コピースキルでこの世界を生き抜く!

柏餅

アルクーツクの森編

第1話 追放

「お前のような穀潰しはこの家には必要ない!!荷物をまとめてさっさと出て行けっ!!」


まさに貴族といったような豪華な部屋に男性の怒鳴り声が響く。男性の年齢は40をすぎたあたりか。そして今しがた追放言い渡されたのはー


紛れもなくアルストリア家長男

ノア・アルストリア本人である。 


そして追放を言い渡したのはアルストリア家当主 イーゼン・アルストリアだ。 よっぽどノアを追放できるのが嬉しいのか普段は貴族然としている鉄仮面が剥がれ、口元に薄く笑いが浮かんでいる。

一応補足しておくとこの国の貴族制度は長男が家を継ぐのが筋道である。


ならば何故ノアが追放を言い渡されているのか?答えは単純。この国が長男優遇制である前にスキル史上主義だからである。

何を隠そうノアには代々アルストリア家に引き継がれてきたスキル 覇者の栄光プライドオーラを受け継がれていなかった。スキルとは人や魔物に宿る特殊な能力のことであり、普通は血の滲むような努力の末に手に入るものだ。


それとは別に人がそれぞれ持つ固有スキルというものがある。これは持つものと持たざるものがいるのだ。一応覇者の栄光プライドオーラは固有スキルの一つとなっている。

この話を進めるともっと専門的な事柄を考えなければいけないのだが....今は置いておこう


「わかりました...。しかし私がいなくなった後この家の家督は弟であるユングが継ぐのですか?」


「なんだ....?妙に物分かりがいいな。まあいいその通りだ!お前のような出来損ないではなく我が家相伝のスキルをもつユングが継ぐ!まあこの家からいなくなるお前には関係のないことだがなぁ!」


(やはりそうか...あの野rじゃないあいつがこの男に俺を追放することを進言したんだろうな。はぁ〜面倒くさい...。)


「わかったならはやく出て行け!二度と私の視界にはいるなよ!」


そう言って半ば強引に部屋から締め出されるとノアは自室に向かって歩き出す。


(明日からどうしようかな〜?一応これまで貯めておいた金もあるけどなぁ〜。)


そうして歩いていると廊下に見覚えある人物が待ち構えていた。


「よぉ落ちこぼれの無能野郎。お前父さんに追放されたんだろ?いなくなると清々するぜ!」


そこに立っていたのは金髪の少年。ノアの血縁関係上は弟にあたるユング・アルストリアだ。面白いものをみたかのように口には薄ら笑いを浮かべている。


(元の顔はいいのにそのせいで台無しだなぁ。まあ俺には関係ないけど。)


「お前が父上にそれを進言したんだろうが.....!」


ノアは出来るだけ憎しみのこもった声でそう言い放つ。そうすればこいつが喜ぶとわかっているからだ。


「ククッどうだろうなぁ〜。その無い脳みそで頑張って考えたらどうだ?せいぜい下民として身の程を弁えて生きろよ!」


そう言って楽しそうに去って行った。


(ふぅー今日は結構機嫌が良かったんだなぁ。いつもなら魔法の一つや二つ飛んでくるのに。)


ユングの去って行った後を一瞥しノアは自分の部屋に歩き出す。今度は誰にも遭遇しなかった。


そして部屋に到着し自分の荷物をまとめていく。護身用の片手剣に衣服や貯金、最低限の食料。その他にも必要そうなものはこの前大金をはたいて買ったマジックバッグに入れ、部屋を出ようとする。その時、隅に置かれた飲み物が目に入る。メイドからの差し入れだろうか。

ちょうど喉も乾いているし一杯のんでいくか!と思い一気にそれを飲み干す。 するといきなり目の前が真っ暗に...その時を境にノアの意識は途切れた。

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