009
side:M
「まぁ、呼んだのはボクじゃないけどあながち間違ってはいないよ」
「やっぱり!?じゃあじゃあ、異世界転移ってこと!?やったぁ、夢がかなった!あれかな、やっぱ魔法が使えるせk……むごっ」
「ちょっ……」
「お前はいったん黙ってろ!!」
ショタ神様の言葉に、やっぱり異世界転移なんだとテンションが上がりオーナーの後ろから顔を出していただけだった私はオーナーの後ろから出るとグイっとショタ神様に詰め寄った。
そんな私にマジで引いてる顔を作ったショタ神様と同時にオーナーは怖い声を出して背後から私の口を塞いだ。
きっと、周りから見たらか弱い女性を人質に取っている凶悪犯か、か弱い女性を連れ去らおうとしている誘拐犯に見えることだろう。
私は、オーナーが怖いので大人しくすることにした。
「……それで、どういうことか説明してくれるんだろうなぁ?」
大人しくなった私を確認したオーナーは私の口から手を離すことはなく、そのまま視線をショタ神様に向けて悪役さながらなドスのきいた声を出した。
そんなオーナーを物ともせず、にっこり笑ったショタ神様は頷いた。
「もちろん。キミたちをここに連れてきたのはボクだよ。でも、キミたちをこちらの世界に呼んだのはボクじゃない」
「……どういうことだ」
「キミたちをこちらの世界に呼んだのは、この世界の人間だよ。」
何か含んだような言い方をするショタ神様に、オーナーは多分イライラしてきているのだろう。不審げな声で聞き返しているが、私の口を塞いでいる手には力が入っている。
「あれれ?信じてないって顔だね、お兄さんは」
これ、無意識に力が入って私の顔面つぶれちゃったとかならないよね?
それにしても、だ。
ここに連れてきたのはショタ神様だけど、この世界に呼んだのはこの世界の人間。
私の推測はあながち間違ってはいない……ということは、あれだ。
私は、私の口を塞いでいるオーナーの手を引きはがした。
「何らかの危機に陥ってて助けを求めるために、この世界の住人たちが私たちを異世界召喚したってこと?勇者や聖女に救いを求めようとかそんな感じで」
「う~ん、半分正解で半分不正解かなぁ」
はっきりしないショタ神様にイライラが募っているのか舌打ちをするオーナーに、ショタ神様じゃなくて私の方がびびる。
オーナーのマジギレは見たことないけど、絶対恐ろしいうえに私なんかが止めれるわけがない、なのでそうやってオーナーをイラつかせるのはやめていただきたい。
にこにこと、わからないの?みたいな雰囲気を醸し出しているショタ神様。
本当に見た目とのギャップが半端なさすぎるから。
こういうの、二次元ではめちゃくちゃいいなギャップ萌えとか思ってたけど、リアルにされると面倒くさいんだな。
「どう?お姉さん。どういうことかわかる?」
にっこりと私を見て聞いてきたショタ神様を見据えて、私は考えてみる。
半分正解で半分不正解。私たちを召喚したのはこの世界の人たちってことはあってるよね。じゃあ、救いを求めたってのが間違い?それともこの世界が危機に陥ってるのが間違いか……。でも、そもそも危機に陥ってなかったら呼ばないよね?まって、ただのお遊びってこともあり得る?それか、こんな魔法作ってみたから試してみようぜ的なはた迷惑なやつとか?そうだった場合オーナーの怒りのボルテージはめっちゃ上がりそうなんだけど。
「どう?答えは出た?」
そう首をかしげながら聞いてきたショタ神様に「何となく」と答える私にオーナーも視線を向けた。
「そもそも、危機になんて陥ってなくて、この世界の住人が偶然異世界の人間を召喚する魔法か何かを発見して、怖いもの見たさか誤ってかはわからないけど異世界召喚しちゃった、とか?」
「おしい!正解は、全く世界に危機はないけれどある国を昔から敵視というか、勝手な逆恨みみたいな感じなことを思ってる某国がその国の王を退治しようと勇者と聖女の召喚を行いました。でした☆」
マジか、傍迷惑にもほどがあるじゃん。てかこれで、召喚されたらいいように使われるだけじゃん?
危ないやつじゃん。
「なんで、俺たちはその召喚?とやらをしたヤツのところじゃなくお前のところに来たんだ?」
言われてみれば!
なんで私たちは私たちを召喚しただろう相手のところに行ってないの?
「お兄さん、全然わかってなさそうなのにそういうことには気づくんだね」
「あ゛?」
にっこりと、オーナーを挑発するかのようにいうショタ神様。
ほんとやめて。怖いから。
でもショタ神様はそんなオーナーを無視して言葉を続ける。
「なんでかっていうとね……召喚されたのはキミたちじゃないからかな?」
「私たちじゃないって……召喚されたのは新人ちゃんとあの息子さんってこと?」
「アイツ等か……じゃあなんで俺らはこんなとこにいるんだ?」
召喚されたのは自分たちじゃないときいて、私とオーナーは顔を見合わせる。
「キミたちはその召喚の生贄になったんだよ……つまり死んだんだ」
ショタ神様は、にやりとその見た目に似つかわしくな笑みを浮かべた。
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