ダラダラ最高!!不労所得を目指す。

@jimgai

第1話

「おいらは働きたくないんだ。」


 この世界に転生して、早15年。平民として産まれた男、ルイはうなだれていた。


「ミルク〜。来週から就活だよ〜嫌だよ〜。働きたくないよ〜」


おいらの幼馴染の[ミルクレート] 略してミルクと勝手に呼んでいる。ミルクは幼い頃から一緒に遊んでいた親友なのだ。


「シャキッとしなよ。ルイ」


 ミルクがおいらに喝を入れる。効果は今ひとつのようだ。おいらは、母と父が毎日働いている所を見て、「あぁ〜なんて大変なんだう。おいらは絶対にやりたくない」と心に決めたのであった。


「おいら、起業する。」


 元の世界には、社長が無能でも上手くいってる会社は沢山あった。そうだ!僕もそれになりたい!

レッツゴー不労所得!!


「アンタじゃ無理よ。」


 ミルクが止めるがおいらには届かない。働きたくないのだ!今のおいらはとまらねぇ!!


 この世界は、平民は15歳になると家から追い出され働く必要がある。大学などもあるが貴族かボンボンしか通えないだろう。


「起業するに当たって何をするか……。」


 おいらは真剣に悩む。おいらは無能だ。なんにも思いつかない。しばらく黙り込んでいるとミルクが話しかけてくる。


「飲食店なんかどう?」


 飲食店だと……。


「私のお母さんも食堂開いてるよ!話聞いてみたら?」


 そうだ!ミルクの家は、モーニング食堂だ!多分それなりに上手く行ってる気がする。話を聞きに行こう!


「ミルク!行くぞ!」



 ミルクのお母さんに会うために、モーニング食堂に向かう。おいらの方が先に走ってたのに、ミルクに追いつかれてしまった。ミルク速い。


カランカラン。


「いらっしゃーい。あれミルク今日は帰るの早いのね。ルイくんもいらっしゃい。何か食べていく?」


 ミルクに似た綺麗なお姉さんが、おいらに笑顔を向ける。キュンキュンしちゃう。この綺麗なお姉さんこそ、ミルクの母。ミーシャである。


「お母さん、ルイがお母さんに聞きたいことがあるんだって」


「ん?なになに。」


 いけないいけない。人妻に見惚れてる場合じゃない。しっかり質問しなければ。おいらの不労所得のために。


「おいら、飲食店開きたい。どうしたら良いの?」


 ミーシャが意外そうな表情をしておいらを見る。おいらだって不労所得になるまでは、ちゃんと働く気なんだぞ!お金、大事。


「開くのは簡単よ。家を借りて、材料を買って、料理してお客に出すだけよ。」


「おいらでも出来そうだ!」


「でも、元出も必要よ?家を借りるお金、店の内装工事のお金。材料を買うお金。全部で300金貨ってところかしら」


この世界のお金の単位は、

白金貨一枚=一億円

金貨一枚=一万円

銀貨一枚=千円

銅貨一枚=百円


 となっている。


 むむむ、おいらそんな金持ってない。飲食店は諦めるしか無いのか?


「銀行から融資を受けて、起業する事も出来るけど。ルイくんの場合は難しいかな。まだ若いし信用もないから……。」


 くそっ。なんて事だ。無一文から成り上がる方法ないのか。なんて世知辛い世の中だ。


「お金があまりなくて、稼げる方法はないの?」


「せどりって言うのが有るわよ。上手く行けば徳をするけど、リスクも高いわ。正直せどりをするより普通に働いた方がいいと思う。」


 なんだって!せどり。なんと言う輝かしい響きだ。おいらはこう言うのを待っていたんだ!!


「せどりって何?」


「わかりやすく言うと、安く買い取って高く売る事よ。」


「おいらでも出来る?」


「出来ると思うけどおすすめはしないわ。」


なぜだ!楽してお金を稼げるならおいら向けではないか!おいらは働きたくないのだ!!


「仕入れた物が売れなければ、ただの損よ。売る相手も居ないし、失敗すると思うわよ。露天を出して少しは売れるかもしれないけど…。かなり危険な賭けだと思うわ。」


 むむむむむっ。じゃぁ、どうすればいいんだ。汗水垂らして肉体労働をしなければならないのか。嫌だよ。そんなのおいら受け入れられない。目から涙が流れてくる。この先の人生、お先まっくらだ。


「はたらきたくないよぉぉ。」


 泣きながら膝をついた。


「「働きなさい!」」




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