しく調べようと思ったのにーー!』
--スタスタスタスタ
ちょっと大切なことを話していたつもりだったレオンが早口で色々言い訳している間に無事ダンジョンを去ったエリク達であったのだった。
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