どうして？

第1話生きたい

ねぇ、猫ってだけでこんなに苦しいの？

ご飯が無くて、ゴミを漁ったり、虫を食べたり。

でもね

優しい人もいる

ご飯と暖かい場所を作ってくれる人

凄く大好きだった

でもね

人間はどんどん増えて行くのにね

私達猫はダメなのね

春

桜が舞う中お腹に新しい命が芽生えた

胸も張ってきて

凄く幸せだった

お腹の赤ちゃんの為にも栄養を取らないと

黒いカゴのナカには

栄養ご飯

急いで子供の為にも食べに行った

そしたら

ガシャン

と大きな音

ご飯を食べ終わると

オリの中

私の可愛い赤ちゃん

お母さんが守ってあげるからね

一緒に沢山

お話ししようね

私は唸り声をあげながら威嚇する

現れたのは

いつもご飯をくれる人達

助かったの？

「ごめんね、ごめんね」

何を謝っているんだろう？

ワカラナイ

私の心臓がバクバクしている

布をオリに被せられて

他にも数匹の猫も行く

白い服を着た人が

悲しいそうな目をして

固定された体の上から

本当に

本当に

優しくお腹を撫ぜてくれた

「許してね、お母さん」

なに？

どういう意味？

ワカラナイ

お腹の赤ちゃんはどうなるの？

あなた達に迷惑かけた？

人間がそんなにエラいの？

やめて

やめて

子供には触らないで

叫んででいるうちに

意識が遠くなった

目が覚めたら

カラッポの体

いつもの優しい人間が憎くて仕方がない

子供を返して

私が守ってきた命なの

会える日を楽しみにしていたの

威嚇が止まらない

カエセ

カエセ

カエセ

子供をカエセ

人間じゃないからか？

猫だからいけないのか？

なら

ころして

子供に会いに行く

もう、カラッポ

カラカラ

心もカラカラ

何時もの人間が手を伸ばした

思いっきり噛む

クソ

これくらいじゃ私は殺されないのか

人間が泣きながら

「ごめんなさい、ごめんなさい」

泣いている？

血が沢山でている

びっくりして噛むのをやめる

私は死のう

子供達が待っている

お母さんがいないなんて可哀想

食べる事も、飲む事もやめた

あの子達に会うために

お腹の赤ちゃんは

もうイナイ

ずっと公園に雨の日も暑い日も寒い日も

来てくれる

本当は優しい人間

でもね

子供は違うの

意識が遠くなる

お母さん逝くからね

1人の人間がこっちに走ってくる

私を見て泣きながら抱きしめてくれた

暖かい

お母さんみたい

どうして？

私の子供は殺したのに？

猫がいなくなるのが目的じゃないの？

もう人間憎めない

きっと、子どもが産めない理由があったんだ

ありがとう

あのね

あのね

どうして？って思うでしょ

人間の子供は優しいし、残酷

でもね

公園にご飯を毎日持ってきてくれてありがとう

名前をつけてくれてありがとう

本当はね

人間みたいなお母さんになりたかった

みんなにご飯をくれて、痒くなくなる薬をつけて

くれて

私の子供を見せたかった

ごめんなさい

そして

おやすみなさい

毒のご飯を食べて死にかけた時も泣いてくれた

心の中だけで

お母さん

って呼んでいいですか？

もう

私はお母さんになれない

おやすみなさい

「ごめんね、ごめんなさい。産みたかったね。

絶対に死なせないから。いくら死にたがっても桜は死なせない。うちの子にする」

他のメンバーも泣いている。

避妊去勢は大切。

堕胎も大切。

不幸な命を増やさないように。

本当はずっと言い聞かせている。

堕胎なんかしたくない。

だけど

だけど

今の日本では

受け皿もいっぱいで

私は言い聞かせていた

不幸な命を増やさないように

多頭崩壊

悪徳ブリダー

偽善の愛護団体

本当に砂金を掴むレベルの動物の為の団体

虐待

子猫は仕方なかったと思っている

桜が

こんなに傷つくなら

どうして？

もっと早くにTNR出来なかったんだろう？

馴染みの獣医さんに連絡して

診察してもらう。

「極度の栄養失調と、脱水症状です。他には問題はありません。この子の気力が1番大切。強制給餌もしてもらいます」

「先生ありがとうございます」

私は上着を脱ぐとガリガリの桜に被せる。

寒くないように。

寂しくないように。

どこか人間ポイ桜。

今日から、家の子だよ。

私は避妊去勢は大切だと思う。

堕胎も。

涙が出る思いだけど。

それ程日本の環境で生きていくのは、難しい。

法整備も。

守るべき命を優先に。

不正行為する団体もある。

たまに、真面目にやっていて馬鹿らしくもあるが、猫が好き。

猫だって親になりたかっただろう

桜がそうだ

人間のエゴかも知れない

だけど

あなた達猫を守るための活動は、やめない。

不幸な命を増やさない為にも。

日本の動物に対する認識が1日も早く変わるためにも努力するだけ。

桜がうんと甘えられて、穏やかな日々を過ごしてもらうのが、私の役目。

ポトポト涙が桜の顔に落ちるが眠っている桜。

桜の花が咲く頃には、沢山の我が家の先住猫と仲良くしてね。

その他目にはお母さん頑張っていくよ。

仕事も

パトロールも

ご飯がかりも

お薬も

桜みたいな寂しい思いさせない為にもTNRがんばるね。

桜の匂いは、土の香りがした。

そして

原点に戻る。

私は猫が好き。