転生者予備校の悪魔講師〜お前ら全員やり直し〜〜
咲谷 まき
プロローグ 1
ベリベリベリベリ…。
最初に感じたのは、何から引き剥がされるような感覚。
それと、その後に聞こえてきた、あまり嬉しくない言葉。
その言葉とは…
お前は、俺達にとって害悪だ!
よって、この世界から追放する!
俺達の世界にお前は邪魔な存在!
いずれは処分する事になるわけだが、今は排除するだけで良い。
俺達の目標が達成されたあかつきには、存在そのものを消し去ってやるから、それまでは、せいぜい亜空間で終わりなき生を謳歌するが良い!
フッハハハハァーー!
な?あんまり聞いてて気分のいいものじゃないだろ?
まぁ、そんな言葉を誰かに言われ、浮遊感に見舞われる事となる。
…と同時に落下する感覚。
たぶん、俺は誰かから引き剥がされ、何処かに投げ捨てられたのだろう。
男の声だった。
亜空間で…と言っていたわけだから、当然、投げ捨てられた所は亜空間に決まっている。
俺にはそこが、どんな場所かは知る由もないが…。
しばらくすると、落下する感覚はなくなり、浮遊感だけが残っている状態になった。
眼前は真っ暗、それは目が見えないから真っ暗なのか、目が見えていても暗闇の中だから真っ暗なのかは判断がつかない。
瞬きをしようにも、瞼があるようにも思えない。
…かといって、目を瞑っている感覚もない。
これだけでは、視界に対して判断しかねるとしか言いようがないわけだ。
投げ捨てられる以前は、どこかの街で漂っていたような気がするのだが…。
そこで俺は、頭の中の情報を整理してみる。
情報は大事だ。
①声は聞こえたのだから、耳はある。
②目はあるのか、あっても見えないのかは不明。
③現在の居場所は亜空間内部のどこかに浮遊中。
④俺を引き剥がし、投げ捨てた奴、正しくは、俺達と言う言葉から、投げ捨てた奴らにとって、俺は害悪で邪魔な存在である。という事。
そして、いつか俺はそいつらに処分されるという事。
目的が達成とか言ってた気はするが、今はどうでも良い。
最後に、最も重要な情報。それは…。
⑤俺が思考し、情報を整理できるぐらいは、ある程度の知識を持っているという事。
これは大きい。
俺が、何もわからない赤ちゃんのような存在なら、声が聞こえても 耳 という発想は出てこないし、そもそも考える事すらできないだろう。
つまり俺は、現時点でどういう状態で、こんな状況になったのかはわからないが、すでに何処かで何らかの知識を得ていた事になる。
声の主が、いずれと言っていたのだから、今すぐどうこうなるとは思えないが、この現状がいつまで続くのか、これから先に何が待っているのか、それは今の俺にはわからない。
投げ捨てた奴らの目標には、今のところ、まったく興味はないが、俺にも何か目標、目的みたいな物が欲しいとは思う。
人にとって目標、目的というのは、かなり重要なものだ。
それがあれば、前を向ける、生きる原動力になる。
目標目的があるのと無いのとでは、生きるための行動原理、行動理念にかなり影響が出るのだ。
まず、俺が人かどうか、という根本的な問題はさておき…だ。
そうだな。
ひとまずは、奴らに処分されないように…だな。
今の俺自身がどんな存在なのかもわからないのに、訳もわからないやつに処分されてたまるか!って話だ。
(それにはまず、今できる事で小さな目標を…目標…目標…)
と、そこまで考えて俺は意識を手放した。
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