第13話『ロリコン会議-3』
「……お主らにもっと分かりやすいように言えば――――――儂らの評判がどうなるかでロリっ娘少女達から嫌われるか憧れられるかが変わるぞい」
「「「もっと詳しく」」」
『ロリっ娘少女達から嫌われるか憧れられるかが変わる』と言うユーリの言葉。
そんな人生最大の岐路となるようなもの……聞き逃せるはずもない。
その発言を聞いた瞬間、会議に参加している俺を含めた全ロリコン紳士がユーリの言葉に全力で耳を傾け始めた。
先ほどまでやる気のなかった会員達も、今は全員が前のめりだ。
「お主ら……まぁよいわ。そういう事じゃから儂は我ら『ロリコン紳士の会』がどういった存在なのか、なぜツマノス国を裏切ったのか、大々的に声明を出し、それを周辺国家に周知させるのが肝要だと考えるが、みなの意見はどうじゃ?」
「「「賛成です」」」
「えと……お主ら本当に分かっとるの? 自分できちんと考えとる?」
「「「もちろんです。いいから早く続きがあるなら先をお願いします」」」
「えぇぇ……いや、確かに話は終わりじゃないけどよ? はぁ……仕方あるまい。続きじゃったな。
儂らが大々的に正義を掲げる集団じゃと声を上げる事で、多くの臣民から信頼を得られるじゃろう。なんだかんだ言って、民や子供はそういう『正義の味方』ってのが好きじゃしの。実際、儂らがやってるのはツマノス国から精霊の少女を守るっつー正義じゃし。先日のツマノス城内での戦闘も、少し美化させて『たった百人でツマノス国の精鋭たちを返り討ちにした』って宣伝すりゃ話題性としても十分じゃろ。
――さて、儂らが大義を掲げる集団じゃと声明を上げるのは良しとしてじゃ。儂らが何を目標として行動するのか、その事についても話し合いたい。要は国としての在り方じゃな」
「「「国!?」」」
突拍子もない発言に俺を含めた多くの会員達が驚く。
しかし、ユーリはそれを予想していたかのように
「驚く事もない……ってか当然じゃろ。この集団……儂ら『ロリコン紳士の会』とそれが保護する『精霊』達。この集団の区分はなんじゃ? 第三者の視点でこの集団をどう定義する?
現状、良くて反乱の徒という物であろうよ。つまりは現状から脱したいだけの集まりじゃな。大義はあるが、その先に通ずる夢がない。そんな者らに力を貸そうと、夢を託そうなどとは誰も思うまい? ツマノス国は民に対して圧政を強いている訳でもなし。単なる反乱の徒という区分ではこの集団の先はあるまいよ。仮にツマノス国を打倒したとしても、他の国家にいいようにされるのがオチじゃぜ」
じゃから――とユーリは続ける。
「じゃから、儂らが掲げるべきは『夢』なのよ。そうして『夢』に惹かれた集団が集まり、夢に向かって進む。それはどれだけ小さくても『国』と言ってよい産物じゃ。決して、夢物語などではないんじゃよ。そも、これから国一個とぶつかるんじゃぞ? それに対抗するには国としての体勢が必要じゃ。それに、国としての宣言は早ければ早いほど良いしの。『反乱の徒が国を打倒した』より『新生国家が国を打倒した』の方がカッコええじゃろ? カカカッ――」
そう笑って、ユーリは話を締めくくった。
なので、俺はその後を引き継ぎ――
「なるほど。つまり……俺達『ロリコン紳士の会』がどのようにロリっ娘を愛するか。世界中のロリっ娘や精霊をどのようにしたいのか。それをまだ見ぬ世界中に居る同志達に知ってもらうためにここで決めよう。そういう話だな?」
「うむ、そういうこと………………へ? アコン、今なんと言った? んんん?」
ユーリの言いたいことは分かった。
つまりは、これから俺たちが何を目標として歩んでいくか。今ここでハッキリさせろという訳だ。
今まで俺たちはただロリっ娘を愛してきた。蔑まされている精霊を保護し、愛でてきた。
それを今……国家レベルの夢へと昇華させようと。同志ユーリはそう俺達に教えてくれたのだっ!!
「同志諸君!! ユーリの提案を聞き、俺は理想郷の実現を確信したっ!!」
「りそう……きょう?」
「会長?」
「お、おいアコンよ。お主一体何を――」
ざわつく会員達を前に、俺は遠い昔に夢見て、しかし実現不可能だと思っていた理想郷の姿を解説する。
「そうだ、理想郷だっ。その国ではロリっ娘が溢れ、ロリっ娘を愛する紳士淑女たちが暮らす。ロリっ娘たちは紳士淑女達に守られ、紳士淑女達は生まれるロリっ娘たちを眺めて癒される。――そんな国を俺は作りたいっ!!」
「???」
「そんな素晴らしき国が――」
「いや、アコンよ。それではさすがに民衆からの支持が――」
「その国では法として俺達『ロリコン紳士の会』が掲げる法を適用しようと思う。だが、一つだけ修正点を加えたい。会則第三条、ロリとの不純異性交遊は厳罰に処す。これを国の法にしてしまえば子孫が生まれない。なにせ、住人全員がロリコンなんだからな。BBAに手を出すロリコンは居ない。ゆえに――」
「まさか……」
「あの、ユーリ。アコン達は何を言っているの?」
「ルーナ嬢ちゃんよ。お主は聞かん方がよいぞ? 馬鹿が移るからの」
「ゆえに――俺はいずれ作るその国に『一妻多夫』制を導入し、互いが同意の上なら不純異性交遊を認めるようにしたいと思っているっ!! それこそが俺の求める理想郷だぁぁっ!!」
「な……馬鹿な!? 正気ですか、会長!?」
「ロリは愛でるべき対象と言っていたあなたが何を言っているのですか!?」
「まさかあなたも悪しきロリコンに堕ちたとでも言うのですか!?」
一斉に俺を糾弾するロリコン紳士達。
しかし、俺は手を前に出して彼らに落ち着いてもらう。
「皆の言う事は分かる。確かに、俺はロリとは肉欲の対象に非ず。慈しみ、愛でるべき存在であり、敬うべき存在である。ロリっ娘こそ我が神だという教えを皆に伝えた。
だが、それを国の法にしてしまえば新たなロリが生まれなくなるんだぞ? それは果たして良い事なのか?」
「「「それは……」」」
「それに、国という単位でロリを集めるんだ。不純異性交遊を望むロリっ娘だって現れるだろう。それを諸君は拒むことが出来るのか? それに……諸君、忘れたのか? 精霊はあの外見だが、不老の存在なんだぞ?」
「なっ!?」
「会長……まさか……」
俺の言いたいことがようやく伝わったようだ。
俺はニヒルに笑いながら、その真実を告げた。
「不老の精霊は18歳以上になってもあの姿のままで、
そして……お互いが共に18歳以上ならば、合意の上での不純異性交遊は俺の元居た世界でもこの世界でも合法なんだっ!!!」
「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ」」」
「「………………」」
俺の夢見た理想郷に感銘を受けた同志たちが涙を流しながら歓声を上げる。
そんな中、なぜかユーリは呆れたように周囲の会員達を見ていた。
なんで? と少し気になった俺だが――
「やりましょう会長! 俺、ずっと会長に付いていきますっ!」
「俺もですっ。その理想郷……必ず実現させましょう」
押し寄せる会員達に呑まれ、それどころではなくなる。
俺は彼らに落ち着くように言って、更なる将来の展望を語る。
「また、精霊は不老のロリという事もあり、その国では重宝される事となるだろう。だから俺はその国をこう名付けたい。――――――誰か、大きな紙と筆を持ていっ!!」
「こちらに」
「うむ」
俺は即座に紙と筆を持ってきた会員からそれを受け取り、会員全員に見えるように大きく俺が掲げる国の名前を書いた。
その国とは――
「精霊国家ロリコニア――ロリである精霊達を崇め、愛し、彼女たちに支配して頂くロリとロリコン達の理想郷。それが俺達が目指すべき国だ。――異論がなければ俺達『ロリコン紳士の会』は今日から『精霊国家ロリコニア』に所属する組織という事になるが……異論は?」
そう会員達に問う俺だったが――
「「「ひゃっはあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」」」
「「「精霊国家ロリコニアバンザーーーーイっ。建国バンザーーーーイっ。精霊国家ロリコニアバンザーーーーイッ!!」
「精霊が……支配?」
「あぁ、どうしてこんなことに……周辺諸国から白い目で見られるのが目に浮かびそうじゃわい」
異論は無さそうだった。
「よし、決まりだ。俺たちは今日から『精霊国家ロリコニア』に所属する『ロリコン紳士の会』だ。国内のロリを守り、国外から多くのロリを迎え入れる事こそが俺たちの最重要任務。今の『精霊国家ロリコニア』は外敵が多く、人口も少ない国だ。とてもじゃないが理想郷とは呼べない。俺が夢見た理想郷を実現させるため……みんな、俺に力を貸してくれっ!!」
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」
「……」
「はぁ……」
そうして――俺達は理想郷実現の為に動き出した。
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