ピングーイ・ソーニョ

北野かほり

極悪人の倒し方

 やらかしたぁー。

 私は心の底から後悔していた。

 Twitterをして日々のことをだらだら呟いている。

 私は極悪人で、日々の悪さをこっそりと呟く。そのたびにいつもリプでは極悪人、最悪、てめぇとかった罵りがあってはくすくすと笑っている。そうだ、そういうちょっと陰湿な極悪人。

 ついうっかり私は本名が乗った名札つきの写真をTwitterにアップしてしまった。気が付いて慌ててそれを消したのは数時間前。

 あーーー。

 どうしよう。どうしよう。どうしよう。

 最近Twitterでは住所特定もざらだという。ああ、どうしよう。ばれたら。

 恐る恐る、私は、こっそりとTwitterをひらく


 リプには

「こいつかよ」「わかった」「本名だ」「住所特定!」

 きゃーーー!恐れていた展開! どうしよう。アカウントを消すか? このままでは


 ぴんぽーんとチャイムの音。

 ひえ。

 私は恐る恐るドアをのぞくと配達の人? 私、なにかお願いしたっけ? 疑問を抱きながらドアを開けると

「えーと、こちらと、こちらと、こちらと」

「荷物多すぎませんか、これは」

 私は唖然とした。こんなもの頼んでないぞ。見ると、高級カニ! ウニ! ワイン、分厚いお肉……どうした、これ!

「いやー、まだまだきますよ」

「え、あ、あわぁ~!」

 私は声をあげた。

 配達の人がまたひとり、また一人であらわれて私の家の前に荷物を置いていく。どれもこれも、クッキーやお花やらいっぱいである。

 それにはどれも手紙がついていた


「あのとき意地悪に助けていただいた者です」「あなたの極悪の被害者です。あのときはありがとう」「いつも、いつも意地悪なあなたを見ています。体に気を付けて」「あなたが行ったことで命がすくわれたものです」「極悪な行動をいつも見ています。心の支えです」といった手紙。

 おいおい、どうして。


 私は極悪人。誰かが死にたいといえば死なないように意地悪をし、ふらつく人がいれば寝かせてあげて、辛くてたまらんやつの愚痴は聞いて吐かせてあげる。それだけだ。それだけの意地悪をしている。


 山になっていく荷物。

 Twitterを見ると


「私たちの意地悪で、極悪人が窒息すればいいんだ!」とリプいっぱい。

 ああ、こまった、こまったなぁ。

 これじゃあ、私、どんな意地悪や悪いことをして恩返ししたらいいのよ。

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