第8話 おっぱいで死にますわ〜!
店長は、片手で顔面をおさえて痛そうにしていた。鼻から血が出てしまっている。
「くぅ〜。今のは効いたぜ。メスガ……いやお嬢ちゃん」ダメージを受けているのに、なぜか少し嬉しそうに言う。
「ふっ、もう白旗ぱたぱたさせてもいいんですのよ?」スバルは腰に手をやりどやる。
(あれ、急にお腹が空いてきたましたわね……ぐぇっ!?)
そう思いながらがくりと、膝をついてしまう。
「いったっ………なななんですの……? 急にダメージががが」さっきまで全く痛くなかったのにみぞおちに激痛がはしる。
ずきぃ! さっき頭突きをした部分にも痛みがはしった。(あ、たんこぶできてますの……)
「燃えてきたぜ。もっとたくさん殴り合おうや」ニッカリと店長は拳をぽきぽきと鳴らしながらゆっくりと向かってくる。
(ぐっ、逃げてーですわ……。でも、ここで逃げたらお嬢様の名が廃りますわ! 真の乙女ではないですわ!)スバルは心の中でそう決心し、痛みを押し隠しながら立ち上がる。
「いくぜ!」「こいですの!」再度、拳がぶつかり合う。
……ぼこすか! どかばき! と、古のギャグ漫画の演出と同じ丸い大きな煙が起こり始める。手や足、お互いの顔が見え隠れする。
三十秒後。その煙から、スバルははい出してきた。「う……お腹がぺこぺこのぺこでやべえですわ……身体も殴られるたび痛くてもう……」
スバルの身体中、至るところにばんそうこうが貼られている。肌の上だけでなく、服の上にも。銀髪の頭にもおっきなばんそうこうかはっつけてある。外すとき髪がくっついて絶対痛いやつ。
しかし、まだ背後ではどかばき! ずかどこ! と喧嘩煙が巻き起こっている。……よく見ると店長の他に創造神、へティアの顔やおっぱいが垣間見える。
「あれ!? スバルちゃんの加勢にきたのにいない! ぐえっぷ」へティアはそう叫びながらなぐられていた。
「いやもう……お腹が減って死にそうですわ……お嬢様の名折れですわ」煙の方を向き、肘をついて仰向けになる。
「おりゃあ!!」店長はへティアの身体をむんずと掴み、ぶん投げる。「うひゃあ!」創造神は情けない悲鳴を上げる。
そしてへティアを投げたその先には……ちょうどスバルがいた。覆いかぶさる形で激突する。
「ちょっ、ぷにゅぶ!」スバルはへティアのおっぱいに顔面を潰され、床に頭をごいん! とぶつけてしまう。
「きゅ〜」へティアは投げ飛ばされた衝撃で気絶してしまった。
(ぐっ……息ができな……)スバルはばたばたと暴れるが、
空腹による力がでないのもあいまって、おっぱいをどかすことができなかった。
「あっ……死ですわ……」そうつぶやき、スバルは息を引き取る。
ナツミスバル。享年14。転生してから二時間、神のおっぱいによる圧死。あまりにも早すぎる、惜しまれぬ死だった。
「え、なにこれ……」ちょうど到着したエムリアは状況についていけず、ドン引きしていた。
ぱくぱく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます