第5話 破滅の道の潤滑油
健人は大学4年の春を迎えていた。
大学の専攻ゼミは民事訴訟法の猪俣教授のゼミに入り、今、就職活動の佳境であった。
健人が希望する会社は東京の大企業であり、業種、給与等の処遇、ワークライフバランスなどはどうでもよかった。
ただ、世界的大企業で誰もが知ってる企業に入社できるよう就活を続けていた。
健人の法学部法律学科における統一試験の成績はトップクラスであった。
健人の顧問である猪俣教授は、そんな健人に常々、こうアドバイスしていた。
「君は会社の業種とかに余り固守してないね。そうであれば、司法試験、受けてみたらどうかな。
君ならば1発で受かると思うよ。」と
同大学の法学部教授としては、やはり学生の就職率はもとより、司法試験合格者数が何よりもそのゼミ、教授の評価を高めるものであった。
しかし、健人にはその気はなかった。兎に角、世界的な大企業に入り、九州田舎のボンボンに飛びついて行った詩織を見返してやりたい、その一心だけであった。
その年の6月、健人はあるIT企業から内定を得た。
そのIT企業はパソコン、オンラインシステム、ソーシャルネットワーク等のIT分野で世界的な企業であり、特にオンラインシステム、社会の電子化においては、政府からの期待も高く、国の機関、県、市町村等の行政機関における電子化作業を一手に担っていた。
健人はそのIT企業の内定を貰うと、就活を終了した。
猪俣教授も同ゼミからIT大手企業に学生を送り込めたことに喜び、又、驚いていた。
猪俣教授は健人が内定結果を報告に訪れた時に健人に聞いてみた。
「君、文系なのによくIT企業から内定貰ったね!まぁ、文系でも経済・経営学部なら営業ということから採用するかも知れないが…、」と
健人はこう答えた。
「その会社の人事担当者が言うには、行政機関の電子化作業に係る訴訟事案が増えだしていると。
それで、会社の顧問弁護士からの依頼もあり、法律的能力の高い人材を求めていたと言われました。」と
猪俣教授は満面の笑みを浮かべ、「なるほど、なるほど」と言い、健人の肩を「良くやった!」と言うようにポンポンと叩き喜びを現した。
就活を終えた学生が、卒業するまでの間、普通に送る日常生活は、最後の学生生活を謳歌するため、海外旅行をしたり、恋人とデートを重ねたり、故郷に戻り生活したりするところ、健人の日常生活は其れ等とは全く異なっていた。
健人は、毎日、大学の図書館に通い、IT関連の訴訟事案のジュリストをひたすら読み続け、特に内定先のIT会社の抱える問題、「行政の電子化」についての関連事案を調べ上げ、その分野で先進的なイギリスの訴訟事案も詳細に調べるなどしていた。
それ以外はアパートにこもり、一切、外出はしなかった。
健人はアパートの部屋にいる時は、寝る以外は、毎晩、サントリー角瓶を飲みながら、ショートホープを咥え、プロコム・ハルムの「A Whiter Shade Of Pale」を聴きながら瞑想を行っていた。
テレビをつけることなく、スマホを触ることなく、電話に出ることもなく、この瞑想のみを行い続けた。
詩織の記憶を脳裏から完全に消し去るために
健人のこの異常な生活は卒業までの半年間、継続された。
その頃、詩織は、英一と同じ大学に通いながら、家業の料亭を手伝うという生活を続けていた。
大学では常に隣に英一の姿があり、ゼミへの出席も昼食も必ず英一との共同を余儀なくされていた。
詩織は就活はしなかった。卒業後も家業の料亭を手伝うつもりでいた。
その頃、詩織は、料亭で接客を担当しており、益々、その美姿に磨きがかかると共に急に妖艶さを帯びた詩織の存在は、熊本ではかなり評判となっており、料亭の予約も鰻登りとなり、詩織の父親は大変喜んでいた。
しかし、母親の方は詩織が心配であった。
それは、料亭の接客が終わる午後9時には、ほぼ毎日、英一が車で迎に来て、詩織を連れ出し、詩織が家に戻るのは、いつも朝方であった。
そんな生活を送る詩織の身体を母親は心配していたのだ。
今日もやはり、英一が黒のBMWで詩織を迎えに来た。
英一の卒業後も既に決まっていた。
英一は、父太郎の進言により、4年後の熊本市長選挙に立候補するため、熊本市役所の内定を父太郎のコネにより早々と貰っていた。
父太郎は、将来、英一が政界に進出する上でも、自分の黒い噂を払拭する必要があると考え、今回の衆議院議員選挙における学生秘書として注目された英一のイメージを堅持し、次期市長選で市長に当選させることが、政界進出の近道になると考えたのだ。
現市長は、勿論、父太郎の子飼いの政治家であった。
詩織が英一の車に乗り込む姿を片隅から不安そうに、詩織の母親が眺めていた。
それを見ていた詩織の父親がこう言った。
「心配するな。若い人は皆んな、あ~だよ。ワシらの時代とは違うんだよ。英一さんなら心配ないよ。」と笑いながら母親を諭すのであった。
英一と詩織の向かう先は、当然、英一のマンションであった。
そう、MDMAのキメセクを夜通し行うのだ。
それは英一の希望というよりは、今は最早、詩織の希望となっていた。
詩織は英一の部屋に着くと、何も言わず、あの「悪夢の絶頂」の寝室に入り、ベットサイドの棚にあるMDMAの入った瓶を取り、英一から教わったとおり一錠を半片に噛み折り、半片だけ舌で溶かすように舐め始めた。
そして、残り半片はベットサイドのテーブルに置き、服を脱ぎ、全裸になり、ベットに上がると、自ら口に猿轡を嵌め、両手首にベットの脚に鎖で結束された手錠を嵌め、四つん這いになった。
英一は、自分の調教の成果を満足するかのようにニタニタと笑いながら服を敢えてゆっくりと脱ぐのであった。
それは、詩織を焦らすためであったのだ。
四つん這いの詩織の英一に向けた桃尻は徐々にその角度を上げて行った。
MDMAの成分が詩織の血液に浸透し、もうすでに脳内に到着しかかっていたのだ。
英一は更に詩織を焦らすようにゆっくりとベットに上がり、無言でその紅潮しつつある詩織の桃尻を見つめる。
英一の片手には㹨毛の筆が握られていた。
詩織は仕切りに英一を振り返り、懇願する目で猿轡の嵌められ口をうぐうぐと動かすのであった。「早く、早く、お願い、我慢できない!早くして!」と叫んでいたのだ。
やがて、詩織は突き出した尻で大きく円を描くよう回し出した。
英一はそのサインを待っていたかのように、
「やっと薬が回ったか。」と言い、
詩織の桃尻にそっと筆を這わせた。
すると、詩織は目を見開き、海老反りに仰け反り、そして、尻をこれ以上はできないほどに突き上げ、ビクンと一つ大きな痙攣をすると、
うつ伏せに倒れ込み、猿轡の嵌った口から涎を垂らし、全身をピクピクと痙攣させ、下の口からも白濁の泡を溢れさせた。
詩織は、一筆の擽りで絶頂に達したのだ。
英一は、再度、詩織の尻を抱え直し、その白濁の涎で潤った下の口に陰茎をぶち込み、激しくピストンを始めた。
詩織は意識を取り戻したかのように、うつ伏せていた顔を上げ、英一の方を振り向きながら、「もっと、もっと!」と言うように目で仕切りに訴えた。
詩織が何回か絶頂を繰り返した後、英一も詩織の尻の上に精液を発射した。
全ての射精を終えた英一は、プルプルと身体を震わせ快感に浸っている詩織の手首から手錠を外すと、ゆっくりと詩織の左側に仰向けに寝た。
そして、英一はベットサイドのテーブルに置かれた半片のMDMAを口に含み、それを舐めた。
5分後、英一の陰茎は硬さを取り戻した。
英一は、詩織の股を開き、正常位で陰茎を挿入させると猿の様に腰を激しく動かした。
詩織は悶絶して、「逝く!逝く!逝く!!」と言ってるかのように仰け反り、自身の陰部を英一の陰部にぶつけた。
その瞬間、英一は2回目の射精を詩織の陰毛の上に発射した。
恍惚に浸ってグッタリと詩織の陰部に顔を埋めている英一に対して、詩織は、「まだよ~、まだよ~、もっとして~」と言うかのように首を振りながら、足をジタバタさせ、英一に声無きお願いをし続けた。
英一の性癖は変態的であったが、その精力は虚弱であった。
詩織以外の女性経験は風俗嬢だけであった英一は、極度の早漏であり、MDMAのようなドラックの助けを借りないと女性を喜ばせることはできなかった。
しかし、大抵の女はMDMAの効果により、英一如きでも恍惚に浸り、満足するのであったが、詩織は違った。
英一はそれは仕方ないと思っていた。
詩織を奴隷的な恋人とするには、奥の手のヘ○インを使わざるを得なかったし、一度、ヘ○インとMDMAのキメセクを味合わった詩織の身体はそう簡単には満足しないと分かっていた。
しかし、予想外に学生秘書としてマスコミの耳目を集めた英一は、なかなかヘ○インを手に入れることに踏み出せずにいた。
ヘ○インが手元にないこの間、英一は、バイブや電マや今日の筆による擽りなどなど、いろいろな小手先のプレイを詩織に試みてはみたが、やはり、詩織の満足を得るにはほど遠かった。
それでも、今日の様に自ら進んでベットに入る詩織を見ると、一定の調教効果は継続していると思い、また、あの「悪夢の絶頂」動画がある限り、詩織は自分からは離れることはできないと思い直していた。
英一は、仕切りにプレー続行をお願いする詩織を見て、自身の萎えた陰茎を情けなく見つめた後、仕方がないと諦め、詩織の陰部を舌で舐め始めた。
詩織の願いは舌ではなかったが、もうなんでも良いから感じさせて欲しかったので、英一のその愛撫に敏感に反応した。
英一が詩織のク○ト○スを舌で転がしていた時であった。
英一には、詩織のク○ト○スが依然よりも肥大化しているように思われた。そして、その豆をまじまじと覗く様に見ると、その頭部に注射痕みたいな小さな小さな黒点があった。
それを見た英一は、「あっ」と言い、詩織の顔を見やったが、詩織は悶絶してピクピクと痙攣をしながら仰け反っていたので、その顔は見れなかった。
英一は、ピクピクと痙攣するク○ト○スの上に薄く生えてる詩織の陰毛をそ~とかき分けて見た。
その恥毛の下肌からは、小さな注射痕が点々と現れた。
その時、英一は思った。
「シャブセクしていやがる!俺の知らない所で。これはヤバい。親父の二の舞はごめんだ。」と
英一は変質的な性行為者であることから、シャブセクについても詳しかった。
そのシャブが、覚せい剤が、どんな組織が掌握しているのか、どんなプレーで注入するのか、どんな奴の陰茎を咥えるのか…、全て知っていた。
英一は、ピクピクと痙攣を続け、猿轡から涎を垂らし、下の口からは白濁汁を溢れ出して失神している詩織を見やり、その肥大化した陰核をまじまじと見つめこう思った。
「それじゃぁ、尚更、俺では満足しないはずだ。」と、
そして、詩織にシャブセクをさせない、次の一手を打つ必要があると感じていた。
そう、詩織は、あのスナック、あの地下の空部屋、あの竿師とのシャブセクを続けていた。
詩織は、月に一度は、英一に今日は体調が悪い、早く寝たいなどの理由を付けて、あのスナックに向かっていたのだ。
そして、一晩10万円の捻出は、英一に頼ることは当然できず、料亭の手伝駄賃から捻出しており、月一回が限度であった。
また、竿師の方も詩織みたいな上玉は滅多にない客であることから、時には料金を受け取らず、その代わり、更に激しい性行為を詩織に施すのであった。
今日もその日であった。
あのスナックの地下の空部屋の中からギシギシとベットの足が床に軋む音が聞こえていた。
その部屋の中では、壮絶な淫乱に満ちた淫行が開催されていた。
シャブを陰核に注射された詩織は、竿師のビール瓶のような一物をしっかりと下の口で咥え込み、顔の口では違う男の一物にしゃぶりつき、更には詩織の背後から違う男が詩織の菊紋、アヌスに一物を挿入し、腰を動かしていた。
詩織は一物をしゃぶりながら、その目は壮絶な快感により嬉し涙を垂らし、歓喜の唸り声を発していた。
詩織の性欲の悪魔は、最早、誰にも止めることはできず、遂にモンスターへと進化してしまっていた。
この地獄の乱舞を行なっている女が、一体、どんな罪を冒したのであろうか。
いや、何も冒してはない。
神は、生物に子孫を残させるために生殖器官を与え、そのため必要となる性行為を行わさせるために「快感」を与えた。
欲深い人間という生物は、その「快感」を本来の目的から逸脱させた。
愚かな人間は、戦争のために製造した麻薬という合成化合物を持て余し、挙げ句の果てには、その「快感」に利用の活路を見出し、自らの破滅への道を切り拓いただけである。
この罪なき女は、
その破滅の道を滑らかにするため、哀れな肉体の三つの穴から、愚かなる人間の欲望のために、破滅のための潤滑油を垂らし続ける、正に人間という悪魔の犠牲者なのだ!
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