深水家の Three Men (完結)

宗田 花

あらすじ

第一部 

「たとえ明日が来なくても」

 深水ふかみうしおは21歳の大学3年生。父を亡くし、散骨のために海に行く。その浜で知り合った少年高遠たかとおあきらは父と同じ心臓病だった。

目の前で発作を起こした昌を面倒見るために、汐は昌の別荘を訪れる。昌は使用人仁科にしな大樹ひろきのみに身の回りの世話をされていた。

そこで昌に内密の上で大樹に聞かされた話は、昌の実の父は大樹だということだった。大樹と昌の母綾子あやこの不倫で昌は生まれた。その出産で母は死亡。綾子の夫高遠氏は心臓病の昌の面倒を見る代わりに大樹に使用人になれと復讐心から命じた。

昌は大樹にほのかな恋心を抱いていたが、打ち明けて拒絶される。

そして心臓の手術を受け成功するが、大樹は高遠に自分たち父子を解放してくれるよう願う。高遠が出した条件は、これまでの養育費として3千万を返済すること。昌は大樹と共に汐と同居することになった。


第二部 「深水家の Three Men」

汐の家に同居することになった大樹と昌。大樹は汐に背中を押されて昌に父であることを打ち明ける。ショックを受けて大樹を拒絶する昌だったが、大樹の懸命な説得により認知手続きと高校の転校手続きをすることになる。

隣家霧島家に居候している汐の一つ年上のイタリア人、ダンテという青年は汐を熱愛していた。

高校時代から汐のためと落第してまで尽くすダンテは、大樹の借金返済の窮状を聞き、知り合いのホストクラブを紹介する。いったんは断るつもりだったが、大樹はホストクラブにファンクラブを持つことになった。月収は約700万。大樹は大金を作るためにホストとなって働いた。

そんな父の実態を知った昌はホストを嫌悪しつつも真摯な姿を見せる大樹に、息子として心を許していく。

転校の編入試験のために勉強に打ち込む昌に、汐もダンテも力を貸した。その中で繰り広げられる汐とダンテの愛の攻防戦は激しいものだった。ダンテを拒む汐と、いじけることなく愛を叫び続けるダンテ。ダンテの人の好さに、思わず大樹も昌も肩入れをしたくなる。

ホストを続けたお蔭で高遠への返済を完了した大樹は、昌のためにもホストを辞める決意をした。新しい就職先は書店。大樹は生まれて初めて人生の自由を味わう。

高校に転入した昌は、同級生吉住よしずみあやと付き合い始める。汐とダンテはその恋の応援をする。

母国から父が倒れたという知らせを受けたダンテは、イタリアに帰国し事業を手伝う決意をする。突然の別れに言葉を失う汐。

だが数か月後、事業拡大で日本支社勤務となったダンテが、心にぽっかりと穴が開いた汐の前に現れる。変わらないダンテは汐に愛を囁いた。ダンテとの愛の攻防の日常に返った汐は、平和に包まれるのであった。

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