オタク姫の重い愛が推しを召喚しちゃった模様です

友大ナビ

オタク姫、焦る

放課後の生徒会室。

窓から茜色の光が差す部屋で、事件は起こった。


紺野こんの。ちょっといい?」

「……はい。なんでしょうか」


私を呼び止めたのは碧葉あおば 柊夏しゅうか君。

この学園の生徒会長で誰もが認める王子様的存在の男の子。


成績はいつも学年トップ。顔もスタイルもよすぎるせいで、話しかけられただけで動揺してしまう。


自分は副生徒会長という立場で彼の補佐を務めているのに、未だに嫌な汗が浮くし、周りを警戒してしまう。


彼のキラキラオーラを浴びたくない。

巻き添えにされたくない。

ちょっと申し訳ないくらいに……実は彼のことが苦手。


クラスも違うし生徒会くらいでしか話したことがないのに、あの二人は付き合っているだなんて噂まで流れている。


学園投票の美少女部門で一位になったのが原因なのかな。


投票理由に「群れないところがクールビューティー」「普通に高嶺の花」なんて書かれていたらしいから、眉目秀麗な碧葉君といつの間にかひとくくりにされてしまったんだと思う。


クールビューティー

おしゃべりがヘタクソで表情に乏しい。


高嶺の花

ぼっち女子。


ほんとのことを書いてくれたらいいのに、みんなの気遣いで一位なんかになってしまった。


きっとうちのお父さんの顔を立てるために私に投票しなさいとご家族に命じられたんだ。


お父さんの顔が広いせいで知らない人に丁重な挨拶をされるのが日常だし、大人の世界には変なルールが多いから子供がそれに振り回されて大変なのはよくわかる。


だからこそ碧葉家の皆さんにも迷惑をかけてはいけないと、なるべく近づかないようにしてきた。


それなのに噂をちゃんと否定しない彼にちょっと不信感すら抱き始めた今日この頃。




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