第35話 救済要求!!
「‥‥エリースちゃん。まーだ、そんなこというんですか?私の言うこと、聞いてくれないんですか?‥‥イチイちゃんを殺しちゃってもいいんですか?」
「っ!い、いや、です‥‥。」
ディーさんはきっと気がついていたんだ。私が必死にイチイちゃんを守ろうと、気を引こうとしていることを。それを楽しんでいるから、まだイチイちゃんに何もしないんだ。
「そうですよね。でも今から色んなものを斬り落とす予定なんだけど‥‥、どういう気持ちですか?」
「止めて、ほしいです‥‥。怖いです‥‥。」
「なら、私と一緒にいてくれますよね?」
「‥‥はい。」
私がうなずくと、ディーさんはくすっと笑ってから‥‥、イチイちゃんの服を切った。
「止めて、あげてください!!一緒にいるって言ったじゃないですか!!」
「いい‥‥。服一枚でこの反応ですか‥‥?いいですねっ!!もっともっともっともーーーーーっと見せてください。絶望のお顔‥‥。ふふっ!!せえのっ!!」
「っあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛‥‥!!」
「い、イチイちゃんっ!?」
ディーさんが、ディーさんが、イチイちゃんの左目を‥‥、あああああああああああああっっっ!!!
イチイちゃんは血の涙を流して、その痛みからか掠れた声で絶叫した。
「もう、もうやめてください‥‥っ!!私が悪いんです!!私が‥‥!!私が!!」
「ふふっ‥‥?安心してください。エリースちゃん。__この次はあなたですから。いっしょにあそぼぉっ?」
「ひっ!!!」
狂っている‥‥、頭がおかしい‥‥。
でも、戦場には少なからずこういう人がいた。だから、既に慣れているし、理不尽さは覚えてるけど、覚悟も、できている。
でも、イチイちゃんは違う!!こんな幼気で残酷な世界を知らないこの子にこんなことをするのは間違っている。
イチイちゃんだけでも、救いたい‥‥!!私はこういう子を、ずっと、ずっと、救いたいと思って亜人との戦争にもいたんだ!!
でも、私は、今の私は、何もできない。
これが冷酷すぎる現実だ。
「___だ‥‥。」
「‥‥何か言って、」
「嫌だっ!!イチイちゃんを殺すな!!イチイちゃんに酷いことをするな!!‥‥だって。だってイチイちゃんは私の友達なの!!守らなきゃいけないの!!」
「‥‥ぅ!」
「とは言っても今のエリースちゃんにはなにも出来ないのが現実ですよ?ふふっ。威勢がいい子は嫌いじゃありませんが、『
「っ!!」
ディーさんは勢いよく私を狙って剣を振った。
ああ、私に力が使えたら‥‥、イチイちゃんに怪我なんて、させなかったのに。ヴァンも、助けにいけたのに。
生き返ってもこんなところで死んじゃうのか‥‥。
今世では何も、できなかったな‥‥。
そんな落胆を感じながら、来る衝撃に備えて身体を硬くした。
‥‥が、その剣はカランッと乾いた音を立てて落とすこととなった。
「おうおう?まーた、厄介事に巻き込まれているじゃねーか。馬鹿ちびっ子。」
「っ!?」
「ヴァン!?どうしてここに!?」
ヴァンがディーさんを殴ったのだ。
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