路上で歌う君に見惚れた
ひじぽん
第1話『正反対の君』
久しぶりに外に出た気がする。
眩しい光に目が包まれるようだ。
チカチカする、なんで気の迷いで外に出たのか自分でもわからない。
どこからか歌が聞こえる。
綺麗な歌声だった。駅前で路上ライブでもしてるのかと思い気になって僕は声の聞こえる方に足を運んだ。
見つけた、駅前など人の多いところではなく子供が遊んでいる公園で歌っていた。
あまり人の数が多くない小さな公園、そこで彼女は歌っていた、アコギ一本で、誰かに聞かせるように歌っている、という感じではなかった。
どんな人か気になって確認しに来ただけなのに、すぐ去ろうと思っていたけど、足が目の前で止まってしまった。
彼女と目があった気がした、微笑まれた気がした。心を奪われた、一目惚れだ。
彼女の歌を聞いてからどれだけ経つだろう。
そろそろ変なやつかと思われてるかもしれない、周りにも僕しかいなくなっていた、彼女も僕がいるから辞めるにやめられない状況なのかもしれない、気まずいことをしてしまった。
さらに時間が経った、それでも彼女は笑顔で歌を歌う。気持ちよさそうに楽しそうに歌っている。
あぁ、僕と君は正反対みたいだ。
彼女の歌が終わったみたいだ、
「ありがとうございます、こんな私の上手でもない歌をずっと聞いてくれてすっごく嬉しいです」と言ってくれた。
僕はうまく返答ができなくて吃った感じの返事しかできなかったが彼女が最後に
「私いつも週末はこの時間にここで自由に歌っているのでもしよかったらまた聴きに来てくれると嬉しいです、熱心に聞いてくれる人がいると私も楽しいので是非」
と言って彼女は片付けをして公園を後にした。
毎週末か、来週も来てみよう。
そう思い僕は家に帰った。
玄関を開けると親が驚いたような心配したような声をかけてきた。
ずっと外に出てなかったのにスマホもなにも持たずに出ていったからだいぶ心配したらしい。
僕は引き篭もりだ、中学までは学校が楽しかったし、高校に入っても最初は楽しめていた、友達がいなかったから引きこもった訳とかでもない、ただ急に学校に行くのがめんどくさくなって、友達に会うのもだるくなって、外に出るのも面倒になって今に至る状況だ。
引きこもりになってから何ヶ月経つだろうか、今は誰からも連絡が来ない、たまに担任から電話が来るくらいだ、成績も平均で友人も普通にいる、なのになんで学校来ないんだって連絡だ。
なんでたろうか、でも来週は外に出る予定ができた、それで十分じゃないか。
僕は布団に横になり目を閉じた
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