第21話 強敵現る!
櫓の足元の小窓に脚が見えた。距離は15m~18m位であろうと思う。俺は初弾で当てたいからよく狙ってから撃ったー。
「ワンダウン!」
「ナイスっす!」
無線であかりちゃんに伝えてバリケードから出て櫓の中へ入った。
「え!?」
先ほど脚を撃った人が櫓の中へフルオートで撃ち込んできて俺は撃たれた。
「ヒットーーーー!!」
その後も数発撃たれたから慌てて入った側から出て銃を頭の上に掲げてフィールドアウトした。
「脚に当たってなかったのかな、いや!ビクッてなってたよなぁ~」
俺は鼻に弾を食らって血が出ている事に気付いた。
「いて~」
ティッシュで鼻を押さえているとあかりちゃんも戻ってきた。
「さっきの櫓の人は生きてたね~やられちゃった」
「あかりちゃんもか!隙間から脚を撃ったつもりだけど当たってなかったのかも~誤情報ごめんよ!」
「でもあの後にね!その人のバック取って二発背中に撃ったんだけど振り返って撃ち返されたの~」
「マジか~」
そんな会話をしているとフラッグが取られる音がした。
セミオートフラッグ戦ー先ほどの裏ゲーム。
俺とあかりちゃんとよく一緒に遊ぶハムちゃんと三人で大外周りでフラッグを狙うことにした。
ハムちゃんは大学生で初めて三ヶ月だが俺達よりも銃のカスタムに詳しくMCXとBCMを愛用している。全然一緒に遊べていない将太と同じ歳と言うことで何となく暖かい眼差しで見てしまう。最近は銃の性能よりも立ち回りに目覚めていてあかりちゃんと三人でスリーマンセルする事が多い。
ハムに尾根の櫓を警戒してもらってあかりちゃんが前に俺は角度を変えてブッシュの中へ進んだ。
「CQBの白車に一人!キャットウォーク下に二人!ハムちゃんは櫓まで前進して狙撃できるよ!あかりちゃんは積まれたドラム缶まで行ける?俺はCQBに接近する!」
無線で二人に指示を出した。
「おっけー!」
「了解っす!僕の銃で届きますかね?」
「大丈夫!自分のカムタムを信じて狙ってみな!」
「はい!」
ハムが櫓に到着して狙撃を開始するのと同時にあかりちゃんがドラム缶へ、その後に俺はブッシュから姿勢を低くしてCQBに入った。
「当たった!ワンダウン!車はやりました!」
「さっすが!やったね!」
あかりちゃんはハムにガッツポーズとしてる。
「ナイス!俺が車まで行くからキャットウォーク下を見ていて!あ!!ヒットーーーー!!」
「え??」
「なんで?」
二人の無線から聞こえた。
俺が無線でしゃべりながら白車に進むとハムちゃんが狙撃した敵が俺を撃ってきたのである。
“さっきの奴だ!?”
俺はオーバーキルが怖いから足早にフィールドアウトした。
セーフティエリアでカントリーマアムを食べながら三人分のコーヒーを入れているとあかりちゃんとハムちゃんが戻ってきた。
「平蔵さん!アイツら三人組で全員ゾンビですよ!」
「あれはひどかったね!絶対に確信犯だよ!アイツら!!」
あかりちゃんも怒っている。怒ったあかりちゃんも可愛いと思ってお湯を手に溢した。
「あっち!!」
「大丈夫!?」
「あの後にあかりさんが裏取ってハンドガンで二人撃ったのに撃ち返されて!それを僕が再度撃ったら俺も撃ち返されてヒットしましたよ!」
「まじで!あかりちゃん怪我ない??かなり近くまで行くの得意だから至近距離でしょ?」
「うん!めっちゃ痛い!痛すぎて声が出なかったもん!」
とりあえず三人でコーヒーを飲んだ。
三人組により完全に背中を取ってるのに撃ち返してきたり当たったリアクションしてるのに撃ち返してきたりとゲームが成立しなくなってきている。
続く
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