第11話『ロリコン会議』
「さて……色々あったが、これより第237回、ロリコン会議を執り行う」
「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!」」」
ロリコン紳士の会の会員100名の内、88名が参加するこの会議。
ここではロリコン紳士の会の今後の方針や、ロリについての談義などが行われる。
ちなみに参加していない12名は『ロリロリワールド』の内と外でロリの守護に就いていたり、他の任務に就いていたり、そういう何かしらの理由で参加を見送るしかなかった者達だ。
「さて――まずは俺から皆に礼を言わせてもらおう。諸君、本当によくやってくれた。皆のおかげでツマノス国内の精霊は無事に保護できた。諸君達のような同志を得れた事、俺は誇りに思う」
「ふっ。よしてくれよ会長。俺たちは愛する少女たちの為に働いただけだ」
「然り然り。少女達の為の我らなのだから、礼など不要じゃぜ」
会員の全員が当然の事をしたんだと口々に声を上げる。
本当に……ありがたい。俺は本当に良い仲間を持ったものだ。
「――ありがとう。だが、みんな気を抜かないでくれよ? 俺たちはツマノス国を出し抜いた形になるが、多分向こうはあれくらいじゃ諦めない。なにせ、俺たちは数にして数百人程度だからな。向こうはこの場所を突き止め次第、数の力で攻めてくるはずだ」
「会長。それならばなぜ前回の奇襲で『出来るだけ死者は出すな』などという命令を下したのですか? あの時、もっと大きな打撃を与えていれば――」
同志の一人が当然の、しかし今更な疑問をぶつけてくる。
彼は……ああ、そうか。前回の会議に彼は出席できなかったから会議で決まった結論しか知らないのか。
「お前の言う事は正しい。実際、特に問題が無ければ王様や王女を排除し、その混乱に乗じてツマノス国を『ロリ国家』として立て直す事も可能だったかもしれない」
「なら――」
「ならばなぜ……か? 当然の疑問だな。だが、仕方ないだろう? それが俺達の話をたまたま聞いた精霊の少女――サクラちゃんの要望なんだから」
「サクラちゃんの……ですか? サクラちゃんは一体何と――」
「いやそれが聞いてくれよっ。あの子、俺たちが『精霊に手を出したクソ野郎ども
なんとサクラちゃんは『あの、ロリコン紳士さん達。敵も味方も誰も死なずに済ますっていうのは無理……なのかな?』――なんて言ってきたんだぜ!? 自分を捕まえて好きにしようとした人間に対してのこの優しさよ。しかも、それを身勝手な願いだって自分を責めてるしさぁ。挙句の果てには俺達の事も『みんな無茶はしないでね?』なんて言って心配までしてくれたんだぜ!? もうこれ天使だろ!?」
「サクラちゃぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!!」
サクラちゃんのあまりの優しいエピソードを聞いた会員が激しく悶える。
俺だって直接彼女からそうお願いされたときは心臓が爆発するんじゃないかって思うくらいきゅんきゅん来たからなぁ。気持ちはよく分かる。
「そんなサクラちゃんの意志……無視するわけにはいかないだろ!! そもそも、ユーリに離反してもらうために王様が愚行を犯さないかなぁと待ってたっていうのはあるけど、それ以上にサクラちゃんの願いがあったから俺たちは向こうが裏切るまで素直に従ってたんだ。サクラちゃんが居なかったら、もっと早く精霊達を安全な場所に移して会員達で守ってたかもな。その場合、ユーリは敵だっただろうし、サクラちゃんには本当に感謝だよ」
「サクラちゃん万歳っ!!」
「「「サクラちゃん万歳っ!!」」」
サクラちゃん万歳コールが全会員から発せられる。
――とそうだ。大事なことを忘れていた。
「そうだ、この機会に諸君には朗報を知らせておこう。とても喜ばしい事だ」
俺がそう宣言すると、サクラちゃん万歳しながら腕を天に突き上げていた者達が静かに席に座る。
「朗報……ですか? ツマノス国が軍備を整えるのに時間がかかるという情報を得た……などでしょうか?」
「いいや、そんな情報は俺の耳には入っていない。それに、そんな事がどうでもよくなる程のビッグニュースだ」
「ビッグニュース……ですか?」
「うむ」
俺は、一体何が知らされるのかとソワソワしている会員達にそのビッグニュースを伝える。
「ツマノス国王からの情報なんだがな。精霊とは……なんとその全員がロリっ娘であるらしいっ! なんでも外見はあのくらいで止まってしまうのだそうだっ!」
「「「な、なんですってぇ!?」」」
驚く会員達。
そう――今までの精霊は確かにみんなロリっ娘だったが、まだ見ぬ精霊達もそうであるかは分からなかった。精霊は種族的な意味でロリっ娘が多いのか? という疑問を抱ける程度。それが今までの俺たちの認識だった。
だが、真実は違った。
そう――――――真実は俺たちが思っていた以上に素晴らしい物だったのだ。
「それだけじゃないぞ? なんでも精霊は病気にもかからず、寿命もないらしい。寿命がないという事はだ。何か特別な事がない限り死なない。不老不死って事だ。ここまで言えば俺の言いたい事は分かるな?」
「「「まさか――(ゴクリッ)」」」
全員ではないが、多くの会員達が息をのむ。
そう――精霊たちは不老のロリっ娘。つまり俺が何を言いたいのかというとだ。
「つまりだ。彼女たちは俺たちにとって……
「「「うおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ」」」
「精霊バンザーーーーイっ! 永遠のロリっ娘バンザーーーーイッ!」
「「「精霊バンザーーーーイっ! 永遠のロリっ娘バンザーーーーイッ!」」」
会議に参加している同志たちがロリを、そして精霊を讃える。
ある同志たちは涙を流して喜び合い、またある同志は喜びのあまり雄たけびを上げている。
そうして――――――1時間が過ぎた。
「さて、少しはしゃいでしまったが……次の議題だ。これは恒例の議題になる」
ある程度落ち着いた他の会員達を見据えて、俺はいつもの議題を提示した。
それは――
「ツマノス王城に捕らえられていた精霊のクール系ロリ美少女……あの子の名前を決めたいと思う。さて、無駄だとは思うが皆に聞こう。あの子の名付け親として立候補しない者……挙手してくれ」
新しく迎えた精霊の少女。
彼女の名前はまだない。
その名前を付ける栄誉。それを欲しない者が居るか確認するが――誰も手を上げない。
「ふむ。当然のように居ないな。ならば仕方ない。いつも通り、くじ引きしかないな」
俺は既に用意していた会議に参加している会員全員分のくじを皆に見えるように出す。
「いつも通り、ここには当たりが一つだけ入っている。その辺りを引いた子があの子の名付け親だ。恨みっこなしで頼むぞ? 今回は前みたいに会員同士での殴り合いとかはダメだぞ? 会員の多くが負傷してるなかでツマノス国から攻められたら俺たちが愛するロリを守れないかもしれない。その事を重々承知の上でくじに臨んでくれ」
前回の会議、好みの子の名付け親になれなかった会員が諦められるかと力づくで当たりのくじを引いた会員に襲い掛かかり、それがきっかけで大乱闘に発展してしまった。
なので、今回は初めから釘を差しておく。
「それじゃあ全員、くじを引いていってくれ。ただ、引いてもすぐには開けないように――」
そうして会議に参加している者達にくじを引いてもらおうとしたその時。
彼女は現れた。
「アコン……居る?」
それは――まさに今その名を決めようとしていた件の精霊の彼女。
その新参精霊の少女がたった一人で会議の場に現れたのである。
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