魔剣砕きと狩人殺し~チート無しの一人と一匹はニッチに生きる~
大黒天半太
一 一人と一匹
魔剣砕きは戦場で、狩人殺しは森の中で、それぞれ傷つき逃走し、休息できる場所を求めて彷徨った挙句に、期せずして森の奥深くのトネリコの大樹の陰に、身を横たえた。
いつでも、
この強烈な猛獣の臭いの近くに来れば、負傷した兵士が無事でいられるわけはないと追手は思うだろう、と。
見通しも利かない森の中で、不用意に猛獣の狩場に入りたがる兵士は、追跡部隊にも多くはないはずだ。
手負いの兵士が無事なのを見れば、猟師たちに追われた獣は、兵士を獲物にする暇もなく逃げ去ったと思うだろう、と。
人と人が殺し合う兵士は、獣を狙う猟師より御しやすい。
そして、手負いの人を見ると、人はなぜか、助けるかとどめを刺すかするものなので、獣より兵士の方をかまうだろう。
気は抜かないと心には決めながらも、疲労とダメージの蓄積の中、一人と一匹の意識を泥沼のような眠りが捕らえ、その奥底へ引きずり込んで行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます