空と灰皿 アルファポリス重複投稿

ソウカシンジ

空と灰皿

青空、夕日、星空。空と言うのは綺麗だ、不思議だ。この世界が機械や灰色の箱に侵食され、緑色が汚く染まっていく中でこんなに幻想的な風景をいつまでも現し続けている。

 僕、ではなかった俺はベランダで煙草を吸いながらネクタイを緩め、都会の星空を眺めていた。何とも感慨深く虚しい星空に向かって大きく溜息をついた。シワのついたスーツ、土埃のついた革靴。このように不格好な俺でも夜空は受け入れてくれる。ああ、明日が憂鬱だ。ここはアパートの二回だから落ちても死ねないし、そもそも死ぬのが少し怖い。生きるのも嫌だ、死ぬのも怖い。おれは、どうしたら良いのだろうか。夜空よ、答えてくれ。俺はどうしたら良いんだ、どうすればお前みたいに不格好な奴を上から見下ろすことができるんだ。なあ、答えてくれよ。俺の切実で虚しい問いは、決して答えが返ってくることはないのだ、それはわかっている。分かっているつもりなのにどうしても答えを求めてしまうなんて俺は、いや僕は自分勝手で可哀想な存在なんだろう。肺に黒い溜息が立ち込める。苦しい、舌が痺れてしまう。それでも僕は吸い続ける、弱い自分を強く見せるために。少しでも貧弱で不格好な自分を変えるために。そのために僕は吸わなきゃいけないのだ。また一つ黒くて大きい溜息をつく。ああ、こんな夜早く明けてしまえば良いのに。ああ、明日なんて来なければ良いのに。小さな机の上に置いた、透明な灰皿が黒ずんでいた。

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