第29話 月愛とテストで勝負
「おい月愛。勉強しなくても良いのか?」
「心配してくださるのですか?」
「うちの花園学校は2年間連続で留年したら退学になるんだぞ」
「そうですね。なので今年から留年するなんて真似はしませんよ」
家で俺が部屋で試験勉強に励んでる中、俺のベッドに寝転びながらジーッと観察してくる月愛が気になって声をかけてしまった。
2日後に試験が控えてるのに今日家に帰って来てから月愛が勉強した痕跡はない。
「そうは言っても勉強してないんじゃ説得力ないぞ」
「前にも言いましたが私は授業中に予習復習を完結させてるので全然大丈夫ですよ」
「どうだかな。そこまで俺とお前の頭脳に違いがないと思ってるけど」
「鍛え方でなんぼでも学習効率に掛け算を掛けることができるんですよ」
「それが本当だとしたら羨ましい限りだな」
授業ないだけで全ての勉強を完結させられたら空き時間がもっと増える。
その間に読書やらダンスの練習かスイッチーズで遊ぶ時間に充てたい。
けれど俄には信じられないな……月愛のことだから見栄を張ってるわけでもなさそうだ。
「本当にそれで大丈夫なのか? まあ赤点は回避出来ても学年のトップ辺りの成績を取るのは無理そうだが」
「私が手を抜いた上でさらに手を抜けば、あるいはそうかもですね」
「テスト勉強を舐めやがって。けどそうだな……1桁台に入ったら何か奢るよ」
その言葉を待ってたのか、月愛の目が怪しく光った。
「颯流くん……どうせならここは一つゲームで賭け事でもしませんか?」
「またゲームか? お前そういうの本当好きだよな」
「んふふっ。内容はシンプルですよ」
「そうか。そこまで言うのなら聞いてやるが」
「分かりました。では詳細を発表しますね」
月愛が簡単に説明したゲームの内容は以下の通りだった。
【中間テストで誰が1位を取るのかゲームの概要・ルール】
・颯流が1位だったら月愛に対する『何でも命令権』を3つ与えられる
・月愛が1位だったら颯流に対する『何でも命令権』を3つ与えられる
・勝負科目は全教科
・合計点数が1番高かった者で優勝者を決める
・月愛が勝利した際、颯流とのエッチなお願いは禁止とする
「なるほどな」
「全科目で勝負して勝ったらなんでも颯流の言うことを3つ伺いますね」
「そして逆も然りと言うことか」
「そう心配にならないで下さい。私が勝っても命令権は健全の範囲内で使いますので」
「もう俺に勝った気でいるのか?」
それはそれで舐められてる気がしてムカつくな。
けれど流石にハッタリじゃないだろうか……いや惑わされるな俺。
俺は1年性の頃から学年1位の成績を維持し続けて来たんだ……俺に敗北の2文字はない。
「んふふっ。負ける姿が想像つきませんね」
「はっ、良いだろう。そのゲームに乗った。天才でも努力を積み重ね続けている人間に勝てないことを証明してやる」
「それは頼もしいですね。私が紛れもない天才に成長したのは否定しませんが、私も努力は少なからずやってますよ。努力する天才に勝つのは至難だと思いますが?」
「不可能じゃないだろ」
「颯流が人間を辞めたらあるいは、ですね」
「どこまでも俺を舐めやがって」
その間にもずっと俺のベッドで横になりながら俺の横顔を観察する月愛だったが、勉強中にこんな風に監視されるのは慣れてないのでチラチラと見てしまう。
あ……パジャマの2つ目のボタンが外れてるせいで谷間がくっきり見えている。
「んふふっ。良いんですかー? テスト勉強の代わりに私のおっぱいなんて観察して。もし溜まっているのでしたら特別に、口だけで抜いてあげましょうか?」
「なっ、何を言って……」
「今なら期間限定付きの特権で、風呂上がりで肌が吸い付くようなおっぱいでサンドイッチもセットになりますよ〜」
「ぐっ」
勉強に集中することで気を紛らわせていたのにまた欲望が溢れ出しそうになる。
そう……俺はここ最近に月愛からの悪ふざけが更に加速したせいで夜に一緒に寝るだけでなく、風呂場に突撃してきたりしてるせいで1週間ほどもう抜いていない。
それで今朝起きたらいつものように月愛がノーブラで俺の腕に抱きついてたから朝勃ちに更なる硬質化が加わって相当悩まされたものだった。
自分が原因だと知っておいてこうやってジャブを打ってくるから悪魔野郎なのだ。
「必要ない。つーか今テスト勉強中なんだから話しかけてくるな」
「……そうですか。今なら腰が抜けるような快感の津波を味わえたと言いますのに、本人がそう言うのなら仕方ありませんね……では試験勉強頑張って下さいね〜」
それだけ言うと俺の部屋を本当に出て行ってくれて下の階に降りて行った。
あれ、何だか珍しいな。月愛だったらしつこく粘って来そうなものだと思ったが。
普段なら黙ってでも俺の真後ろをウロウロしたりして誘惑するものとばかり──
「ってアホか俺は!? それじゃあ俺がそんな状況を望んでるみたいじゃねえか!」
いやいや惑わされるな俺……このまま勉強から気を逸らせばヤツの思う壺だ。
俺は再び中間テストで玉座に君臨してあいつを嘲笑ってやるんだ……よし勉強。
すると1時間後に月愛が扉をノックしてから入ってきた。
「颯流、お邪魔しますね」
「今更何をしに来たん──」
「ママの手作りおにぎりと味噌汁をですよ〜。颯流がこのまま徹夜しそうですので」
「お、おにぎり……?」
「ママなら本当は止めるべき立場でしょうけど颯流は本気のようですからね。勉強なんて辞めて寝なさい、とは言いませんのでせめて夜食を召し上がって下さい」
部屋にいい匂いが漂ってくると共に俺の勉強机の真横のテーブルに置く月愛。
そして流れるように俺のベッドにポンと座った。
俺も再び食欲が掻き立てられたので椅子をスライドさせるとおにぎりを頬張った。
「そうか。ありがとう月愛、助かったよ。じゃあ早速頂きます。んっ」
「颯流の大好きなツナマヨに昆布入りを握って来ましたので、お口に合うといいですが」
「美味いよ。それじゃあ味噌汁の方も頂こうか」
「はい、どうぞ召し上がって下さい」
コクのあるまろやかな味を喉に流し込んでいく……ああ、本当に美味いなこれ。
「何だかいつもと味が違って濃いな。何か入れたのか?」
「ええ。まろやかな味の秘訣はママのおっぱいミルクですよ」
「んっ! ……ふう、いきなり何てこと言いやがるんだお前」
「あらら〜私のおっぱいを飲んだイメージを与えたら興奮してくれると踏んでいましたのに」
「するかよ、第一にお前からまだ出るわけがない。そもそも味噌汁に牛乳入れる奴が居るか!」
「それではママのおっぱいミルク入りの味噌汁はまた今度──」
「作ろうと考えなくていいから」
すぐこうやって俺を揶揄おうとするやつだからな……油断も隙も無いんだった。
「ごめんなさいね、ちょっとした冗談ですよ」
「分かってる、もう最近慣れ始めたからな」
「良い傾向ですね」
「良くねえよ」
「んふふっ。それでは私はお邪魔みたいなので先に寝ますね、おやすみなさい」
「へ? あ、ああ……おやすみ」
もう俺のベッドは月愛と2人用のベッドになってしまったようだ。
家出したところで逃げる当てもないからもう完全に受け入れてる状態だ。
いやそんなことよりも早くおにぎりと味噌汁を完食させてしまおう。
「ご馳走様」
皿とコップを持って2階で洗うと再び部屋に戻ってきて勉強を開始させよう。
そうしようと思っていたのに月愛がゴロンと向こう側に寝返りを打った時だった。
上半身が裸になっていて華奢で健康そうな綺麗な背中がくっきり見えた。
「〜〜〜〜っ!」
あいつ絶対に俺が下に行ってた時にシャツを脱ぎやがったな。
しかも俺が座ってる角度だと横乳が微妙に見えてて、先端が見えそうで見えない。
なんて完璧なチラリズムを演出してくれてるんだ月愛は……絶対に起きてるだろ。
「おい月愛、良い加減にシャツを着ろ」
「……ん……すぴー……すぴー……」
「……っ」
十中八九狸寝入りを決め込みやがったぞこの小悪魔。
だがここで月愛の背中を仰向けにさせて真実の程を確認しに行く選択肢は無い。
今度こそ綺麗な状態で無防備なエロに晒された月愛を見たら我慢出来なくなる。
「……なんて狡猾な」
いやもう考えるな……今は勉強に集中してやつをギャフンと言わせてやるんだ。
そう考えていた時に、月愛がモゾモゾと動くと布団を掴んで仰向けになった。
すると胸の膨らみが顕になったのに先端だけがギリギリで隠れ……隠されていた。
しかもお風呂上がりだからか髪もサラサラとしており鎖骨から脇までが艶かしい。
にしてもこうして寝てる顔も凄い美人だよな……これはモテても仕方が無い。
おまけに鼻で呼吸するときに大きな双丘がゆっくり上下に移動する様も可愛い。
「………………っ、いやもう勉強に集中しよう」
これ以上完璧に計算されたエロスを見ていると確実に頭の中がピンク一色になる。
こういうときのための耳栓だ、よしこれで何も聞こえなくなり存在しなくなった。
俺は後もう1時間だけ勉強すると夜の12時に全裸の月愛の横で眠りにつけた。
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