n=30 ミステリーサークル

 ^さんの家は住宅街の中にあるのだが、その裏手の土地は手つかずの荒れ地だった。

 そこには背の高い雑草が生え茂り、隅の方で売地の看板が慎ましく自己主張している。

 まともな管理はされていないようだった。


 ある日、^さんは2階の窓からぼーっとその土地を眺めた。

 高所から見ても、ただの草むらにしか見えない。あるいは背の高い雑草が生えた様は、稲の水田のようだと言えるかもしれない。


 そこにミステリーサークルがあったのだ。雑草が薙ぎ倒され、直径2mほどの円を描いている。あまりにもベタなミステリーサークルだ。


 なぜウチの裏にミステリーサークルが?

 ^さんは困惑し、そして興奮した。


 倉庫をひっくり返して見つけた双眼鏡を携え、再び2階に上がる。

 そして窓から双眼鏡越しに見ても、やはりそれはミステリーサークルだった。目視だけなら、ほとんど真円に見える。


 どうやってあんな綺麗な円を。


 そんなことを考えていると、違和感に気付いた。

 踏み倒された雑草の根本に何かがある。

 スニーカーだ。黒いスニーカーがある。

 ミステリーサークルの円周上に、黒いスニーカーが敷き詰められている。


 なんで?どうして?なんのために?って思考停止しましたよね

 ^さんはそう語った。


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