第7話『横で眠るロリっ娘』
ロリは奇跡の産物だ。
その愛らしさは存在するだけで周囲に平穏をもたらし、争いを無くしてしまう。
もちろん、ロリっ娘が全員純粋無垢の良い子とは限らない。
しかし、どこかの誰かが言っていた。
健全な魂は健全な肉体に宿る。
つまり、健全どころかパーフェクツであるロリ様の肉体にはそれと同等のパーフェクツな魂が宿るという事ではないだろうか?
あくどいロリも何かしらの理由、考えがあってそうしているだけで、その背景も合わせて考えてみれば同情の余地があったり、むしろそれが正義なんじゃないかと思える理由を携えている物だ。少なくとも俺はそう思ってる。
顔が良いから付き合ってるだの相手が金持ちだからだのという理由で男をとっかえひっかえするビッチオブビッチの元同級生のギャル共とは一味も二味も違う。
つまり俺が何を言いたいのかというとだ。
ロリっ娘とは……無限の可能性を秘めし理想郷の住人。
人類が夢にまで見た争いの無い世界を体現するパーフェクツな存在なのだ。
「ああ――ロリ最高」
いつも通り、ロリを讃えながら目を覚ます。
そうして身を起こそうとするが――
「ん? なんだこれ?」
俺がくるまっていた布団の中、何かが居る。
俺は自身がくるまっていた布団をどけた。
そこには――
「すぅ……すぅ……すぅ……」
先ほどまで讃えていたロリ……もとい銀髪のロリ様がいらっしゃった。
彼女は俺の体にもたれかかるようにして気持ちよさそうに眠っている。
柔らかな肌の感触。
落ち着いた少女に似合った黒を基調としたゴスロリ服。
「――ありがとうございますっ!!」
とりあえず、俺は眠る少女に向けて手を合わせて拝んだ。
そうして至高のロリ様に生まれてきてくださった事を感謝して数分後――
「あれ? ………………そういえばこの子……見たことがあるような……クソッ!!」
馬鹿なっ。
一度見たロリは決して忘れないと自負していたこの俺が即座に思い出せないだと!?
そんな事があってたまるか!
回転しろ俺の脳細胞。記憶領域。
焼き尽きてもいいからこの子との昨夜の思い出を今一度回想しろぉぉぉぉぉぉぉっ!!
そうして必死に昨夜の事を思い返そうとして――気づいた。
「いや、そもそも俺――」
昨日、寝たっけ?
いや、落ち着け。まずは昨日の事を思い返せ。
確か昨日はいつも通り、あのくそビッチ×2(魔法使いのレイラと王女のクルゼリア)と同志ユーリと共にツマノス国内を回って悪魔(ロリ様)を捕らえたんだよな。
悪魔(ロリ様)に対して容赦なく攻撃を続けるくそビッチ共の攻撃をさりげなく全部弾きながら悪魔(ロリ様)を優しく捕らえて、悪魔(ロリ様)を収監する同志ヘリオスに託して――
「ああ、そうだ。裏切られたんだったな、俺」
本来なら『裏切りやがってクソがあっ。復讐じゃぁぁっ!』と気合を入れるべきなのかもしれないが、そもそも俺は同志とロリっ娘以外、信用していないから特に気にしていない。好きの反対は無関心というが、まさにそんな感じだ。
「この子は……そうだ。王の間の隠し部屋に幽閉されてた精霊……ぐっ――」
そうだ、そうだった。
俺、この子の裸体を直視して、さらにその素晴らしい体を押し付けてもらうなんていうご褒美まで貰って、歓喜のあまり気絶したんだった。
すぐに思い出せなかったのも当然だ。
なにせ、あの時は血が足りなくてふらふらしてたし、あの光景は刺激が強すぎたからなぁ。
きっと俺の防衛本能が働き、無意識に自身に閲覧ブロックを施していたんだろう(結局解除してしまったが)。
「さて、そこまでは理解できた。そんでもってここに寝かされてたって事は同志たちが助けてくれたんだろうな」
ツマノス国内にある辺境の小さな廃村。
ここはその廃村を秘密裏に立て直し、俺達ロリコン紳士の会が勝手に使わせてもらっている隠れ里に相違ない。
「アコン、まだ眠っておるのか?」
そうして現状を把握できたタイミングで同志ユーリが入室してくる。
「あぁ、ユーリか。丁度いい。今さっき目が覚めたばかりだ」
「それは良かった。しかし、まだ休んでいるとよい。お主も含め五人の同志が重体だったのでな。まだ三人ほど目が覚めておらぬ」
「なぬぅっ!? 同志が四人もやられたのか!?」
こうして俺たちが無事である事とユーリが落ち着いている事から考えて、俺たちはツマノス王からの追跡を振り切って精霊たちをこの場所に連れ帰ることが出来たのだろう。
万事計画通り。ツマノス国内に俺達ロリコン紳士の会を脅かすほどの猛者はいない。
そう思っていたのに……まさか同志が四人もやられるとは……。
同志は俺の『THE・ロリコン』の能力の一つである『ロリコン布教術』によって、劣化版とはいえ俺と同じ『THE・ロリコン』を得ている。
その同志達をたった四人とはいえ倒すことが出来る敵……いかに本家『THE・ロリコン』を持つ俺でも勝てるかどうか……。
そう戦慄する俺だったが――
「はぁ……。そうではない。おぬしらが負けたのはこの精霊のお嬢ちゃん相手じゃぜ。まったく……少女の裸体を見るだけでどいつもこいつも意識を失いおって。儂が居らんかったらおぬしら死んでおったぞ」
そうユーリはあきれ顔で言い放った。
その説明を受け、俺はポンと手を叩き、
「あぁ、なるほど。それは仕方ない」
心の底から『そりゃそうだ』と納得した。
「仕方ないで済まして欲しくないんじゃがのぅ……」
ユーリはそう言うが、それは無理というものだ。
ロリコンである俺たちにとって、ロリの裸体とは眩しすぎる浄化の炎。
それはとても尊きものだが、強すぎる光は目を焼いてしまう。
ましてや今も気持ちよさそうに寝ているこの精霊は特級レベルの可愛さを誇る少女だ。
そんな裸体を見せられたらそりゃあ俺のようなロリコンは気を失ってしまうだろう。
「ユーリはもう枯れてるからそう言えるんだろうけどな……。ロリっ娘を自分の娘のように見れるレベルに俺たちは達していないんだよ。どうしても未成熟で甘酸っぱい女の部分をこの子たちから感じてしまう」
「枯れてるとは失礼じゃの。じゃが、この子らを娘として見てるというのは否定できんなぁ」
「もちろんロリが肉欲の対象じゃないなんて事は分かってる。ロリとは慈しみ、愛でるべき存在だ」
「お主がそう布教したんじゃしな」
「その通り。だから俺は彼女たちを永遠に愛でたい。触れずにずっと愛でていたいんだ。だけど……俺は未だロリコンとして未熟で……若い。ああやって触れてしまったり、裸体まで見てしまうと――」
「ああ、分かっとる分かっとる。そうやって自制しとるなら誰も文句言わんわい。じゃが――分かっとるじゃろうな?」
ぎらりとユーリが瞳を光らせて問いかけてくる。
「ふっ――そんなの当然だろう? 会則第三条、ロリとの不純異性交遊は厳罰に処す。これは当会員のメンバーに限らず順守される」
「くく……そうじゃ。それさえ分かっていれば良い。ロリとは守るべき天使じゃ。手を出す者は誰であろうと極刑よ」
同志ユーリと俺は互いに拳を突き合わせて不敵に笑う。
――その時だった。
「んん……アコン……起きた?」
傍らで眠っていた精霊の少女が目を覚ます。
「おはようお嬢さん……ってあれ? 俺、名前言ったっけ?」
「あぁ、お前さんが気を失っている間に教えてあげたんじゃ。嬢ちゃんはお前さんの事、とても心配しとったぞ?」
「そうだったのか……俺の事を心配……」
ああ、なんて優しい子なのだろうっ!
やはりロリは素晴らしい。
「えと……大丈夫? 私も初めてだったから少し心配で……」
「む?」
「え?」
瞬間、その場の空気が止まった。
ヤバイ……と思う間すらなく同志ユーリが俺の肩に手を置く。
「のう、会長殿。ロリコン紳士の会の会長のアコン殿よ。少し詳しく話を聞かせてもらってよいかのぉ?」
「ままま待て。俺は無罪だ。いや、本当に何も覚えていないんだ。マジマジ」
必死に弁解する。
いや、本当に何も心当たりがないんだ。
荒ぶるユーリに言葉を尽くす俺だが、無情にも燃料は追加されてゆく。
「とても熱くて……凄かったわ。あれが一緒に戦うって事なのね」
「……あぁ」
そこでようやく、俺は彼女が何の事を言っているのかに思い当たった。
昨日の戦闘時……彼女は俺と契約を交わし、共に戦った。
その時の事を言っていたのだ。
しかし――
「ほぅ。思い当たる節があるようじゃな。さて……アコンよ。遺言はあるかの?」
現場に居なかったユーリにそれが分かるわけもない。
そしてロリコン紳士の会の会則により、不純異性交遊は……処罰の対象だ。
「誤解だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
その後、俺は三十分近くユーリから拷問を受けながら事情を説明し、事なきを得たのだった。
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