第5話 ヒカリ3

 案内されて向かった魔法使い棟では魔法使い師団長のアダンさんが私に付いて魔法を教えてくれるらしい。


ドキドキだわ!初魔法よ!


言われた通りに魔力循環?やってみたけど、よく分からない。何度も何度もやってようやく魔力の動きがどうのって分かった気がする。


 あまりの出来の悪さにアダンさんはイライラしてる気がする。だって仕方がないじゃん!魔法なんて初めてなんだしっ。


そして残念な事にどうやら私は聖魔法以外は使えないみたい。まぁ、元の世界では魔法なんて使えなかったしあるだけ有難い。聖女の魔法は回復や結界、その他の補助魔法らしい。


 魔力循環が出来るようになってから回復魔法を始めた。やっぱり【ヒール】とか【解呪】とか名前を唱えるらしい。アニメではカッコ良く見えるけど、実際に自分がやると超恥ずかしい。


長い唱詠もあるらしいけど、私には無理だわ。アダンさんは私には覚えきれないと分かったのか諦めてくれたわ。




 数日後、アダンさんは私を連れて騎士団の医務室へとやってきた。医務室では医務官が騎士達に回復魔法をかけているみたい。騎士達は連日の魔物退治で怪我が増え、医務官達は日に日に疲労が溜まっているらしい。


私の出番よね!


「アダンさん、回復魔法使ってみる」


私は張り切って念じながら魔法をイメージする。【エリアヒール】魔力がごっそり取られた!


なんて身体が怠いんだろう。


けれど、光の粒が部屋一面に広がって騎士達の傷を治す事ができた!どうやら欠損も治ったみたいでとても喜ばれたわ。流石聖女の私!チート万歳!!



騎士達の怪我を治してお礼を言われたわ。まぁ、聖女だからね。



 アダンさんはその後、魔法についてやこの世界の話、紋章持ちの話をしてくれたけど難しくて分かんない。でもー、ノリでなんとかなったっぽい!


それにしてもゲームや小説だとパパッと魔王退治してパパッとハッピーエンドになるけど、現実だとかなり大変なんだね。


面倒だわー。


食事だって質素だし、全然オディロンに会えないし。騎士達の怪我を治すのだって面倒なんだよね。魔法を使い過ぎると体が怠くなるんだよね。お腹だって減るし。


元々女神の加護だっけ?努力すればした分強くなるって言ってたけど、元々私はチートなんだから努力しても意味ないじゃん。


だから、ね!


侍女にお願いしたの。


『早く勇者パーティーに合流してパパッと魔王退治したいな⭐︎』って。


侍女から宰相に話をしてくれるみたい。

まだかなぁ。私は毎日魔物退治で怪我をしてくる騎士達にヒールを掛けている。



 今日はアダンさんからは防御膜や身体強化魔法を騎士達に使うように教えられた。怠いー。面倒だわ。でもさー解呪や解毒魔法もやったけどあんまり使わないよね?


言われた事はちゃんと一通りやったよ?頑張った!


一応聖女だし。


 体格いい騎士達に触れて回復させるのも良いけど、オディロンとデートしたいのに出来ないのが残念で仕方がないわ。


普通さ、運命的な出会いならここらで王子様か聖女を気分転換に王都にデートに連れ出すよね。キャッキャウフフするのはまだ先なのか。


そう思いながら半月は過ぎたと思う。


ようやく呼び出されたーって思ったよ。



今から勇者パーティーに合流するんだって!ワクワクだわ。イケメンパーティーなんだろうねきっと!楽しみ。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る