きゅう
一頻り泣いた後、僕は少しだけ心が軽くなった。
「聞いてくれてありがとう、春子さん。」
「ふふ、少し心が軽くなったって顔ね。良かったわ。……あ、そうだ。テディー。」
「ん?」
春子さんは何かを思い出したように僕に話しかける。
「これから、どうするつもり?」
「これから……?」
「そう、これから。話を聞いていて思ったのだけれど、多分テディーは怒りではない感情を動力にしているように思えるわ。九重、どう?」
「拙者も同感です。多分テディー殿は……」
「あなたは多分、『悲しみ』を動力にしている。そして今私と話をして少し
「う、うん……」
そっか、怒りは全く感じていなかったからおかしいなーと思っていたんだよ。
そっかそっか、悲しみか。確かにこれでもかってくらい泣いたし悲しんだもん。納得したよ。
「今私とお話して、
「これから……」
「そう。それにテディーにこれからを決めて動いて貰えば私達にもメリットはあるの。テディーを観察するという体でちょくちょくお話していけば、他のモノの怪を……怒り狂う物を無くせるかもしれないから。だからテディーに決めてもらいたいかな?」
「なるほどー……」
そうだなぁ……何かやりたいこと……あ、そうだ。あれがいいかもしれない。
「……今僕お話聞いてもらってスッキリしたし……あ、でも僕お話聞くの上手くないや。うーん、どうすればいいかなぁ……」
「テディー?」
「あ、うんとね、僕、瞳ちゃんが居なくなって悲しかったけど春子さんとお話してスッキリしたから、僕も居なくなりそうな人とお話して、今の僕みたいにスッキリして欲しい……んだけど……ぬいぐるみに出来ることって少ないだろうし、僕お話上手くないし、罪滅ぼし? みたいな感じなんだけど、良いのかなぁ、とか……考えちゃって……」
「ふーむ、成る程ねぇ……」
春子さんは顎に手を当てて考え始めた。僕の考え、まとまってなくてしりめつれつ? だから伝わったかな……
「それならテディー殿、その毛並みを活かせば良いのでは?」
「それよっ!」
まさかの鶴の一声は九重からだった。
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