第40話 拠点づくり1

-side エリク-




 結局、エリク以外の関係者による数日に及ぶ、長い討論の末にデザインの案が決まった。トールの案が採用された。

 理由はエリクが前世の教科書で、見たことのある建物に近い城だったためである。

 最後にエリクがこれがいいと決断したため、このデザインに決まった。



 エリクが前世で見たことのある建物、それはタージマハルのことだ。全体が左右対称の真っ白な大理石で、その建物を構成している美しい装飾も左右対称。美しい池に囲われ、とても幻想的な空間を映し出す、インドにある宮殿。

 日光の光と月明かりによって姿を変え、見るもの全てを圧倒する建物をエリクも建てたいと思ったらしい。



「問題は外壁に使用する白い大理石か……、どうやって、用意するかだな」

『私にかかれば1発で用意できるよ。ほら』



 レオンがそういうと、手のひらからパッと、手元に純白の美しい大理石が浮かぶ。



「う……流石は創造神だが、その方法で作れたとしても、エリクシアの国力を示した事にはならなくないか?自力で用意しないと……」

『まあ、それはあるけど……』

「エリク。確か、白い大理石って、魔法を使えば、結構簡単に、人工的に作れるんじゃなかったっけ?」

「そうなの!?」



 セシルが、助け舟を出してくれる。

 てっきり、山から岩を人が一生懸命に、労力かけて採掘したものを、綺麗にしたものだと思っていた。



「スキル使ってみたら?」

「ああ。[検索]“大理石の作り方”」



◯白い大理石の製造方法◯

1. 原材料の選定:通常、石灰岩や炭酸カルシウムを主成分とするものが使用されます。

2. 材料の粉砕: 選定した原材料を細かく粉砕し、均一な粉末状にします。

3. 材料の混合: 粉末状の原材料を適切に混合し、希望の色調や模様を実現するために顔料などを加えます。

4. 圧縮成形: 材料を所望の大理石の形状に圧縮成形します。これは、高圧および高温の環境で行われることが一般的です。

5. 硬化と加工: 圧縮成形された材料は硬化させ、表面を磨いたりカットしたりして仕上げます。

6. 仕上げと磨き

◯END◯



「ふむ……確かに、この製法だったら魔法を使ったら大量生産もある程度容易に出来るかのう。原料もここには豊富にあるから大丈夫だろうて」

「幸いにも、公爵家に仕えてくれていた者で魔法を使える者は余っているからな。今は冒険者をやってもらっているが、いずれはまた仕えてもらいたいと思っていたものだ」

『なるほどーー。エリクは、家では愛されていたからねえ。わたしもここへ呼ぶときに君と使用人の関係を見て、もっと別の方法があるか色々探ったものだよ』

「それは初耳だ」



 意外とここへ呼ぶのも、レオンなりに色々考えての事だったのだろう。

 もしかしたら、この世界に関わる重大な局面で上手いこと調節したのでは無いかともエリクは思った。……とはいえ、魔王も順調に弱体化しているし、俺たちは今こうして幸せになっているならオッケーだろう。



「外壁は作る目処がある程度経っているとはいえ、そもそも、城をどうやって作るか問題はあるよな。何から手をつけたら良いのか……、無計画に行って、使い勝手が悪くなっては大変だ」

「ふむ……それなら、最初は必要な機能を洗い出して、そこから建築していけば良いのでは無いのかのう?正方形に必要な部屋を建てていけば外壁をつけるのも簡単だろうて」

「ああーー。けど、それだと豆腐ハウスにならない?大理石って、白いし」

「豆腐ハウスって?」

「真っ白くて味気のない正方形ハウス」

『「「ああーー。確かに」」』



 味気のない白い正方形は作るのは簡単だが、それだと城の威厳には欠けるし、一番重要な城の目的を果たせそうにない。



「かと言って、最初に全て決めるのは現実的ではないし……」

「だったら、パクっちゃえば?」

「何を?」

「ほら?エリクの実家は公爵家だっただろう?だったら、公爵家の家については詳しい者が多いわけで、覚えている人たちに聞いて、公爵家を再現すれば良いんだよ!公爵家の屋敷は城にかなり近かったからね!外見は、オリジナルにして」

「なるほど!確かに、それが一番現実的かも!ホームパーティでもして、お世話になった世話係とか久しぶりに会ってみるか!」



 と言うわけで、エリクは、久しぶりに会いたい人物がいたので、ホームパーティの招待状を書くことにしたのだった。



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