防御魔法で成り上がる!〜転生したけど死にたくないから防御魔法を極める〜

龍百

第1話

血が止まらない。


信号無視の車に撥ねられたのだ。

そんな状況にも関わらず俺は案外冷静だった。


死んだら何も残らないのかな…とか

俺の事は悪く言われたりするのかな…とな


嫌な想像ばかり浮かんでくる。

そんなネガティブな事ばかり考えていたら死ぬのが怖くなってきた。


何故かは分からないが凄まじく怖いのだ。


痛みは殆ど無いが自分のグロテスクになってしまった体が怖い。


眠くて、でも寝てしまったら死んでしまいそうなのが怖い。


轢かれた時のように痛みを感じるのが怖い。


このまま死んでしまうのが怖い。


どれも違うような気がする、そのどれでもない何かが怖いのだ。


死ぬのが怖い、死にたく無い。

でも体はどんどん死んで行く


ああ、怖い、嫌だ、もう死にたくない―



ーーー



「おぎゃあ!おぎゃあ!」


生きてる!?

やった、生きてる!死んで無い!


でも―違和感がある、まるで自分が小さくなったかのような、そんな違和感。


「おぎゃあ!おぎゃあ!」


この違和感、それとずっと聞こえる赤ん坊の声

俺は、もしかして転生…したのか?


そんなまさか、流行ってるからって本当に転生するわけが…


あ、目が開く…視界がぼやけてるな…?

まさか本当に…?


「おぉ!目が開いたぞアンヌ!」


「本当!?ほーら私がお母さんですよ〜!」


あ、転生してるわ、これ。

だってこの人達に見覚え無いもん、「お母さんですよ〜」とか言っちゃってるもん。


あ…?でもここ病院じゃない?

普通は病院で出産するものじゃ…


もしかして、異世界転生か…?


マジかぁ…異世界転生、死ぬ前なら無双!チート!ハーレム!って感じだったんだろうけど…


俺はもう生きたくない、死にたくないから。

だってまたいつ死ぬか分からないんだし…怖いよ。


ああ、くそ、怖くなってきた…!

今まではあんまり怖く無かったのに…!


クソクソクソ!怖い!

助けてくれ!死にたくねぇ!


…!そうだ!ファンタジー!

ファンタジーなら魔法があるじゃないか!


魔法さえあれば死ににくくなる!

そうと決まれば早速魔力で全身を覆って…!


…?


できねぇッ…!

そもそも魔力ってなんだよっ…!


「お前の名前はフラム、フラム=ソールだ!」


だから何だよ!こっちは魔力の使い方が知りてぇんだよ!魔力使えずに事故死なんて嫌だぞ!


…いや、名前教えてくれただけだわこれ、ごめんな父さん。


はぁ…情緒不安定かよ…

まだ時間はある、できるだけ早く魔力をものにするんだ…!


あ、魔力なんてそもそも無いかもしれな…

…この話はやめよう。

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