第7話
お菓子作りには、取り返しのつかない決定的な失敗というものがある。
花もはじらう女子高生のころ、初めてのお菓子作りでそれはやってきた。
メレンゲ作り、宥めてもすかしても卵白に何の変化もない。 呆然とする。
私の初めてはレモンメレンゲパイだった。
「春のお菓子」というフレーズに惹かれたのだ。
今考えると、初めてやのに、なに小難しいもん作っとんのや。
ちなみに姉の初めてはシュークリーム。 ぽってりしていて美味しかった。
…呆然としていても仕方ない。
ここまでにアメリカン練りパイ生地を苦労しながら作っている。
何と、不思議なことに、この時すでに
ここで敗退はありえない。
料理本を精査して、メレンゲの卵白は油や水が入ってはいけないとつきとめる。
なんのことはない。 ボウルに水気が残っていたのだ。
失敗したその卵白をどうしたのか、今となっては記憶にない。
ここまでみると、初めてのお菓子は失敗したんだと思われそうだ…が、しかし。
メレンゲを作り直し、絶賛のレモンメレンゲパイは完成した。
なぜこの話をしているかというと……
人生二回目の決定的な失敗というやつをやらかしたからだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます