I’ll be with you forever

【人物紹介】


九重 日和(ここのえ ひより)

 22歳の女の子。和菓子屋店員。黒髪のボブ。右目が青で左目が黒のオッドアイ。

性格はのんびり屋で人当たりがよく気さく。表情が顔に出やすい。困ってる人を放っておけない。

朋くんは昔からよく一緒に居てくれており、日和の事をとても大切にしてくれているのを感じている。

自分自身も朋くんの事を好きだが、その感情を伝えるかは悩んでいる。


心宮 朋(ここみや とも)

 22歳の男の子。医療系大学に通っている大学生。医者を目指している。アッシュグレーの髪に黄色い瞳。

とても真面目で努力家。日和は一番親しい友人で、片思いの相手。

以前倒れて数年目を覚まさなかったことのある日和の事をとても大事にしてくれている。



日和side


2月14日。和菓子屋さんとはいえ、バレンタインシーズンは限定商品があるからか、とても賑わっており、毎日を忙しく過ごしていた。

朋くんとは、連絡は取っているけれど、ここ数日の忙しさで直接会うことはなく日々が過ぎていた。

仕事の休憩中、自分のカバンに入っている少々不恰好なラッピングをした箱の入った紙袋が目に入る。

忙しい中、いつもお世話になっている朋くんにと作ったカップケーキ。

仕事が終わった後に届けに行ったら、朋くんは喜んでくれるかな…。

早く終わるわけもない仕事の忙しさに辟易としながらも、気合を入れなおしレジへと戻ることにした。


20:00。閉店まで客足が落ち着かなかったこともあり片づけにすっかり時間がかかってしまった。

朋くんは家にいるだろうか?

そう思って連絡を入れる。

日和:朋くんこんばんは。今って家にいる?

 朋:こんばんは、日和。うん、家にいるけど、もしかして仕事帰り?

日和:そう!今日も忙しくてね~、大変だったよ。ね、迷惑じゃなかったら今から朋くんの家に行ってもいい?

 朋:もちろん。日和にも数日会えてなかったし嬉しいよ。迎えに行こうか?

迎えに来てくれると言ってくれる朋くんに相変わらず優しいなぁと顔が綻ぶ。

日和:ありがとう、大丈夫。そんなに遠くないし、あと10分もすればつくと思うから、待ってて。

 朋:そう?わかった。急がなくていいから、気を付けてね。

日和:うん!

そこまで打ち込んで、朋くんの家を目指す。

お菓子の入った袋が揺れないように、でも、できるだけ急いで。


ピンポーン。

たどり着いた家のチャイムを鳴らせば、待っていたんじゃないかってくらい早く扉が開いた。

「日和!いらっしゃい。寒いし中入って。」

ニコニコと優しい笑みを浮かべた朋くんが出迎えてくれた。

『ありがとう。じゃあ、少しだけお邪魔させてもらうね。』

リビングに入れば、暖かい紅茶を淹れてくれた朋くんはテーブルの向かいの椅子に腰かけた。

「お仕事遅くまでお疲れ様。外寒かったでしょ。」

『ありがとっ。この季節だからめちゃくちゃ忙しかったよ~!夜はやっぱり冷えるね。あったかい紅茶が身に染みる~。相変わらずすごくおいしい。』

「それなら、よかった。」

いつもと変わらない会話をしていく中、緊張感が高まる。

どのタイミングで渡したらいいんだろう…そう考えていると、朋くんはクスリと笑う。

「日和。なんだかいつもより緊張してない?それに、今日会いに来てくれたってことは、僕、少し期待してもいい?」

そういう朋くんは私が言うのを待ってくれているような気がした。

『あの、ね!朋くん!ハッピーバレンタイン!』

そういって鞄から出した袋を朋くんに差し出した。

『お店のじゃないから、おいしくないかもしれないけど、でもえっと、気持ちはいっぱい込めたから…!』

「手作りしてくれたの?僕、日和の手作りのお菓子もらえるなんて嬉しい。ありがとう。」

差し出した袋を握る手を優しく掴まれ、パッと顔を上げれば、嬉しそうに笑う朋くんの優しげに細められた瞳と目が合う。

『どう、いたしまして。朋くん、いつもありがとう。』

「こちらこそ。大事に、食べるよ。」


貴方が居てくれたから、今の私がいる。

カップケーキの意味は「あなたは特別な存在」。

色んな事があったけど、私にとって朋くんは誰よりも特別だよ。

この気持ち伝わりますように。

ハッピーバレンタイン。朋くん。大好きだよ。


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I’ll be with you forever:ずっとあなたのそばにいるよ。

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