秘密
まさかデスク下でこんな行為が行われてるなんて周りは気づいて無い様子。
この状況をどうにか打破したいとあらゆる知識を絞り出し、課長を睨みつければ「先に謝ります、申し訳ありません」そう伝えると足で課長の身体を強く蹴飛ばすように退けた。
「いい加減にしろって言ってるんですよ、課長でも僕は許しません」
「なっ!誰に向かってそんな口を・・・・・・っ!」
このやり取りがオフィスへ響くと周囲の視線が一気にこちらへと集まる。ザワザワと話す言葉がいくつも耳に入る。
「おい、あれ課長と
「茉莉さんどうしたんでしょうか・・・・・・」
「いや、それより課長だろ。茉莉があんなに声を張り上げるなんて何かあったんじゃないか?」
そんな言葉を聞き、
「すみません、驚かせて。公な説明は控えます、みんなもそっとしておいて下さい」
お願いするように言うと陽大は深々と頭を下げた。
そして、床に臀をつき座っている課長へ片手を伸ばして「すみませんでした、立てますか?」と、優しく笑みを向ける。課長はその手を取り立ち上がればするりと静かに手を離し、視線逸らしながら乱れたネクタイやメガネを整える。
「平気だ」
課長がその場から去っていくと陽大は腰を抜かしたようにその場に座り込み、一点を見つめる。
一連の騒動で嗣貴は陽大の側へと駆け寄り、視線合わせるためしゃがみ込めば、背中を擦り始める。
「陽大・・・・・・」
「嗣貴、そんな顔するなよ、大丈夫だ」
少し引き攣った笑顔で話し、嗣貴の髪を優しく撫でる。大丈夫なんて言葉だけでは嗣貴が安心しないことは分かっていた。観察力ある嗣貴には恐らく未だに硬い下半身もすぐに気づくだろう。
「よく言う、そんな身体で大丈夫だなんて」
「はは、やっぱり嗣貴には敵わないな」
「さすがにこの状況だ、今日はもう帰ろう。俺から早退の件は話しておく。俺も帰宅に同行するぞ」
「・・・・・・わかった」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます