第8話 堕天使を惹き寄せる悪魔の罠

 詩織は25歳の6月、英一と婚約した。


 詩織は、自分の身体が普通でないことを承知していた。

 また、そのセックス依存症の端緒が、あの「悪夢の絶頂」であり、その秘密を握っている唯一の人物は英一であることも意識していた。

 

 そして、詩織は、この先の自分の人生に絶望すると共に、全てを悪魔である英一に委ねることを決意せざるを得ないことも了知していたのだ。


 丁度、その頃、両親からも仕切りに、いつ頃、英一と結婚するのかと、ことあるごとに聞かれてもいた。


 その年の4月初旬、詩織は英一に聞いてみた。


 「貴方は私をこの先も離さないでしょう?」と


 英一は詩織の真意を察して、こう答えた。


 「婚約してあげるよ、ただ、一つ条件がある。」と



 その翌日、英一は詩織と婚約することを父太郎に報告するため実家に帰っていた。


 その実家のリビングでは、政治色の濃ゆい婚約シナリオが検討されていた。


 英一が太郎に言った。


 「そろそろ、詩織と婚約するよ。来年、市長選に出馬するのに独身はマイナスだろ。」と


 太郎が応えた。


 「ふむ、いい頃合いと思う。今、お前は学生秘書から市役所に入ったことで、国政と地政の結び役として、良い市民感情を掴んでいる。

 あの詩織ならば、更に良い方向に向かうと思う。

 ならば、早い方が良い。」と


 英一が頷きながらこう言った。


 「一つ頼みたいことがある。詩織にもう一つ箔をつけたいと思っている。」と


 太郎はその先は聞かなくても分かっているという仕草で咥えていたパイプの灰をトントンと灰皿に捨てながらこう言った。


 「連休明けのミスコンの事か。」と


 英一はニンマリと笑み浮かべ頷いた。


 この時代、まだ、各市町村に於いてはその年の地域への宣伝活動として、現代は女性蔑視として縮小されつつある「ミスコンテスト」が盛んに行われていた。


 ミスコンの審査員は、市町村の関係者が担っており、最終的には首長が決定していた。

 熊本市のミスコンは例年、5月の連休明けに開催されていた。


 4月の中旬、市長室に一本の電話が入った。

 城下太郎からである。


 市長が電話に出ると太郎はこう伝えた。


 「今年のミスコンの優勝者は、『佐野詩織』という女性にお願いしたい。

  その女は英一の婚約者となる。」と


 市長は、「承知しました。」と一言述べ、電話を切り、市の広報課長を市長室に呼び、その指示を行った。


 そう、ミスコンの審査は、出来高レースであった。

 そのことについて、何処の地域でも同じことであったが、綺麗な地元の娘達が参加することから、それを承知しながらも、地元マスコミはこぞって大きく報道していた。


 詩織は応募用紙を提出するだけで、『ミス熊本市』となった。


 これが、英一の婚約するに当たっての条件であった。


 更に英一は詩織に優勝者の記者会見で英一との婚約を発表するよう詩織に指示をしていた。


 その記者会見の模様が、健人が東京の焼き鳥屋で観た映像であったのだ。


 この記者会見の後、地元熊本市では、まるで皇太子殿下が婚約するかのような騒ぎとなった。


 こうして、英一と太郎の次期熊本市長選への戦略は着々と固められて行き、英一は現市長の推薦を得て翌年の5月に行われた市長選挙で圧勝し、26歳の若さで政令指定都市の首長となった。


 さらには、4年後の衆議院議員選挙を見据え、市長就任式の6月には、詩織を入籍させ、そして、大々的な結婚披露宴を催し、地元マスコミの興味を一点集中させることに成功した。


 そんな中、1人、太郎と英一の策略に一石を投じようとする女性がいた。

 「中谷恭子」である。


 そう、革新系の市議会議員の中谷恭子、太郎を政界の表舞台から引き摺り下ろした人物である。


 恭子は、東京都出身で東京大学法学部在籍中に司法試験に合格し、大学卒業後はハーバード大学に留学し、政治学を専攻した。

 帰国後は、都内の弁護士事務所に勤務し、社会派の弁護士として活躍していた。

 特に恭子は、政治と行政の癒着に熱意を燃やしていた。


 その頃、政治家と反社会的組織の関係が取り沙汰されていた中、ある情報筋から城下太郎のタレコミがあり、恭子は太郎の調査の為、東京の弁護士事務所を退職し、太郎の地元である熊本県に弁護士事務所を開設し、熊本市のオンブズマンとなった。


 更に市政の内部に踏み込む為、革新系の政治団体の後援を得て、現職の熊本市議会議員に就任し、あの3月期議会における市長の決算報告の質疑応答の中で、城下英一と闇組織の関係を言及したのであった。


 恭子は40歳独身であったが、身長は170cmと高く、顔はボーイティッシュであり、宝塚歌劇団の男役の様な気品のある容姿であった。


 今、恭子の標的は太郎から英一に完全に切り替わっていた。


 恭子は英一を初めて見た時の彼の目付き、裏のある目付き、このインスピレーションを信じ、市長英一の1日のスケジュールは必ず確認し続け、また、その妻詩織の動きにも注視していた。

 

 市長となった英一の悩みと言えば、やはり、詩織のセックス依存症のことであった。


 市長職は激務であり、住まいも市長官舎となった。

 そのため、当然、違法薬物の取得は不可能となり、マンションに設置した搭乗型超巨大マシンバイブ「アクメライド」も使えなくなった。


 この様な成り行きから、英一と詩織の夜の営みは至って淡白なものとなった。


 しかし、英一は既に詩織を入籍させ、大々的に結婚披露宴を行ったことから、また、あの「悪魔の絶頂」の秘密を持っている以上、詩織が自分から離れることはないと確信していた。


 また、詩織のMDMAの効力も次第に薄れてくるだろうと考え、詩織も市長の妻として市民に承知された今、以前のように竿師のスナックに出入りすることはないだろうと楽観視するようになって行った。


 そして、英一は、自身の精力を増強させようと考え、26歳の若さでバイアグラを欠かさず飲み出し、詩織との夜の営みに励んで行った。


 この英一の考えは、甘かった。


 詩織の身体をバイアグラ頼みの英一が満足させられるはずはなかった。


 詩織は例の竿師と密会していたのだ。


 市長夫人となった今、あのスナックに出入りすることは到底できないことは詩織も了知していた。

 そこで、竿師にその旨を相談したところ、詩織の身体に惚れ込んでいた竿師は、密会による逢引きを提案したのだ。


 詩織は、英一が東京や他県に泊付きで出張した時は、竿師から教わったとおりの変装をし、竿師が指定したラブホテルに通うようになっていた。


 丁度、その頃、あの中谷恭子が、詩織の行動をしっかりとマークしていた時期でもあった。


 恭子は当初、英一のプライベートを重点的に調査していたが、そんな時、妻詩織に関するある噂を裏側の人間から耳にした。


 「以前、市長の妻によく似た女が、風俗街のあるスナックに頻繁に出入りしていた。


 そのスナックは竿師が経営し、メインは地下室での竿師による性行為で、熟女から非常に人気のある店であった。


 その市長夫人に似た女性は常連で、特にそのプレイがとても淫乱で4Pコースも利用していた。」という噂であった。


 恭子は、この噂を聞いてから、その噂の女が詩織であるならば、必ず異常な行動に出るはずだと憶測し、暫くの間、英一よりも詩織のプライベートを徹底的にマークしていたのだ。


 実は、恭子の性癖も「アブノーマルセックス」であった。

 詩織と同じく、ノーマルセックスでは満足できない身体であった。

 

 そして、今日、やっと、恭子は、詩織が1人でラブホテルに入って行く所を目撃したのであった。

 その日は英一が東京に出張であることも確認していた。


 ただ、今のラブホテルは女子会やカラオケといった性行為以外の用途に利用されていることから、ラブホテルに入ることだけでは、あの噂の同一人物とは言えない。


 しかし、恭子は必ず異常な何かを目撃できると確証のない自信を持っていた。

 なぜならば、自分に置き換えて考えれば、答えは簡単であった。

 恭子の「アブノーマル」な勘が働いていたのであった。


 恭子はひたすら地下の駐車場で詩織が出て来るのを待っていた。

 

 2時間ぐらい経った時であった。


 恭子は、『あっ』と驚いた。


 裏サイトで有名なAV男優がホテルから出てきたのだ。


 そして、暫くすると、いかにもヤクザみたいな男が出てきた。


 それから、5分くらいして、詩織が出てきたのだ。


 その間、他に出てきた客は居なかった。


 恭子の「アブノーマル」な勘は的中した。


 詩織は今日、このラブホテルで、竿師と例のクリ責めのAV男優との3Pを興じていたのだ。


 恭子は思った。


 「あの噂の淫乱女は、市長の妻である詩織で間違いない。次の一手で市長英一のスキャンダルを暴ける。」と


 詩織は、ほぼ毎晩、英一との夜の営みを行ったが、英一では全く満足することができなかった。


 ある夜、詩織は、英一とのセックスが終わった後、遂に英一に言ってしまった。


 「エクスタシー(MDMA)は、もう手に入らないの?」と


 英一はショックだったが、実際、詩織が全く感じてないことは事実として認識していた。


 英一は詩織に言った。


 「今は無理だ。」と


 それから、1週間程経った時、英一にある人物から電話があった。

 その人物とは、英一が大学時代にMDMAを買っていたチンピラからであった。


 「市長さん、久しぶり。俺だよ、分かるかな?英一よぉ~。

 今日は、いい話を教えてやろうと思ってな。」とチンピラが言った。


 英一はチンピラに言った。


 「俺を『ゆする』つもりか。」と


 チンピラはこう言った。


 「とんでもない!あんたをゆすったら、あんたの親父から殺されてしまうよ!」と


 英一がでは何の話かと聞くと、チンピラはこう持ち掛けた。


 「いやねぇ、あんた市長になったからさぁ~、違法薬物なんか買えね~だろ~。

 だからさ、合法で安全な、いい所があるんだ。

 あんたの性癖じゃぁ~、そろそろ、欲求不満も溜まってんじゃねぇ~かなぁ~と思ってな!」と


 英一はチンピラにこう言った。


 「詳しく教えろ!」と


 チンピラは英一に闇の乱行パーティーを紹介した。

 「参加者は全員、匿名で上層階級の人ばかりである。

 プレイは、複数プレイ、ホモ、レズ、SMまで、合法的な「アブノーマルセックス」は全てOKで、夫婦参加者では、「寝取り」も人気がある。

 ただ、代金が1人30万もする。」と


 英一はチンピラに確認した。


 「開催者側は大丈夫か?」と


 チンピラは即答した。


 「あんたの親父の組織だよ!」と


 英一はそれを聴くとニンマリと笑い、チンピラに次回の日時と場所を確認し、夫婦で参加を予約するよう依頼した。


 これが、中谷恭子の一手であった。


 アブノーマルセックス者の恭子は、この裏サイトの乱行パーティーに毎回参加していたのだ。


 たまたま、次回の乱行パーティーの予約をしようと電話した時、対応したのが、あのチンピラであった。


 そして、何気ないやり取りの会話の中で、職業の種類を聞かれた時、いつものように、「政治家」とのみ答えた。

 すると、そのチンピラが、今度、市長になった城下英一の学生時代を知っていると自慢したことから、やはり、英一には太郎と同じ裏があると確信していた。


 そこに、詩織を調査する中で、例の市長夫人に似た女が超淫乱であるとの噂を聞いたことから、その女が詩織であることを確認さえできれば、必ず英一は乱行パーティーに参加すると、


そして、その夫婦の淫乱振をマスコミに流せば、英一はスキャンダルで失脚し、父太郎の政界復帰も頓挫するだろうとシナリオを作成していたのだ。

 まさか、自身の「アブノーマルセックス」という性癖が功を奏すとは思ってもいなかった。


 ラブホの詩織を目撃した日、恭子は直ぐに、乱行パーティーの受付である例のチンピラに電話をして、

 「参加者が少なければ、市長を誘ってみたらどうかと、噂によると市長の奥さんは、そっちの方、好きみたいだ」と伝えた。


 案の定、市長夫人が参加すれば60万円上乗せになるし、こういう乱行パーティーは、常連やその筋の方からの情報提供で客を広げるのが常であることから、チンピラは恭子の話を信じ、英一に参加を持ち掛けた。


 そして、恭子の巻いた餌にまんまと本命が食い付いて来たというわけであった。


 後は、恭子が闇の乱行パーティーで市長夫妻の乱痴気騒ぎを撮ることができるか、そこに焦点が置かれるのだ。


 ただし、恭子はこの時、その闇乱行パーティーの開催者が英一の父太郎の息の掛かった組織であるとは全く持って考えていなかった。


 上手く冷静に考えておけば、一挙に城下太郎という大物を釣り上げられたチャンスでもあったが、

 恭子の関心は城下夫婦の淫乱振りの激写、

 それと自身の「アブノーマル」な性癖が乱行パーティーへの参加に性的興奮を昂めていたことから、

 その時、恭子は、冷静な判断ができず、逆に飛んで火に入る夏の虫となるのであった。


 英一の方が一枚上手であった。


 英一は、例のチンピラに乱行パーティーの予約をした後、冷静に父太郎の側近に連絡をし、乱行パーティー開催者の暴力団に参加者の身辺調査をするよう依頼していた。


 当然、あのチンピラはリンチされ、誰からの情報か簡単に口を割った。


 この乱行パーティーは予約時点は匿名で済むが、参加者が確定したら、警察関係者が居ないか、参加者の裏を取るのである。

 当たり前と言えば当たり前の事であった。


 登録された電話番号を調べ、固定電話と公衆電話は直ぐに特定できるため、調査は携帯電話に絞って行われ、新規参加者には開催日前日に確認メールが送信され、氏名、性別、年齢、職業、役職、年収等を記入し、会費支払い方法を選択記入して返信する仕組みとなっていた。


 そして、開催者側で情報管理し、参加者のデータを蓄積し、警察関係者が居ないかチェックするのであった。


 乱行パーティー前日に父太郎の側近から英一に連絡があった。


 「英一さん、安心して参加してください、警察関係者、記者などはおりませんでした。

 ただ、英一さんを紹介したのは、中谷恭子市議会議員です。

 当日は皆、変装し仮面を被ります。

 此方も気をつけますが、背の高い女は避けるようお願いします。」という伝言であった。


 英一は電話を切って呟いた、


 「中谷恭子か、今のうちに潰しておく必要があるな。」と


 闇の乱行パーティーの当日、英一と詩織は指定されたホテルに入っていった。


 部屋は最上階の部屋で関係者以外立ち入り禁止と看板が設置されていた。


 部屋に入るともう一つ扉があり、その前に受付人が2人が立っており、本人確認した後、携帯電話やスマホの所持をチェックされ、所持しているスマホ等は受付人が受け取った。


 そして、受付人は2人に仮面を渡し、指定席に案内した。


 部屋の中は薄暗かったが、センターステージでは既に女1人と男2人との3Pが激しくプレイされていた。

 そのセンターステージは回転しており、観客全員が隅々まで観れるようになっていた。


 観客席は点々としたスポットライトのみで薄暗かったが、その奥のオープンベットでは暗闇の中から快楽に満ちた喘ぎ声が聞こえていた。


 センターステージの3Pは、女性が壮絶な逝き声を発し、潮を吹き、失神しても潮を吹き上げ、痙攣を繰り返し、

 その痙攣が治るまでの10分間、股を開いたまま、白目を剥き、口から泡を吹きながら、ピクピクと痙攣しているまま、晒し者のように回転台が回り続け幕を閉じた。


 次のステージに上がる者の名前が呼ばれた。


 センターステージでプレイを希望する者は前もって、名前、希望するプレイ、好みの相手のタイプを登録して置かなければならなかった。


 英一が詩織に女性用のバイアグラを1錠、そっと渡した。


 詩織はそれを受け取り口に含んだ。


 詩織は、次は自分が呼ばれることを悟った。


 英一は詩織にはセンターステージに登録しておいた旨は説明していたが、どんなプレイでどんな相手かは教えてなかった。


 詩織の名前が、『○○○○様』と匿名の名で呼ばれた。

 英一は詩織の肩を優しく叩いた。


 詩織はセンターステージに登り服を脱ぎ全裸になるとステージの上のフロアーベットに仰向けに横になった。


 するとステージの奥から2人の女性が出てきた。


 英一は詩織がまだ経験したことのないレズビアンプレイを選んでいた。


 詩織は2人の女性を見て一瞬、驚いてはいたが、1人の女性に唇を奪われると、あっというまに陶酔した表情に変身した。


 2人の女性は、どちらとも金髪の白人で素晴らしいスタイルをしており、1人はもう既にペニスバンドを装着していた。


 詩織の唇を奪った女が徐々に顎、そして首元、乳首を舐め出した。

 

 ペニバンをした女は、詩織のク○ト○スを舐め上げていた。

 

 早くも詩織は、「こんなの初めて~、凄い~、あっ、いくぅ~」と叫び逝ってしまった。

 まだ、開始5分も経っていなかった。


 それからは2人の金髪女性に舌や指やで、乳首や陰部を散々にねっとり、ねっとり弄ばれ、詩織は歓喜の表情を浮かべながら、


 「また、また、逝っちゃう~、また、逝っちゃぅ~、イクゥ~~」と絶頂の叫びを繰り返した。

 

 詩織は20分間で軽く10回は逝ってしまった。


 今度はラストイベントであるかのように、ペニバンをした金髪の女が観客にペニバンの機能を説明し出した。


 その女はベルトのボタンを押した。

 すると、ペニス部分が本物の人間の物のように反り返った。

 そして、もう一つのボタンを押すと、ペニス部分がバイブレーションをしながらグルグルと回転を始めた。


 観客席から響めきが起こった。 


 ペニバンの女性は一旦バイブレーションをオフにし、もう1人の女性が詩織の腕を羽交い締めにすると、その反り返ったペニバンをゆっくりと詩織の陰部に挿入した。


 詩織は「あっ~、きくぅ~」と叫び、悶絶した。

 そして、ペニバンの女は徐々に腰を動かして、ペニス部分の亀頭が詩織のGスポットを擦るように腰を小刻みにスピードを上げて振るように動かした。


 詩織は「そこはダメ~、そこはダメ~、あっ~、出ちゃう~」と叫び潮を吹き上げ、ピクピクと痙攣し、失神した。


 その表情はKOパンチをモロに喰らいマットに頭から倒れ目を開いたまま失神したボクサーのようであった。


 それで終わりではなかった。


 詩織を羽交い締めにしていた女が詩織をベットに寝かせると、詩織の顔に自分の陰部を押し付け、詩織のク○ト○スを舐め始めた。


 そして、ペニバンの女は、詩織のGスポットを捉えたまま、あのボタン、回転バイブレーションのボタンを押したのだ。


 目開け失神していた詩織は、慌てて意識を取り戻したかと思うと、


 「凄い~、凄い~、イク、イク、イク~~~」


とマジ顔で叫び、


「あふぅ、あふぅ、あふぅ」とバウンドをし、息を引き取るかのように失神した。


 2人の金髪女性は、詩織をそのままにして、勝ち誇ったように舞台裏にケツを振りながら戻って行った。


 詩織はKOされた敗者の「見せしめ」のように、回転台に股を開いて横たわり、その股間にはグルグルと回転し、ブインブインとバイブレーションの音を響かせるペニスバンドのペニス部分が突き刺さったままの状態で、半開きの目をし恍惚の表情を浮かべ失神したまま、観客の視線の餌食となっていた。


 その時であった、後ろの観客席から、「カシャ」と音がした。


 次の瞬間、そのシャター音がした辺りから「あっ~」という唸り声が聞こえた。


 暗闇の中、2人の受付人が1人の気絶した女性を抱えて部屋から出て行った。


 英一はニヤリと笑い、その後をゆっくりと歩いて付いて行った。


 英一が別部屋に入ると、後ろ首に注射器を差し込まれ、口から泡を吹き、目を見開いた状態で気絶している中谷恭子が横たわっていた。


 英一は受付人に言った。


 「予定どおりだな。こいつのスマホを探せ!」と


 英一は受付人に詩織のセンターステージ中に必ず恭子に動きがあるから、その時は仕留めろと指示を出していたのであった。


 受付人が恭子の服を脱がせると、ブラジャーの奥に小型のスマホが隠されていた。


 英一はもう1人の受付人に聞いた。


 「こいつはいつも、どんなプレイをするんだ?」と


 「レズビアンプレイです」と受付人が答えた。


 英一はニヤリと笑い、更に麻酔の効果時間を聞くと、受付人が30分と答えた。


 英一は丁度良いと思った。


 「この女、年増の割にはいい身体してやがる。

 詩織の相手をさせよう。


 詩織はさっきのレズビアンプレイで味を覚えたはずだ。

 しかし、詩織はあのくらいでは満足しないさ。


 今度は詩織にこの年増女を逝かせて貰うことにしよう。


 詩織も絶対乗ってくるさ!」と


 不気味な笑い顔を浮かべ、英一は「快感」で失神した詩織と「激痛」で失神した恭子の回復を待つかのように、

 その部屋のソファーに腰掛け、受付人からマリファナの巻煙草を貰い、ゆつくりと吸い始めた。

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