第3話 『情熱のヒーローファイヤー薔薇鍋』を作ろう
オイラ、人間に変化するニャンッ!
ボフッ……、ぽわわん。
煙がモクモク。
人間の子供そっくりに変身ニャ。
ほんとは雪春ぐらいの少年とか大人にもなってみたいけどニャ、どうも上手くは变化できないのニャン。
ここだけの話ニャンよ?
变化の変身の年齢幅は、妖力の高さ低さや経験が関係してるかも知れないとか、誰かが言ってたニャ。
オイラ、まだまだ成長途中かニャン? 未熟って言葉は受け付けないニャ。
「さあっ、作ろうか」
「ニャハッ。雪春、オイラ楽しみニャン」
オイラと雪春はさっそく料理に取り掛かるニャン。
雪春が冷蔵庫を見て、足らない食材をチェックするニャ。
「無いのは買いに行かないとね〜」
「お買い物もわくわくニャ」
オイラ、雪春やみんなと買い物に行くのも楽しいから大好きニャン。
「うん、白菜豚肉ネギにお豆腐……キムチスープと……。材料はひと通りありそうだよ、虎吉」
「良かったニャ。さすが甚五郎のお店だニャンね。鍋を作れるぐらいはいつでも食材が揃えてあるのニャン」
「うちは特に急なお客さまが多いからね。妖怪たちとかね」
そうニャン、『おにぎり定食屋甚五郎』は、人間だけじゃなくあやかし妖怪七不思議なんでもござれな、ごはん屋さんなのニャ。
お手々を洗って、綺麗にしたニャン。美空が作ってくれたオイラ専用のエプロンもつけたニャンよ。
美空は裁縫が得意なのニャ。
欲しがる居候妖怪や遊びに来た妖怪み〜んなに、おにぎりのイラスト入りのお揃いのエプロンを縫って作ってくれたのニャ。
三角巾は雪春がオイラの頭にきっちりつけてくれたからニャン。
これで準備バッチリなんだニャッ!
「まず材料を切ろうか。僕とかいつも言ってるから分かってると思うけど。虎吉、包丁を使う時は食材を押さえる手は猫の手だよ。手をけがしないように気をつけようね」
「ふっふ〜んニャア。ばっちりニャンよ。雪春は優しいニャ」
トントントントン……。
楽しい音が調理場に響くのニャ。
雪春はオイラを気遣いながらも、手際よく食材を切っていくのニャン。
母親を亡くしてる雪春は、その頃からお兄ちゃんとして頑張って、妹の美空と彩花のために一生懸命に家事をしてきたニャ。
だから、御飯を作るのも手慣れたものニャンね。
オイラと雪春は、何個も何個も白菜と豚バラを巻き巻きして薔薇の花のようにしたニャンよ。
それから大きな土鍋を五つも用意して、沸騰させた昆布入りの出汁とキムチスープの素に、雪春はどんどん具材を入れる。
「虎吉が火傷したら大変だから、僕が入れるよ」
「ありがとニャン」
雪春はオイラのおぼつかない手つきを心配してれるニャ。ほんと優しいニャ。
オイラが秘かに雪春の優しさにうるうる感動していると、そこで声がしたニャン。
『たしかに危なっかしいが。雪春殿はまあた虎吉を甘やかして、いかんいかんヤカン』
オイラと雪春しかいない調理場ニャのに、どっしりと野太い声がしたのニャ。
またまた、あいつニャ、あいつに違いないニャン。
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