第43話 鬼畜じゃないとは言ってない

-side エリク-



 ミノタウロスとシルバーウルフを倒し終わった一行はそのままダンジョンの中を進んでいく。相変わらず、草原にはミノタウロスやシルバーウルフがちらほら出てくる、エリクはサクサク倒せてはいるが、普通の冒険者なら今頃ひとたまりもないだろう。



「……やっぱり、本当だったら、スライムが出てくる場所。このダンジョンの難易度は高い。見かけによらないと言ったところか」



 エリクは相変わらず、冷静な判断で分析していく。元々、ダンジョンに入る時に難易度が高いということはある程度予想はできていたのでこれくらいは想定内と言ったところだろうか。



『そうだねー』

「どうしたお主、まだ、余裕そうではないか?」



 対する、レオンとトールはまだまだこのダンジョンの真の怖さを発揮できていないと余裕そうである。

 この二人が一番厄介保護者(敵)なのかもしれない。どう考えてもこのダンジョンの難易度は先に伝えた方がいいだろう。

 『短期間で強くなれば、短期間で攻略できるからのう』「たしかに、そうすれば無双しやすくなるねー」と言った発想からこのダンジョンについて言っていないだけなのだが、明らかに厄介。



 --ドシンドシンドシンドシンドシン

 --ドシンドシンドシンドシンドシン


「お、ようやく新しいやつが出てきた、……って、は??」



 一行がステージの1/4くらいを進んだ時ようやく新しい敵が出てきたようだ。

 大きな体に二足歩行の豚、頭には王冠が被ってある。その名もオークキング。それも複数匹が同時に出てきた。



「…… っっ!!こんなところで出てきて良い敵じゃねえ!!ここは本来、オークが出るところだ!!」



 オークがCランクの魔物に対して、オークがAランク。しかも大半がオークを魔物に従えているため、Sランクとされている。

 エリクが怒るのも当然だろう。



 --タッタッタ

 --スパスパスパスパ



 --グアアアアアアアア

 --ギャアアアアアアア



 ……まあ、ステージの難易度に怒りながらもオークキングを全滅させたのは流石と言えよう。これには流石のレオンとトールも“少し強くさせすぎたか”と冷や汗タラタラだ。



「おい、お前ら」

『ギクッ』



 そのままの勢いで後ろを振り向く。

 冷や汗をかいていたレオンとトールはそのままそっぽを向いた。エリクの気迫に勝てないと本能的に察したからだ。



『あっ……、私はこれから用事があるんだった、またねー』

「逃さねーぞ」



 即座に逃げようとした創造神をものすごい力で捕まえる。



『イダイッ!親父にも打たれたことがないのに!!』

「はいダウト。そもそもお前親父いないだろ」

『うつ……、うっ……、うっ……、ママーー!!』

「ママもいないだろ」


 

 レオンは創造神なのだ。

 直接親になる存在はいないだろう。



「エリク、何をそんなに怒っているのだ?」

「このダンジョン、流石に俺にとっては難易度が高すぎないか?トールにとっては普通なのだが」

「ふむ……、それについては大丈夫だエリク。短期間で強くなれば、短期間でダンジョンを攻略できる」

「スパルタすぎるだろう。その発想使えば、どんなダンジョンでも確かに短期間で攻略できるけど」


 

 もしかして、今俺たちはダンジョン攻略RTAでもやっているのだろうか?この二人にしてやられたと今更ながらにエリクは気づく。



「……ともかく、一旦俺は帰る、流石にこのダンジョンを1日でクリアするには力不足だからな。もっと強くならないといけないからな」

『あ、言い忘れてたけど、エリク……』

「ん?」

『このダンジョン、一方通行だから帰れないよ?』

「……あ?」

「正確にいうと帰れるには帰れるのだが、ダンジョンボスと戦わないと帰れないようにできてるのう、帰り際に戦わされる」

「……」



 色々と言いたいことがあり複雑な表情をしているエリクだったが、この先も強制的に進まされる事になったのだった。




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