6年1組はこうして一つになった。M君ありがとう!

イチカ

第1話

『グループ六年一組トップ』 6月21日


 メグミ「あーし、いーこと考えちゃった! みんな聞いてっ!」 

 ダイゴ「ウザい、ダルい、ウザい、ダルい、ウザい、ダルい」 

 メグミ「それ学校でしょ? だからいいこと思いついたの、聞けよ」

 準「何だよ、うるせーな、つかこのライン毎日いる? 見ているヤツもどうせ少ねーだろ?」

 アリエル「あたし達、六年一組のトップグループの会合なんて、意味ないからね、何が変わる訳じゃない」

 メグミ「だから変わるんだって、あーしの話聞いてよ」

 ダイゴ「んだよ、早く言え」

 メグミ「先生辞めさせちゃおう」

 準「は? 何言ってんの? 頭レンチンした?」

 メグミ「ざけんな準、あーしはマジだ」 

 ダイゴ「なら下らない妄想だな、そんなこと出来るわけないじゃん、バカ?」

 メグミ「黙れデブ、あーしに悪口を言える体型か?」

 アリエル「確かにダイゴはデブだねWWW」

 準「いや、アリエルはデブスだろ、しかも人魚姫と書いてアリエルって、キラキラネームW」

 アリエル「黙りな、ゲームオタク、キモいんだよ」

 準「俺はオタクじゃねー、プロゲーマー目指しているんだ」

 メグミ「はいはい、判ったからあーしの話聞いてよ」

 ダイゴ「何だよ、いーことって何だ? 一応聞いてやる」

 メグミ「あーし等六年一組の担任、木戸雅也を辞めさせよう!」

 準「は? 聞いて損した、マジバカがいる」

 アリエル「メグミ、ホントにどうかしたの? 頭でも打った?」

 ダイゴ「ウザい、ダルい、聞くだけ無駄だった」

 メグミ「話しは最後まで聞けよ、あーしの従姉妹が、中学生なんだけど、気に食わない教師を辞めさせたんだって」

 準「はあ? どうやって?」

 メグミ「授業の時わざと騒いで妨害すんの、そしたら最後に教師は逃げていくんだって」

 ダイゴ「お前バカか? 怒られるだろ、普通に」

 メグミ「はあ? ダイゴくんたら木戸に怒られるの怖いの?」

 ダイゴ「ふざけんな、つまんないことに関わりたくないだけだ」

 メグミ「だからさ、そのつまんないは木戸がつまらない教師だからだろ? 学校では携帯没収だし、ぼそぼそ暗いしゃべり方だし、すぐにきーきー怒る、授業もわかりづらい」

 準「まーな、中学受験する田村とか木戸先生にうんざりしているからな」

 アリエル「上手くいくわけないじゃん、他の先生が来て叱られるだけだよ」

 準「いや、そうとも限らねーぞ、今は教師より生徒の立場が上だ、教師が偉そうに叱りつけたら俺の親にチクる、PTA役員だから大事になるさ」

 ダイゴ「準、お前乗る気なのか? くだらない作戦に」 

 準「少なくとも何日かは退屈しなくてすむ」

 アリエル「なる、あたしも賛成、これを見ている六年一組の奴らはどーよ?」

 ウッキ「スゲー面白そう! 俺もやりたい」

 メグミ「六の一の猿、ウッキがいきなり入ってきて賛成したよ、反対の奴は?」

 コージ「馬鹿な真似は止せ、木戸先生でいいじゃないか」

 田村 烈「ダメだコージ、あいつの授業は塾の半分も進んでいない、理科教師なのに教えるの下手すぎ、俺は賛成」

 アリエル「反対のコージがすぐに田村に反論されてやんのWWW」

 コージ「なら勝手にしろ、俺は知らない」

 メグミ「はいはい、バイバイコージ、で他は?」

 ダイゴ「いねーみたいだな、しゃーねえ木戸辞めさせ作戦やるか」

 トキオ「ちょっとまって」

 準「何だよトキオ、お前も反対なのか?」

 トキオ「こんな問題をここだけで決めるのはマズいよ、明日クラスのみんなで多数決とろうよ」

 トキオ「みんな見てないかも知れない」 

 メグミ「んだよ、メンドいー、いいじゃん別に」 

 準「いや、そうすべきかもな」

 ダイゴ「んだな、明日クラスのみんなに提案してみようぜ、俺達だけじゃスベるだけだ」

 メグミ「しゃーねー、んじゃ明日ね、あーしもう寝る」

 ダイゴ「ああ、じゃな」

 準「ま、一日でも退屈しないだろ」

 アリエル「楽しみー」


 03─×××─×××× 久地健児 6月21日


「もしもし」

「ケンジか? ダイゴだ」

「おお、何だ?」

「メグミの奴がよー、くだらねーことやろうとしているんだ」

「へぇー、俺はスマホ持っていないからラインに参加できないから判らないんだけど、どんなこと」

「六の一の担任の木戸を辞めさせるって話」

「マジ! そんなことできるのか? ダイゴ」

「何だか出来るっぽい……て、お前メシ喰った?」

「まだ、かーさん帰っていない」

「ケンジ、もう十一時だぞ」

「うん、風呂も壊れてて困っているんだ、まあ、もう少し待ってみる」

「判った、じゃなケンジ、また明日」

「おう」


『グループ六年一組トップ』 6月22日


 メグミ「ちゃお!」

 準「何だよ、ゲーム中だ」

 メグミ「このゲームオタク、昨日の話し忘れやがった」

 準「忘れてねーよ、木戸のことだろ? ちゃんとみんなに聞いてみた」

 アリエル「あたしも」

 メグミ「ダイゴは?」

 ダイゴ「やったぜ、うっせえなあ」

 メグミ「ようし、これで六の一の四天王が揃ったか」

 準「四天王? ダサッW」

 メグミ「うるせー、で、どーよ」

 ダイゴ「総合すると、賛成12人、どちらでもいい4人、反対9人、よって木戸先生は追放」

 メグミ「やたー! でも反対は誰?」

 アリエル「トキオとかキラリとかコージとか可愛い舞ちゃん」

 メグミ「ザコばかりじゃん」

 アリエル「舞ってちょっと可愛いからって図に乗ってない?」

 準「お、ブスのやっかみか? 舞は静かにしているじゃん。本人も見ているかもだしやめろよ」

 メグミ「そーそー、それに今は木戸追放のハナシ」  

 ダイゴ「しゃーねーな、どうやるんだよ」

 メグミ「そーだねー、決めた時間になったらあーし達全員で筆入れ落とすとか、教室の時計早めておくとか、授業中うろつくとか、後騒ぐ」

 準「それ面白いのか? くだらねー気がするが」

 メグミ「やってからのお楽しみ」


 M「そんな事よりもっと面白いことがあるよ」

 

 ダイゴ「えっ! 何だお前? 突然、誰だよ」

 アリエル「ここは西町小学校の六年一組オンリーのグループだよ、他人は入るな、キモい」

 M「僕も六年一組だよ」

 準「じゃあ誰だよ? KIKO? マリリン? ミノル?」

 まさみ「さあね、とにかく六年一組だよ」

 ダイゴ「まさみか、お前の知り合い?」

 まさみ「うん」

 アリエル「誰よ」

 まさみ「まだ内緒」

 ダイゴ「ざけんな、ここは六年一組のトップグループが仕切っているんだ、訳の分からない奴を入れるなよ」

 M「まあまあ、僕の話を聞いてよ、すっごい楽しいことがあるんだ」

 メグミ「マジ! なにそれ」

 M「みんなでさ、クラスの誰かをハブろうよ、シカトとか」

 ダイゴ「はあ? くだらねえ、ただのイジメじゃん」

 準「まさみ、こいつ何、つまんないんだけど」

 M「だけど、やったことあるかい?」

 アリエル「確かにないね、あたし達そう言うのメチャ禁止されていたから」

 まさみ「ならやってみよー」

 ダイゴ「まさみ、訳の分からない奴の言うこと聞くのか?」

 まさみ「だから、私達も知っている六年一組のメンバーだって」

 準「じゃあだれだよ、名前もあかさない奴を信じられないね」

 メグミ「あかんべー」

 M「しょうがないな、ぼくが面白い奴だと明日証明してやるよ」

 準「はあ? 何やるんだよ」

 M「明日楽しみにしておいてくれ」

 メグミ「どうする?」

 ダイゴ「いいじゃねーか、明日だかんな」

 M「任せてくれ」

 準「じゃあ今日は解散でいいんじゃね? 俺ゲームの途中なんだ」

 ダイゴ「そうだな、M、楽しみにしているからな」

 メグミ「じゃね」


 『ラインID 藤堂恵実』


 M「メグミさん」

 メグミ「あ、何よあんた、何であーしのID知ってるの? ああ、まさみか」

 メグミ「で何よ、キモいから連絡してこないでよ」

 M「お前の両親、パチンコ狂いだよな」

 メグミ「何だよ! ウザいな、勝手だろ」

 M「家の金、全てパチンコに使うんだって?」

 メグミ「うるせえ」

 M「だから他の生徒から物を盗むのか」

 メグミ「は? 何のこと?」

 M「とぼけんなよ、僕は知っているんだ、こないだ睦から消しゴム盗んだろ」

 メグミ「あんた誰よ!」

 M「そんな事より、明日学校でみんなに言おうかな、メグミはドロボーだって、自然にハブられるかもね」

 メグミ「ちょっとやめてよ、やめて、お願い、睦に返すから」

 M「いや、いいんだよ、ただしぼくは知っているよ」

 メグミ「だから何よ、ちょっと、M、答えなさいよ」

 メグミ「Mってば」


『グループ六年一組トップ』 6月23日


 準「草、草、草、草、大草原WWW、スゲー笑った」

 アリエル「あたしも爆笑」

 ダイゴ「M、教卓に理科室のホルマリン漬けのカエル入れたのお前だろ? やるじゃん」

 M「楽しんでもらえたかい?」

 準「サイコー! 木戸の奴、まさにカエルみたいにひっくりかえってんの」

 ダイゴ「ああ、何か胸がすーとした、ん? どうしたメグミ、珍しく静かだな」

 メグミ「別に、確かに笑ったね、Mってすごいね」

 準「ああ、感心した、スゲー面白かった」

 M「だろ? ぼくはいろんな面白いこと知っているんだ」

 ダイゴ「結局お前誰だよ、もう怒らないからさ、教えてみ」

 M「まだ内緒」

 アリエル「えー、知りたい」

 M「こういうのは秘密だったほうが楽しいんだ」

 準「そうだな、MはMでいっか」

 M「ありがとう、でどうする?」

 ダイゴ「え? 何を」

 M「昨日話したろ、クラスの誰かをハブって、みんなでイタズラする」

 ダイゴ「あーそれかぁー、でもなぁー」

 メグミ「いいじゃん、Mの言うとおりにしようよ」

 準「何だよメグミ、いきなり」

 メグミ「だってMのやったこと面白かったでしょ? なら今度もきっと面白いよ」

 アリエル「でもちょっとあたしは反対かな」

 M「どうして?」

 アリエル「単純にかわいそうじゃん、そいつ」

 メグミ「何を今更、あんた舞や志乃やらの六の一のキレーどころを目の敵にしてるじゃん」

 アリエル「それはそうだけど」

 ダイゴ「デブスの嫉妬だ、俺達には関係ない」

 M「ダイゴも反対なんだ」

 ダイゴ「俺そう言うの好きじゃないんだよな、男ならケンカはタイマンだ」

 メグミ「古、ダサっ、お前は昔の漫画か」

 準「うーん、でも俺もダイゴ派だな、イジメとかもっとダサいじゃん」

 M「イジメじゃないよ、イタズラさ、ちょっとしたね」

 ダイゴ「どう違うんだよ」

 M「みんな頭かたいなー、すっごく面白いのに」

 メグミ「でさー、やるとして誰が標的? 誰をハブるの?」

 M「ケンジくらいかな」

 ダイゴ「何だよそれ! どうしてケンジなんだよ!」

 M「だってあいつ臭いし、頭もフケだらけじゃん、キモい」

 アリエル「あ、それあたしも思っていた」

 ダイゴ「ふざけんな! 俺はイヤだね、てかM、お前マジで誰だよ!」

 M「どうしたダイゴ、君は確かケンジの幼馴染みだったね、だからイヤなのか?」

 ダイゴ「かんけーねーだろ、黙れや」

 メグミ「あーしは賛成、ケンジ嫌いー」 

 ダイゴ「うるせえ、ぶっ飛ばすぞ」

 準「落ち着けよダイゴ、俺も反対だMさ、目標なら木戸先生でいいじゃん、どうしてケンジが出てくるんだよ」

 M「木戸が代わってもいい先生が来るとは限らないだろ? それに今朝のアイツのリアクションもなんかイマイチだった」 

 ダイゴ「だからなんでケンジなんだよ!」

 メグミ「うっさいよダイゴ。いいじゃんケンジなんて」

 アリエル「メグミ、あんたどうしたの? 急にMの肩を持ちだして」

 メグミ「別に、あーしは面白い方につく、それだけ」

 ダイゴ「おもしろくねーよ」

 M「わかったわかった、この話は明日にしよう、それまでケンジには内緒な、見ていた奴らもだぞ、チクったら標的はオマエ等だからな」

 ダイゴ「勝手に終わらすんじゃねーよ」

 準「ダイゴ落ち着け、今のところ反対が多いんだから」

 メグミ「ダイゴ、バッカみたい。じゃね」

 アリエル「んじゃ、また明日ね」

 ダイゴ「ケンジは目標にはさせないからな」

 準「はいはい」


 03─×××─×××× 久地健児 6月23日


「もしもしケンジか」

「ダイゴ、どうしたこんな時間に」

「お前やばいぞ」

「え? 何で」

「Mっていう奴の標的になってる、このままじゃクラス中からハブられる」

「マジ! てかMて誰?」

「分かんねえんだよ、だけどクラスの誰かだ、六年一組を知りすぎている」

「どうしょう、ダイゴ」

「安心しろ、俺が反対している、それよりお前毎日風呂入れ、歯磨きもしろ」

「歯ブラシないんだよ、母さんが買ってくれない」

「おばさん、またホストクラブかよ」

「うん」

「ホストに金やってんのに歯ブラシも買ってくれないのかよ」

「うん」

「風呂は?」

「まだ故障中」

「何だよそれ、お前の母ちゃんどうかしているぞ」

「ダイゴ、母さんを悪く言うな」

「わかったよ、そう言えばメシは?」

「今日はないみたい、あした給食まで我慢する」

「ちくしょー、まあとにかく気を付けろ、もしもの時は俺が何とかする」

「ありがとうダイゴ」

「いいんだって、じゃな」


 090─××××─×××× 母さん 6月23日


「母さんどこにいんだよ」

「何よ、煩いわねケンジ、楽しく飲んでいるのに、てか電話してくんなよ」

「俺の飯は?」

「あー忘れてた、そこらの喰っておいて」

「もう、何もないよ母さん、金も」

「判った判った、明日帰るから我慢してな」

「もう四日だよ、風呂にも入りたいよ、歯ブラシも欲しい」

「男がうだうだ言うな、バカ」

「でも、母さん」

「判ったよ、ケンジの好きなたい焼き買っていってやるから、もう少し待ってな」

「マジ! ありがとう母さん! 待ってる」


『ラインID 比留間人魚姫』


 M「やあ、アリエルさん」

 アリエル「え! なんでM?」

 M「まさみから聞いてね」

 アリエル「あのクソ女、で何? ハブの件なら反対だよ」

 M「いや違うんだ、面白いの見つけてね」

 アリエル「はぁ、こんな時間にラインしてくる? そんな用件で」

 M「私はマーメイドです、良かったら友達になりませんか」

 アリエル「え」

 M「偶然見つけた、SNSのブログなんだけど、君だよね」

 アリエル「知らないそんなの」

 M「ふーん、だったらいいんだけど、背景が君の部屋にそっくりなんだよね、西町小の校章も見えるし」

 M「しかもマーメイドさん、余程フォロワー欲しいのか、裸の胸やアソコまで出してる」

 M「これがばれたら大変だろうな」

 M「でもアリエルじゃなければいいんだ、ぼくは」 

 M「もしそうだったとしても、ぼくはよっぽどのことがない限り、チクらないよ」

 M「あんしんしてね」


『グループ六年一組トップ』 6月24日


 ダイゴ「おい、どういうことだよ!」

 メグミ「何かあったダイゴちゃん」

 ダイゴ「とぼけんな、どうして女どもは今日一日ケンジをシカトしているんだよ」

 準「Mの提案には反対だったはずだろ」

 アリエル「あー、あれはあたし等の判断」

 ダイゴ「はあ? 何だと」

 アリエル「Mに言われて気づいたんだけど、ケンジ汚い、だから」

 ダイゴ「シカトしているってのかよ! てめえらぶっ飛ばすぞ」

 メグミ「やってみろよバカダイゴ、女の子に手をあげてカッコいいならね」

 準「何言ってんだよ、おまえらこそ陰湿だぞ、ケンジはスマホないんだ、このラインチャットには入れないんだぜ」

 アリエル「そんなの知らないよ、あたし等かんけーないじゃんW」

 ダイゴ「何だと」

 ダイゴ「この」

 ダイゴ「クソ女ども」

 M「まあまあケンカはよせよ」

 ダイゴ「M、てめえが発端だろ!」

 ダイゴ「白けた態度はゆるさねえからな」

 M「ちょっと待ってよ、ぼくは強要してないよ、誤解だよ」

 ダイゴ「何だと」

 メグミ「いや、マジだよ、あーし等Mに従った訳じゃないよ」

 アリエル「あたしだってMの言いなりになっていないし」

 ダイゴ「じゃあどうして?」

 メグミ「だ、か、ら、あーし達は自発的にケンジをハブったの」

 準「何でだよ、ケンジかわいそうだろ、相当戸惑っていたぞ」

 アリエル「あいつ汚いじゃん」

 ダイゴ「あいつにはあいつの問題があるんだよ」

 メグミ「しらなーい」

 ダイゴ「何だと」

 準「いや、こりゃ良くないよ、やってみてわかった、こんなのはゲスのやることだ」

 アリエル「何? あたし等のこと? 許さないよ準」

 準「じゃあ他の男子の意見聞こう、見ている奴、何かない?」

 タカヒロ「気分良くない、辞めようよ」

 トキオ「俺は最初から反対だった」

 コージ「バカやってないで、明日謝れよ」

 M「どうしてさ、これからが面白いのに」

 ダイゴ「何が面白いんだ!」

 M「みんなでイタズラするんだよケンジに」

 準「本格的にいじめようってか、いい加減にしろよM」

 ダイゴ「まさみ! 見ているんだろ、出てこいよ」

 まさみ「何」

 ダイゴ「このMってクズはだれだ? 男か女か」

 まさみ「どうして知りたいの?」

 ダイゴ「ぶっ飛ばしてやりたいからだよ!」

 まさみ「教えない」

 ダイゴ「てめえ、明日学校で酷い目遭わすぞ」

 メグミ「あらー、ダイゴちゃん女の子に何すんのW」

 ダイゴ「関係ねー、ケンジの痛みを教えてやる」

 M「女の子に暴力はダメだよ」

 ダイゴ「何ほざいてんだ、ならお前は誰だ、本当に六年一組の生徒か?」

 M「ああ、六年一組さ」 

 準「じゃあ誰だよ、いい加減卑怯な真似はよせよ」

 M「内緒だよ」

 ダイゴ「ああ判った、あしたまさみに聞いてやる、実力でな」

 準「俺も知りたい」

 アリエル「ちょっと、あんた達」

 ダイゴ「うるせー、今日は終わりだ」

 準「楽しみだよ、明日が」


 03─×××─×××× 久地健児 6月24日 


「ケンジ」

「ダイゴか、どうなった?」

「安心しろ、明日メグミ達を唆したMって奴をぶっ飛ばす、それで万事OKだ」

「そうか、よかった……ありがとう」

「何言ってんだよ、ずっとダチだろ」

「そうだねダイゴ」

「じゃあ俺は明日の運動に備えて寝るわ」

「ああ、またなダイゴ」


『ラインID 柿崎 準一』


 M「準くん」

 準「うえっ、なんでM?」

 M「話があってね」

 準「俺にはない、ゲームやるからもう相手しないぞ」

 M「そのゲームってオンライン?」

 準「かんけーないな、ウザい」

 M「凄く強いんだってね君」

 M「アイテムの桁が違うから」 

 M「で、その武器にいくら課金した?」

 準「何だよそれ」

 M「お父さんのカード使っていくら課金したんだい」

 準「なんで」

 M「君はすごいゲーマーだよ、例え親の金を勝手に使ってもね、ぼくは尊敬するな」

 準「それ親父に言った?」

 M「準くん、ぼくはそんなに野暮じゃないよ」

 準「頼む、誰にも言わないでくれ」

 M「うーん、どうしようかな」

 準「頼む、頼むから、親父に殺される」

 M「じゃあ、ぼくの邪魔はしないでくれ」


『ラインID 加藤 大悟』


 M「起きている? ダイゴくん」

 ダイゴ「Mか、まさみからID聞いたんだろ、お前と話すことはない、寝る」

 M「ちゃんとオムツはしたよね」

 ダイゴ「は?」

 M「夜尿症って言うんだよ、六年生にもなっておねしょするの」

 ダイゴ「何で」

 M「知っているかって? ぼくが六年一組だからだよ」

 ダイゴ「みんなは?」

 M「知らない、ぼくは話していない、まさみにも」

 ダイゴ「お前何なんだよ」

 M「ぼくは楽しいことが好きなだけさ」

 M「言いたいこと判るよね?」

 ダイゴ「ケンジをいじめろってか」

 M「違うよ、ただのイタズラだよ、みんなで」

 ダイゴ「何でだよ」

 M「クラスのためさ、六年一組を一つにする、ケンジはそのための生け贄だ」

 ダイゴ「生け贄なんていらないだろ?」

 M「いるんだよ、君には判らないだけ」

 M「で、どうする? 明日から寝小便小僧って笑われたい?」

 ダイゴ「でも、でもよう」

 ダイゴ「ケンジはよう、友達なんだ」

 M「でも他人だよ」

 M「君がケンジを庇って寝小便小僧になっても、ケンジは君を庇わないだろ」

 ダイゴ「でも」

 M「あんまり大げさに考えるなよ、たかがイタズラだ」

 ダイゴ「だけど」

 M「それとも、寝小便小僧の君が目標になるかい?」

 ダイゴ「でもケンジは、よう」

 M「考えるまでもないね、決定だ」

 M「明日から学校は楽しくなるよ」


『グループ六年一組トップ』 6月25日


 M「みんな! ケンジの奴、便所でクソしていたぞ!」 

 M「ほれ、決定的瞬間」

 メグミ「あははは」

 メグミ「ちょーウケるWWW Mの奴、盗撮してんの」

 メグミ「ケンジのうんこなんて誰も見てないってW」  

 メグミ「でもノート全部破かれたケンジの顔、間抜けだったね」

 準「ああ、大草原、腹筋イテーWW」

 アリエル「庇ったトキオやコージをぶん殴ったダイゴも偉い、あんなに反対していたのにWWW」

 ダイゴ「おお」

 メグミ「何だよダイゴ、今更後悔? 図体ばかりでかいねアンタW」

 ダイゴ「うるせー! やかましいんだよ、てめーら」

 コージ「お前等何やってんだよ、軽蔑するね」

 トキオ「俺もいやだな」

 アイアン「ね、明日もすんの? 今日みたいなこと」

 まさみ「あーあ、ザコどもがさえずっているよ、ダイゴに逆らえないクセに」

 M「みんな、深刻に考えるなよ、ケンジもあまり気にしていないさ、ジョークだよ」

 コージ「M、お前はクズだ」

 ダイゴ「また殴られたいか? コージ」

 M「ダイゴの言うとおり、あまりイキっていると目標かわっちゃうよ」

 メグミ「んなことよりさ、次、何する? ケンジの横を通るたびに蹴るは今日やったし」

 アリエル「あいつの給食ぶちまけるとか」

 準「とにかく、ケンジとの会話は禁止、破ったらケンジと同罪。判っている? 見ている奴ら」

 メグミ「Mの言うとおりだよ、こんなにガッコ楽しいなんてW」

 準「ゲームより何倍も気持ちいいよ」

 M「どうした? ダイゴ、静かだな」

 ダイゴ「なんでもねー、うるせーんだよ」


 母さんへ、久地健児 8月31日


 母さんごめん。

 もう耐えられないんだ。

 ごめん。

 今日食べたたい焼き美味しかったよ。

健児


『グループ六年一組トップ』 9月2日 


 メグミ「雨ひどかったね」

 アリエル「黒い服なんて持っていなかったから新しく買ったのに、ぬれちゃった」

 準「何で、ケンジの顔見られなかったんだ?」

 メグミ「高いところから飛び降りたから」

 メグミ「きっとグロ」

 アリエル「ケンジのお母さん、糸切れた人形みたいだったね」

 ダイゴ「ふざけんな! あの人はケンジを放っておいて、毎晩ホストクラブ行ってたんだ、ケンジへの養育費でだ、今更悲しいフリなんかすんな!」

 メグミ「あれってさ、アリエルが悪いんだよね?」

 アリエル「何でよ!」

 メグミ「ケンジの給食のスープにミミズ入れたじゃん」 

 アリエル「ならメグミはケンジをがびょう投げの的にしたじゃん」

 アリエル「てか準が悪いんじゃない? ケンジの絵の具入れ三階からぶちまけた」

 準「なら、裸にしてデカい水鉄砲で撃ったダイゴは?」

 ダイゴ「俺はただ、あれだ、その」

 M「みんな、勘違いしているよ」

 M「ケンジは母親が構ってくれないから自殺したんだよ、遺書にもクラスのことは何も書かれていなかっただろ」

 メグミ「本気でそう思う?」

 M「もちろん、まさみは?」

 まさみ「ケンジはマザコンだった、それだけ」

 アリエル「まさみ! よくそんなこと書き込めるね」

 まさみ「何で? 私らもう共犯だよ」

 準「何だよそれ?」

 M「もしケンジがぼくらのイタズラで死んだなら、六年一組全員がやったことになる」

 メグミ「違う! あーしは違うよ」

 ダイゴ「違わないね、みんなが犯人だ!」

 メグミ「だってただのイタズラだって」

 ダイゴ「俺達はやりすぎたんだ」

 M「まーまー、それより次は誰にする?」

 メグミ「は?」

 アリエル「え?」

 準「何言ってんだよ」

 M「だから次のイタズラの目標」

 メグミ「アンタ頭どーかしてるよ、まだやるっての」

 ダイゴ「そうだな、スマホを持っている奴らはここ見ているから、持ってない光あたりは」

 M「光か、いいね」

 準「ダイゴ」

 ダイゴ「とにかく、その話しは今度しよう、俺は疲れた」

 M「そーだね、楽しみはとっておこう」

 ダイゴ「今日は解散だ」

 準「じゃーね」

 アリエル「また」

 メグミ「はーい」 


『グループ六年一組会議室』 9月2日 


 ダイゴ「来たぜ、コージ」

 コージ「まさみとMは」

 メグミ「ここのID知らないし、存在も教えていない」

 ダイゴ「まさか誰かもらしていねーだろうな、いたらそいつをぶち殺す、マジだぞ」

 準「ダイゴ、興奮するな」

 アリエル「大丈夫だと思う、教室じゃなく、帰った後電話でみんなに伝えたから」

 ダイゴ「ケンジを殺したのは俺だ」

 メグミ「ダイゴ」

 ダイゴ「俺、ケンジのダチだったのに、裏切っちまった」

 準「それはMのせいだろ、だから新しいアカ作ったんだ」

 コージ「そーだダイゴ、もう俺達は人殺しだ、嘆いていてもケンジは帰ってこない、ただオトシマエはつけないとな」

 メグミ「それって、まさみとMに?」

 コージ「M、か」

 コージ「なあ、Mって結局誰だと思う?」

 アリエル「それは」

 準「確かにいつの間にか忘れてた、誰だよアイツ」

 コージ「俺はずっとMについて探ってた、で結論が出た」

 ダイゴ「誰だ? 早く教えろ、コージ!」

 コージ「待てダイゴ、最後の検証がいる」

 準「何だよそれ?」

 コージ「俺、毎日塾で遅くまで勉強させられ、むしゃくしゃして公園のホームレスのダンボールの家燃やした」

 メグミ「は? 何それ」

 ダイゴ「お前、ふざけてんのか?」

 コージ「ふざけてない、みんな知っていたか? ここを見ている六年一組のみんな」

 コージ「結構大事になって警察と親にどやされた、けどけが人が出なかったし、ガキだったから許された」

 準「知るワケねーだろ、お前あぶない奴だな」

 コージ「Mは知っていた」

 準「は?」

 コージ「Mはそれで俺を脅してきた、ケンジを庇うなって」

 アリエル「ええっ」

 コージ「お前等はどうだ、何か秘密なかったか?」

 ダイゴ「俺は寝小便する」

 メグミ「ダイゴ?」

 ダイゴ「こんなナリしてまだ寝小便する、笑えるだろ、秘密の秘密だ」

 コージ「知ってた奴は?」

 ダイゴ「誰かに教えられると思うか?」

 メグミ「あーしドロボーだ、いつも睦とか色んな物盗んでる」

 睦「それ、知ってた」

 メグミ「マジ! ごめん睦」

 コージ「誰かに教えたか?」

 睦「先生にそうだんした」 

 メグミ「え!」

 準「俺さ、親父のカードを無断で使ってゲームに課金してた、こないだ怒られたんだけど、ずっと前から知っていたって。もしかして学校にも相談していたのかな?」

 コージ「話が見えてきたろ?」

 アリエル「あたしは」

 メグミ「いーんだよアリエル、Mに脅されるくらい恥ずかしいことなら話さなくて」

 アリエル「だめ、それじゃあみんなに、ケンジに申し訳ない」

 アリエル「あたし、SNSで裸になってる」

 アリエル「顔は隠しているけど、フォロワーに頼まれてつい」

 アリエル「親が激怒して部屋消されたけど、もしかして学校にはバレてたかも」

 コージ「Mの正体は木戸雅也だ、六年一組担任、確かに六年一組のメンバーだな」

 準「マジかよ、でも」

 コージ「あいつは一度致命的なミスをしている、6月25日だ、ログを見てみ」

 メグミ「えー、別に普通だけど」

 コージ「ケンジのうんこだ、俺達はスマホを朝に没収されて帰りに返される、何故Mは半端な時間にケンジを盗撮できる?」

 メグミ「あ」

 コージ「必死だったんだろうよ、ケンジをイジメさせようと」

 準「でもどーして」

 コージ「お前達、あの前どんな会話してた?」

 準「そーか、メグミが木戸を辞めさせようとしてた」

 コージ「木戸は学級崩壊になるのが怖かったんだ、だから違う目標に逸らすことにした」

 ダイゴ「ケンジか? それがケンジか!」

 コージ「まさみと結託して、クラスのみんなの情報を集めたんだ、教師しか知らない弱味をな」

 メグミ「で、あーし達を脅した、ちきしょー!」

 ダイゴ「あいつ、ぶっ殺してやる」

 コージ「待て、まだ決定的な証拠がない、俺のも状況証拠だ」

 準「だけど、そう考えたらMの最初のイタズラの謎も解ける」

 準「ずっと謎だったんだ、木戸の教卓にあったホルマリン瓶から出したカエル、どうやって手に入れたか」

 準「だって理科室には鍵がかかっているし、ホルマリン標本もケースの中に入っている」 

 メグミ「あいつ理科教師だ! カギ持ってる」

 コージ「自作自演か、でもまだ決定的じゃないな」

 ダイゴ「そんなもん明日手に入れる」

 準「どうやって」

 アリエル「木戸はきっとトボけるよ」

 ダイゴ「木戸じゃねー、まさみだ、アイツに口を割らせる」

 ダイゴ「手伝えタカヒロ、ウッキ」

 タカヒロ「判った」

 ウッキ「俺も、ケンジを殴った感触が消えないんだ、だから手伝う」

 メグミ「でさ、もしそーだったら? 木戸がMだったら? 学校にチクる?」

 コージ「それは」

 ダイゴ「なあ、まだみんな綺麗なままでいるつもりか?」

 アリエル「ダイゴ」

 ダイゴ「もう遅いんだよ、何もかも」

 ダイゴ「ケンジは俺達六年一組のみんなにハブられ、いじめられ、住んでた団地の屋上から飛び降りて潰れたんだ」

 ダイゴ「俺達はみんな弱味を握られてた、だがやったことに言い訳できねー」

 ダイゴ「六年一組はもうとっくに人殺しの集団なんだ」

 ダイゴ「だから、もし、木戸が犯人なら、ケンジと同じ目に遭わせる」

 メグミ「殺すって事?」

 ダイゴ「嫌な奴はいい、だけど俺はやる」

 コージ「ダイゴ! 待てよ」

 ダイゴ「ケンジはダチだったんだ!」

 ダイゴ「嫌な奴は今言え、安心しろ、何もしない、許す」

 ダイゴ「いないようだな」

 ダイゴ「なら、これが六年一組のやり方だ」


『グループ六年一組会議室』 9月3日 


 ダイゴ「終わったぜ」

 メグミ「で?」

 ダイゴ「コージの言うとおりだ、まさみが吐いた、Mは木戸雅也だ」

 アリエル「まさみは?」

 ダイゴ「夜の塾に行くところをとっ捕まえた、今は河川敷にある小屋」

 メグミ「何でまさみは木戸についたの?」

 ダイゴ「気持ち悪りーが、まさみは父親がいなくて寂しかったんだって、だから木戸になぐさめて貰ってた」

 メグミ「なぐさめる?」

 ダイゴ「木戸と色々していたみたいだ、やらしーことも」

 アリエル「うええ」

 準「まさみはどうする?」

 ダイゴ「燃えてるぜ」

 メグミ「なにそれ、ちょっと」

 ダイゴ「ケンジに使った水鉄砲に灯油を入れて撃った、ライターで脅かすつもりだったんだけど、火がついちまった」

 準「お前、それ、殺人」

 ダイゴ「みんなそうだろうが!」

 ダイゴ「もう遅えんだよ」

 ダイゴ「ここらは人がいねーからしばらく時間稼げるが、もう今日中にやるぜ」

 アリエル「やるって?」

 ダイゴ「木戸を殺す」

 ダイゴ「まさみのスマホがある、木戸をこれから学校におびき寄せる」

 ダイゴ「もう一度念を押しておく、イヤなら来るな」

 準「行く」

 メグミ「あーしも」

 アリエル「六年一組じゃなくなるのやだよ、行く」

 ダイゴ「よし、光には俺が電話しておく」


『木戸雅也と田中雅美のお部屋』 9月3日 


 まさみ「先生、これから学校来て」

 木戸「どうしたまさみ、またクズガキどもか」

 まさみ「うん、相談がある」

 木戸「明日じゃダメか? それかラインでは」

 まさみ「イヤ、会いたい」

 木戸「しかしなあ」

 まさみ「来てくんないならみんなに言っちゃうよ」

 まさみ「先生があたしに何をしたか」

 まさみ「あたしのスマホに沢山の証拠の写真があるんだから」

 木戸「わかったわかった、全くお前は我が儘だな」

 まさみ「じゃあ先生、教室に10時に、待ってるよ」

 木戸「わかった」


『グループ六年一組トップ』 9月3日 

 

 ダイゴ「木戸はどうしたっ」

 田村 烈「今三階の廊下を走っている、アイアンと光が追ってる」

 準「絶対に捕まえろ!」

 メグミ「KIKO、マリリンと先回りして!」

 アリエル「ごめん、みんな、あたしが教室で見つかったから」

 ダイゴ「今はいい、とにかく木戸を見つけて、殺せ!」

 メグミ「ああ! 木戸の奴KIKOとマリリンを殴り倒して二階へ下りた」 

 コージ「任せろ、階段には俺とタカヒロとトキオが隠れている」

 コージ「ああクソ、あいつ階段で一階に降りるの避けやがった」

 準「今はどこだ?」

 トキオ「二階の理科室」 

 ダイゴ「俺がいく、バット持ってきた、ケンジのカタキ討つ」

 準「周りに仲間は?」

 ダイゴ「いらねー」

 メグミ「ダイゴ、相手は大人だよ、ムチャだよ」

 メグミ「待ってて、あーし近い」

 ダイゴ「ケンジはダチだったんだ! 幼稚園から一緒だった、ちくしょー、ケンジ、ごめんな、ごめんな」

 メグミ「ダイゴ、待って」

 睦「木戸先生逃げたよ、今図書室辺り」

 メグミ「ダイゴ、ねえ、ダイゴ頭割られている、脳って拾ったらくっつくんだっけ?」

 アリエル「メグミ、ダイゴはもうダメ、木戸を追うの」

 メグミ「ねえ、誰かダイゴ助けてよ」

 準「脳が出てたら手遅れだ」

 メグミ「ちきしょー」

 キラリ「木戸先生家庭科室に入った!」  

 ウッキ「ミノル、お前前の扉、俺は後ろから入る」 

 ミノル「わかった」

 睦「あ、木戸先生、階段へ向かってる」

 キラリ「ウッキとミノルが!」

 準「どうした?」

 キラリ「血だらけだよ! 二人とも死んじゃった!」

 田村 烈「家庭科室で木戸の奴、包丁を手に入れたんだ、俺も廊下で刺された」

 コージ「田村、大丈夫か」

 田村 烈「わかんない、痛くないんだ、ただ血が止まらない、救急車よんでいい?」

 準「だめだ、今他の大人に来られたら木戸が逃げる」

 田村 烈「そうだな、しばらくじっとしてる、木戸は階段だ」

 メグミ「絶対に殺してやる!」 

 準「メグミ、熱くなりすぎだ」 

 志乃「田村君倒れているよ! いまみゆきが血を止めようとしているけど、ダメっぽい」

 タカヒロ「木戸は階段だ、一階へ降りるぞ、慎と章人とで止めてみる」

 M「何なんだよ、何なんだよおめーらは? どうして俺を襲ってくるんだ?」

 メグミ「トボけるんじゃないよ、あんたがあーしらを脅迫してケンジを殺させたんだ、それにダイゴも殺した。だから殺してやる」

 M「馬鹿野郎、俺は教師だ、教師は学校内で生徒を殺してもいいんだ、ニュースとか見ていないのか? 生徒を殺して罪に問われた教師なんていないんだぞ」

 M「頭を下げる必要もないんだ」  

 メグミ「ふざけんな!」

 M「いいんだ、教師は生徒をイジメても殺してもいいんだ、いいんだ、いいんだ、いいんだ」

 アリエル「メグミが!」

 コージ「メグミは?」

 アリエル「階段で木戸に何度も殴られて落ちていった」

 準「くそっ、一階まで来たか、逃がすもんか」

 アリエル「準、マズいよ、木戸おかしいよ」

 準「だから逃がせないんだ」

 M「最初に俺をイジメようとしたのはオマエ等だろ? 俺は普通だ」

 M「こんな事、昔は良くあったんだ」

 M「俺がオマエ等くらいの頃、同じようにクラスの団結のために生け贄にされた、体育の時だって水を飲ましてもらえず熱中症になって倒れた」

 M「その時教師は俺を軽蔑したように見下ろして、根性がないからだ、もやし」

 M「と、熱あんのに殴りやがった、普通の教師がだ、なのに俺達が教師になったらアレは間違ってたって」

 準「黙れ!」

 M「俺も殴られたんだ、こうして、こうやって何度も何度も何度も」

 アリエル「準! 準がやられた、木戸は保健室方向、追っかける」

 M「勝手に殴っておいて、勝手に間違った教育しておいて、あいつ等は謝罪もしないんだ、ただジジイになったから許されたって顔してんだ」

 M「不公平だろうが!」

 アリエル「やった! 木戸の背中にハサミさしてやった」

 M「おかしいのは、ぬくぬく育ったてめえ達だ!」

 トキオ「アリエル、木戸どうなった?」 

 コージ「おい、アリエルが死んでる」

 コージ「喉にハサミ」

 トキオ「木戸は?」

 コージ「一階の保健室に逃げ込んだ」

 トキオ「こっちは後何人いる」

 舞「16人です」

 トキオ「全員保健室へ、いや半分は校庭から保健室の窓へ、逃がすなよ」

 M「来るな、わかった謝る、これは凄いことなんだ、教師は普通、間違っても謝らないものなんだぞ」

 M「来るな、来るな、来るな、来るな」


『朝径新聞』9月5日 

 

 夜の大虐殺、小学校教諭、生徒十数人を死傷させる。同クラスの女子生徒、河川敷で焼死体で発見。教諭の犯行か?

 教諭は学校内で死亡。学校は校内のトラブルを否定。


『グループ六年一組トップ』 9月5日 


 コージ「あーあ、ダイゴも準もメグミもアリエルも死んじゃったね」

 キラリ「しょうがないよ、やっぱり大人は強かったんだもん」

 トキオ「でもまあ、大概の罪はあいつ等が背負ってくれたんだし、感謝しようよ」

 舞「ここ、どうします? 六年一組グループライン。急遽クラス替えするんでしょ」

 コージ「俺達元六年一組でやってこうぜ、クラスバラけても折角あるんだから」

 トキオ「だね、本当に団結した六年一組だからね」

 キラリ「中学になってからも続けない?」

 コージ「俺達の友情は永遠だな」

 タカヒロ「おい、6chに妙な書き込みがあるぞ」

 トキオ「どんな?」

 タカヒロ「西町小学校の小学生虐殺事件は教師じゃなく生徒が襲ったんだとか、まさみの事件の真相とか、結構詳しく」

 タカヒロ「多分、六の一の誰かだな」

 トキオ「どうやら、また団結しなきゃいけないみたいだね」


             終


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6年1組はこうして一つになった。M君ありがとう! イチカ @0611428

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