転生したらファミレスの店長だった件

konnybee!

第1章 トムウェイツを聴きながら

chapter1 対決オシリでドカン!

 俺の名前は石川いしかわ 拓人たくと。今年で52歳となる。


 石川 タクまできたら、啄木たくぼくという名にならなかったのは口惜くちおしいところだ。と言っても俺の名前、実は啄木という名にする予定だったらしい。

 まぁ、アルアルだな…。


 ってねぇから!


 当時、出生届けを提出に向かった俺の親父。しかも泥酔した状態で役所に向かった俺の親父が、啄木の漢字をド忘れしたらしい。おそらく漢字がわからなかっただけだと思うが…。

 これに関してはマジで危なかった事案だ。このことに対してだけは親父に感謝だ。もしも文豪様の名前になっていたら、キラキラネームになってしまうところだったからな。

 

 ところで、なぜ俺が語り口調か? 冒頭のchapterチャプターとかカッコつけたタイトル。それに対しての『対決オシリでドカン!』。俺は転生前もその後も、一度でもそんな対決をした事がない。これはきっとユーザーの目を引く、#タグ付けのようなものだろう…。

 あとは俺がこのものがたりの主人公だからである。

 いわゆる解説というわけだ。

 そうそう。最近、中途採用をした若者の吉岡君だが、変な口調の話方をする。

 このものがたりの解説に入る前に、吉岡君の話をしたいと思う。いわゆる一つの脱線というやつだ。


 下記の会話は先日の休憩時間での吉岡君との会話だ。

 「石川さんってドラゴンなクエストってやったことあります? 俺ってフローラ派じゃないですか? 石川さんはどっち派っすか?」


 待て! 何故に突然 ドラゴンクエストV 天空の花嫁 の話になるんだ? それに加えてなぜ変な場所に「な」 という終助詞を入れるんだ? 途中に「な」を入れてはいかんぞ? それにお前がフローラ派というのは初めて聞いたのだが?


 他にもこんな会話もあった。

 「石川さん。俺この前、友達とキャバなクラに行ってきたんっすよ。」


 キャバなクラって…。

 オジサン、コーヒーを吹き出しちゃったよ…。


 まぁ、吉岡君の話はこのくらいにしよう。

 

 そして、このものがたりの紹介文にあった一通のメール。このメールがクワセモノだ。

 メールボックスを開いたと同時にクッソ生温かい…。


 そういえば吉岡君だが、何かにつけて「クッソ◯◯◯ですよねぇ。」みたいに「クッソ」という単語をよく使う。

 俺はこれが気に入らない…。


 ラーメン屋で昼飯を食っている時もそうだ。「石川さん! クッソ美味いんですけど!」と言い、自分が食べているラーメンを誉め称えていた。

 俺は少しイラつき、飲食店にいたにも関わらず吉岡君に言ってしまった。

 「行儀が悪いからウンチと言いなさい。」

 「え? ガチっすか? ウ…ウンチ美味いんですけど……。」

 言い方ぁ!

 吉岡君、普通に「ガチで美味い!」でいいだろ!


 あ、失礼。

 このものがたの紹介文の話が途中であった。


 そう、一通のメールが事の始まりだったのだ!

 差出人が、『夢の国 ネズミ目 テンジクネズミ科 カピバラ属 齧歯類 カピパラ園』と表記された、クッソ長い差出人名。

 俺はこの時、初めて齧歯類げっしるいの齧という漢字を知った。そんな52歳のオジサンである。



 「あっ! 店長! 清掃終わりましたぁ! あがりますねー!」

 「サンキュー、お疲れさん!」

 「お疲れっしたー!」


 あ…。俺、石川 拓人。実は今27歳で、既に転生をしちゃってたりして…。


 

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