見えない隣人

 足音のないそれは、静かにやってくる。


 姿のないそれは、隣にいてもわからない。


 聞こえない声で囁き、僕の心を操って支配する。


 支配から逃れられるのは、ふとした瞬間の何もないときだけ。


 絶望と希望が、いつのまにか僕を支配する。


 いまも隣にいるとしたら、それはどちらなのだろう。


 絶望という友人。


 希望という他人。


 どちらにいてほしいのか、僕にはわからない。


 わかっていることは、ひとつだけ。


 それから逃れることは、僕にはできない。

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