追放されたメンツを集めたら、最強パーティーになった件。

√74

第1章 タンク加入

第1話 パーティー結成?



俺は死んだ……

そして、目が覚めると赤ん坊になっていた。


まぁ、簡潔に言うと転生をした。

そして、転生した先は良く物語でよくあるファンタジーな世界。ダンジョンが存在し、魔物がいる世界。

やれ魔王が居るとか居ないとか、やれエンシェントドラゴンが目覚めたとか目覚めてないとか、あのダンジョンから伝説級のアイテムが出たとか出てないとか、色んな噂が飛び交う世界。


「うむ、ザ異世界転生モノ」


そんな世界で俺は、いろいろな物語の登場人物と同じく冒険者をしていた。

貴族に生まれたわけでも無いし、あの頃の俺は物語の登場人物のように才能があると思っていたから。

だって、普通転生したらチート能力を手に入れたり、持ってたり、開花したりして、最強になるものじゃん?

まぁ、俺のはチートじゃ無かったんですけど……


そんなこんなでとりあえず、俺は冒険者になった訳だ。

ただ、非凡かって言われたらそうではない。

冒険者にはランクが存在していて、S、A、B、C、D、Eとあり俺はその中でBランクなのだ。

いや、低いと思ったお前!

Bランクってのは国の一個中隊……はい、盛りました。でも、一個分隊から小隊位の力があるのだ!

Aランクは一個中隊から大隊の力がありSランクになると一個師団って言われているけどな!

はいチート、チート。


俺はこの世界的に、チートとまではいかないが充分強者に分類される……はず?

だって、俺基本ソロで冒険してるし……いや、たまに野良でパーティー組むけど、転生前もそうなんだけど、パーティー組むのって勇気いるよね!

うん、そんな話は置いといて。

今俺は、ギルド内にある、酒場エリアのカウンターで、1日の疲れを癒すためエールを呑みながら肉を食ってる訳だが、そんな俺の斜め後ろのテーブル席でイベントが起こっていた。


「どうしてだ?」

「どうして?それはお前が一番わかってるんじゃねぇのか!!ゴミみたいな防御しか出来ないお前がよォ!」


菱形の大盾を背負った黒髪の青年が呟くと、向かい側に座っていた金髪の青年が机を勢いよく叩き、声を荒げる。辺りでドンチャン騒いでいた仕事帰りの人達も一気に静かになり、二人の青年と同じ席に座る女性二人をチラチラと見ている現状である。

そう、コレは物語の導入でよくある追放系イベントである。


彼らはこの辺りで有名なSランクに最も近いと言われているAランクパーティーなのだが、聴く限りでは、彼等が今日行ったダンジョンで黒髪の青年が強力な攻撃を盾で受け止め、青年は怪我を負い、そのせいでパーティーが全滅仕掛けたらしい。

いや、回復役がしっかりしろよと俺は思ったが、コレは俺のチャンスなのでは? とタイミングを見計らっている。


「アンタの雑魚な盾のお陰で私のマナがなくなって、シンを回復出来なかったのよ!」


赤髪の女性がそう言う。

いや、知らんがな。マナ管理くらいちゃんとしてろよ。ってかその為のマナポーションだろ。

いや、すごく苦いから、あんまり飲みたくないけど。


「……すまなかった」


黒髪の青年は赤髪の女性のその一言で全てを察したのか謝り席を立とうとする。


「おい、アルト」

「……なんだ?」


そんな黒髪の青年……アルトを金髪の青年……シンが呼び止める。


「まさか、そのままパーティーを抜けるつもりじゃないよな?」

「どう言う意味だ?」

「意味? そのままだよ、役立たずのお前が! 俺たちの足を引っ張った癖にそのまま何もなしでパーティーを抜けるのかって事だよ!」


うひゃー、発言がゴミだよぉ。パーティーを組むときに分け前は決めて、その分はもうそいつのものだろ普通。


「……コイツを置いて行けって事か?」


そう言って、アルトはゴトリと机に高そうな剣を置いた。


「わかってんじゃねーか」

「……迷惑をかけたな」


アルトはそこから立ち去ろうとした。






「はーい、ごめんねー」


俺は彼等の終わりそうな話し合いに割って入ったのである。

「あ? なんだよ他所のパーティーの問題に口出すつもりか?」

「いやいや、そんなつもりじゃないんだけどね?」


俺が話しかけたことにより周りが少しざわつく。

そして、シンが凄むがちっとも怖くない、コイツ本当にAランクパーティーなのかと疑うくらいには怖くない。


「じゃあ、なんなんだよ」

「あぁ、いや君たちじゃなくてね、そっちの彼に用があるの」

「……俺に?」

「そう、君に」


アルトは自分を指差すと俺はうなずく。


「聴いてたんだけど君はたった今、パーティーから離れ、ソロになった訳だ」

「……そうですね」

「そんな君に一つ提案がある」


アルトやシン、それに周りの人達も俺の次の発言が気になっているご様子。


「よかったらパーティー組まない?」

「……え?」

「「「は?」」」


俺のその発言に、アルトはもちろんシン達、いやギルド内の全員が驚いた。


「いやー、俺いまソロで冒険者してるんだけど、一人だと危険じゃん? だからそろそろパーティー組みたいなーって考えてて、そしたら君たちの話が聞こえてきた訳よ! タイミングバッチリだなってさ! こりゃ、運命の女神様がパーティー組めって言ってるみたいなもんだよな!」

「……あ、あぁ」


アルトは俺の怒涛の発言にタジタジになり曖昧な返事をした。


「そうかそうかパーティー組んでくれるか」

「……いや、今のは」

「おい、お前、本当にアルトと組むのか? 俺たちの話をちゃんと聴いてなかったのか?」

「いや、聴いてたけど?」

「なら、なんで、そんな役立たずを誘ったんだ!」

「いや、だからさっきも言ったけど、タイミングだよタイミング。探してたって言ったろ?」


シンが立ち上がり俺に詰め寄る。


「後悔すんぞ」

「そりゃ、忠告どーも、でも後悔するかは俺が決めるし、一緒に冒険してねぇのにわかんねぇじゃん?」

「だから、一緒に冒険してた俺が言ってやってんだろ! この!! 俺が!! Aランクパーティーのリーダーの俺が!!!」


シンは俺の何が気にくわないのかやけに噛み付いてくる。


「アルト青年をパーティーをクビにした理由もAランクダンジョンでの出来事でしょ? なら大丈夫、大丈夫。俺が行くのはBランクダンジョンだし、俺はAランクパーティーやSランクパーティーを目指してる訳じゃないからさ」


俺は顔を近づけてガンを飛ばしてくるシンから少し離れおちゃらける。


「チッ、シラけた。お前みたいな上昇志向がない奴は役立たずのアルトがお似合いだよ」


そう言って、シンがギルドを後にし、パーティーの女性二人がシンの後をおい出て行った。

ちゃんとアルトが置いた剣も持って行きやがった。


「まぁ、ってことでよろしくな!」

「……はぁ、わかった。だが、俺はシン達が言うように防ぐ事しか出来ないし、それも通じない相手がいる」

「大丈夫、大丈夫。やってみないとわかんないって、それよりパーティー結成を祝して呑もうぜ!」


俺はそう言ってアルトに肩を回し、さっきまで座っていたカウンター席まで連れて行き隣に座らせた。


「おい、万能がパーティーを結成したぞ」

「あいつ、何処のパーティーから勧誘されても乗らなかったのに」

「それより、あのアルトってやつあのAランクパーティーの未知の探求者だろ」

「未知の探求者をクビになったっていっても、Aランク最強って言われてるパーティーで活躍してた奴と、Bランクの万能か……コイツはもしかするんじゃないか?」

「俺も入りテェなぁ」

「やめとけやめとけ、お前Cランクじゃねーか」


さっきまでの静寂が嘘のように騒がしくなるギルド内の酒場エリア。

いや、ほとんどが俺たちの話だけど、でもやっとパーティー組んだ訳だし、超ハッピー!!

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