自傷謳歌
海原シヅ子
カット
痛い。じくじくと傷口が傷む。
カッターを机上に置き、ティッシュを手に取る。
手首からあふれ出した血が綺麗だ。
ある程度止血してから、出血を無視してワセリンを塗りたくる。
多少しみるが、心よりは痛くない。
使いやすい大きさにあらかじめ切っておいたガーゼをあてがい、包帯を巻く。
手首だけでなく、腕、足にもお揃いの傷跡がある。
これは、私の痛みだ。
誰にも見えない、私の心の痛み。
心の安定を得るために、私を傷つける。
少しずつ、頭がふわふわするのを感じる。
効いてきた。
文明の利器、インターネットによれば、これはアドレナリンによってもたらされる快楽らしい。
痛みを紛らわせるため、分泌される脳内麻薬。
紛らわせるのは、心の痛みか、傷の痛みか。
今日も夜は更ける。
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