【番外編】それでも今日も推しがかわいい

何にもしたくない日がよくある。


正直、そうなっているときは

少し精神が安定していない。


何もかもどうでもよくて

目が覚めても朝が来ないことを願う夜を

過ごす。


いつも楽しみにしている

乗馬クラブの予約でさえ

キャンセルしたくなる。


競馬もやらない。


それでもやっぱり推しはかわいい。

それがわかっている。



だから気合いで体を起こして

車で30分。

クラブへ向かう。


目的地に近づくにつれて

ただよってくる馬の匂い。

だんだん心が穏やかになっていく。


山のなかにある

もと企業の保養所だった名残から

外界から少し隔離されたような

クラブの雰囲気。

これも相まって

気づいたらテンションが上がっている。


鞭をふりふり受付へ向かう。

馬だけでなくクラブスタッフの方々も

私の癒しだ。

馬を愛し、乗馬を愛する心と

乗馬クラブでしか会わないという

謎の安心感がある。


乗馬クラブでは

いつもと違う私がいて

いつもの私がそれを俯瞰しているような

錯覚が起こる。



馬を撫でていると

馬の温もりが伝わってくる。

顔をすりすり寄せてくる子もいる。

「大丈夫だよ、大丈夫だよ。」

そう言ってもらえているような気がする。

(本当は餌くれ、餌くれな気もするが…)



何に対してあったかもわからないイライラも

どこから湧き出てきたかわからない悲しみも

レッスンを終え、

クラブを出る頃には

すっかり消えている。


分離していた私も1つに戻り、

家に戻ってからもこの幸福感が持続する。



今日も推しがかわいい。

本当にいつもありがとう。



そんな気持ち。


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