第17話 大和の苦悩

大和は悩んでいた。

ひかると付き合うことになり嬉しかったけど、その反面から男女問わず大和にあること無いことを言ってくる人が増えた。

そして、その内容は、ひかるに聞かせるには辛すぎる内容であり、「俺さえ我慢すれば…」と思っていた。

けど、必死に耐えようとしたけど、身体から怒りがこみ上げる。

しかし、暴力沙汰なんて起こしたら秋の大会すら出場不可であり、海外リーグでゴールキーパーとして活躍する夢を潰すことなるし、ひかると付き合うって決めたからこそカッコいい彼氏でいたい。

そんなことを思っていると今日も相変わらず悪口が聞こえてきた。

「ねぇ~聞いたぁ~?大和君って1年の女子とデキてるらしいよ?」とか「もう子供いるんだって?前に、2組の子が見たって言ってたよ」とか「大和の彼女って胸デカイよね?揉んだ感想教えて欲しい」だとか、「大和君は私と付き合うべきよ!」とかいうヒステリックな状態の3年女子もいた。

全くひかるのことをわかって無いなぁと大和は思った。

そして、帰って来るなり自室に戻り塞ぎ込む。

ひかるや紘喜達や母達とは口を聞くことすらしなくなり、ひかるが甘えたり、紘喜達が遊ぼうと来ても「うるさい!あっちいけ」と突き放してしまい、その振る舞いを後悔しては泣き、ストレスからか、ムラムラすることすら無くなっていった。

大和の様にスポーツをしている人は特にそういう気持ちが強くなるが、それすら失くなるのが「男の月のモノ」と呼ばれる現象であり、女性と同じく、骨盤の開閉により起こることであり、開いている時は、ホルモン分泌が溢れているけど、閉じている時は、身体がお休み状態であり、女子とは違う点は、血が出ないという点だけである。

1ヶ月おきに来るのも女子と同じらしい。

ただ、ひかる達女性陣からしたらちょっと羨ましいとすら思う面もある。

血が出ないことがどれだけ幸せなんだと。

大和の話を聞いたひかる達は、「そんなことになってたなんて知らないし、ちゃんと悩んでいたら我慢せず伝えて欲しいよ言わないとわからないから今度からは言ってね?」と大和に伝えた。

大和は、「あぁ~わかったよ」「母さん、ひかるありがとう」と言って、二人の手を握った。

そして、藥を出して貰い、帰ろうとした時に、院長である牧野知佳は、お大事にねぇ~と言った後に、これだけは覚えておいて欲しいと、ある飲料の容器に紅い水を入れた物を見せた。

これは?と聞くと、知佳先生は「このくねっとしてる容器に入るのが月のモノの血の量なんだ」と教えてくれた。

由香里さえも知らない雑学だった。

因みに、鳥をモチーフにしてる野球チームの商品の容器だった。

家に着いた時には、16時になっていた。

「ただいま~」と3人の元気な声が響く。

紘喜達は「お帰りなさい」とひまわりのような笑顔で迎える。

そして、改めて初デートの予定を立てるひかると大和だった。



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