エリザベート・シャロン

白井 くらげ

第1話

僕は何もかもが嫌になり家を飛び出した

古びて穴が空いた皮袋にリンゴと牛の胃で出来た水筒を詰め込んであるだけ金貨を掴んで走り出した


と言うもの


今朝はおばあちゃんが腰が悪いからと持とうとした麦袋を落としばらまいた

親父には怒鳴られ母親には呆れられた

不運は続いた

水汲みに行けば妖精が何時もより煩くて水神がどうやら機嫌が悪く異常に桶1杯運ぶのに数時間はかかった

その度怒られおばあちゃんだけが宥めてくれた

いつも優しいし厳しいばあちゃんが好きだ

でも今日は本当にツイてない

僕には口うるさい妹が居て幼いくせに高飛車で顔が瓜二つだからか余計に疎ましい時がある

その妹が僕の水汲みがあまりに遅くて迎えに来た

「ラルクお兄ちゃん、何時まで水汲みしてるの」

「うるせえ帰れよ」

邪険に扱いムッとした顔をした

そのまま振り返り帰ろうとしたところで毒ガエルが畑から飛び出した

慌てて妹の背中を押しやるとそのまま転んでしまう

毒ガエルは黒い手足を伸ばし川にぽちゃんと沈んでゆく

「…ぅぐ、ぁぁあんーえーーん」

不味い、と思った時には大声で泣き始めた

「あ、違うんだ。サラ、おい」

俺に押されて転んでいるので何とも弁解しずらくてぐっと僕は自分の服の裾をぐっと掴んだ

「アンタ、何してんだい」

近所に住んでいるヤタおばさんが近づいてきてサラを抱きしめた

「どうしたんだいサラ?」

「うぐ、…っ…ラルクにぃちゃんがサラをおした」

「ちが」

「そんな事をしたらダメだよお前さんの妹なんだろ」

「毒ガエルがいたんだ!それで…」

「そうかい。でも口があるんだ口でいや良いだろ?謝りな」

ヤタおばさんにそう言われ何かが切れた

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