呪術・魔法マニュアル 西洋魔法

★はじめに:

此処で解説された魔法形態は、西洋の魔法をすべて網羅したものではありません。世界はとても広く、国によって独自の魔法法則や呪文なんかが存在しています。そこまで、すべて網羅すると際限がないので、此処では世界魔法結社と席番剥奪者が扱うもののみ解説します。


★霊力と魔法元素マナと汎魔法論:

魔法元素とは、西洋魔法における霊力を表す言葉である。魔法元素の性質は、基本的に霊力に準じており、ほぼ差異が存在しないと言って差し支えがない。しかし、それを分解・組成する解釈は若干の誤差が存在しており。一部は、東洋魔法と矛盾する魔法法則を有している。これら、矛盾する魔法法則を正しく理解するための考え方を『汎魔法論』と呼ぶ。

『汎魔法論』とは、最近になって土御門治正師が確立した、この世界のあらゆる異能の基礎を表す理論である。この世界には、無数の魔法が存在し、それぞれに魔法理論が存在し、それらは時に矛盾をしている。それら、矛盾する魔法法則が両立している理由は何か? その疑問を解決する理論こそ、『汎魔法論』である。

『汎魔法論』においては、この世の根本は『混沌』であると解釈されている。それは、あらゆるものが存在し、同時にあらゆるものが存在しない状態であり。この世の魔法のすべての基盤となっている。一般的魔法における魔法法則とは、その『混沌』にアクセスするためのオペレーティングシステムである。コンピューターのOSに複数の種類があるように、魔法法則も複数存在している。それらOSに大きな違いがあっても、基盤となっているものは同じであるため、すなわち矛盾する魔法法則も同時に存在しうるわけである。


★四大元素の法則:

西洋魔法にも、『五行の理』のような属性を解釈する概念が存在している。それを、「地」「水」「火」「風」の『四大元素の法則』と呼ぶが、西洋魔法のそれは、東洋魔法のもののように、明確な属性間の強弱があったりはしない。四大元素はあくまでも、モノの状態を表す概念であり、「地」は個体、「水」は液体、「火」はプラズマ、「風」は気体を表し、それぞれがそれぞれへと変化する性質を有する。例えば、「火」は凝結して「風」になり、「風」は液化して「水」になり、「水」は固化して「地」になり、「地」は昇華して「火」になる、というように四大元素が循環するのである。この変化は逆方向にも行われる。近年では、『汎魔法論』の影響によって、上記四大元素に加えて「混沌」を加える五大元素法も広まっている。


★精霊体:

『精霊体』とは、西洋魔法において、魔法の触媒に用いられる『知性を持ったエネルギー』の総称である。それは大きく『元素精霊』と『自然精霊』に分けられる。

『元素精霊』は「地」「水」「火」「風」「混沌」の5つに分けられる、モノの状態を表す精霊体である。そのすべてが、人工的に作られるものであり、その精神構造はロボットに近い。

『自然精霊』は自然界に存在する諸々の属性を内包する、自然界に生まれた精霊体である。彼らが、本来何処より現れたかは解明されておらず、その精神構造は人間や動物に近い。

これら『精霊体』は、魔法を扱う際、東洋魔法における『使鬼』のような能を発揮する。西洋魔法使いは、『精霊体』を用いることによって、限界を超えた魔法を発揮することが可能なのである。しかし、より大規模な魔法を行使するには、より強力な『精霊体』を支配する必要がある。当然、強力な『精霊体』は支配しにくく、生まれつきの才能によって支配数が制限されたりする。そこら辺も、東洋魔法の『使鬼』と同じである。


★超共生体:

『超共生体』とは、西洋魔法における『使鬼』とも呼べるものである。西洋には、同じような魔法に『精霊体』があるが、『超共生体』はより『使鬼』に近い性質を有している。その対象は、神霊、妖魔、霊体などであり、あらゆる感覚・能力・知識の共有が行われるのも『使鬼』と同じである。ただし、『使鬼』が扱える『合体呪』のような行為は出来ないのが普通である。これは、西洋においては、より精度の高い魔法強化を行える『精霊体』が存在していたからであり、『超共生体』をわざわざ複数持つなどということも少ない。当然、『使鬼』のように、たくさん持つことがその魔法使いの強さを表す、などということも特にない。


★魔法語魔法:

世界魔法結社系の魔法使いは、基本的に『魔法語魔法』を扱う。

この『魔法語魔法』は、東洋魔法における『符術』『真言術』『陣』等のような技術をすべて内包する総合魔法であり。『術具制作』もこの魔法で行うことが出来る。

この魔法は極めて汎用性が高く、それゆえに逆に、魔法使い個人の性質により左右されやすい魔法である。要するに、魔法使いごとの性格がモロに出て、呪文が同じでも全く違う効果を発揮したりするのである。このため、「一般的な魔法語魔法」というのは基本的に存在しない。ここでは、『魔法語魔法』で扱われる魔法語の解説と、最も広まっている魔法2つを解説するにとどめる。


<移動系ルーン>

モノの動きを制御するルーン。動詞ルーン。

『ラド rad』移動させる 英字:R 古式:ライド raido

『ソーン thorn』遅延させる 英字:Th 古式:スリサズ thurisaz

『ニイド nied』停止させる 英字:N 古式:ナウシズ nauthiz

※『イス is』氷属性、安定化する 英字:I 古式:イサ isa


<状態変化系ルーン>

モノの状態を制御するルーン。動詞ルーン。

『フェオ feoh』発展させる 英字:F 古式:フェイヒュー fehu

『エオー eoh』変化させる 英字:E 古式:エワズ ehwaz

『ベオーク beorc』成長させる 英字:B 古式:ベルカナ berkana

『ハガル hagall』破壊する 英字:H 古式:ハガラズ hagalaz

『ユル yr』死と再生、復活、断ち切る 英字:Y 古式:エイワズ eihwaz


<取得系ルーン>

モノの取得状況を制御するルーン。動詞ルーン。

『ギューフ geofu』与える 英字:G 古式:ゲボ gebo

『ヤラ jara』手に入れる 英字:J 古式:ジェラ jera

『ペオース peorth』ギャンブルする、秘密を得る 英字:P 古式:パース perth


<その他動詞系ルーン>

その他動詞ルーン。

『エオロー eolh』保護する 英字:Z 古式:アルジズ algiz

『イング ing』成熟させる 英字:ing 古式:イングズ inguz


<属性系ルーン>

モノの属性を表すルーン。名詞ルーン。

『ケン ken』火属性 英字:K 古式:カノ kano

※『イス is』氷属性、安定化する 英字:I 古式:イサ isa

『シゲル sigel』天空属性(光、風) 英字:S 古式:ソウェイル sowelu

※『ラーグ lagu』水属性、女性、霊力 英字:L 古式:ラグズ laguz

『オセル othel』大地属性(地、闇) 英字:O 古式:オシラ othila


<性別系ルーン>

モノの性別を表すルーン。名詞ルーン。

※『ティール tir』男性、精神 英字:T 古式:テイワズ teiwaz

※『ラーグ lagu』水属性、女性、霊力 英字:L 古式:ラグズ laguz


<生命系ルーン>

生命体の組成を表すルーン。名詞ルーン。

『ウル ur』肉体、生命力 英字:U 古式:ウルズ uruz

※『ティール tir』男性、精神 英字:T 古式:テイワズ teiwaz

※『ラーグ lagu』水属性、女性、霊力(魔力) 英字:L 古式:ラグズ laguz

『マン mann』肉体と霊体 英字:M 古式:マンナズ mannaz


<その他名詞系ルーン>

その他名詞ルーン。

『アンスール ansur』情報 英字:A 古式:アンスズ ansuz

『ウィン wynn』果実 英字:W 古式:ウンジョー wunjo

『ダエグ daeg』時間 英字:D 古式:ダガズ dagaz


<特殊ルーン>

動詞にも名詞にも含まれない特別なルーン。

『ウィルド wird』他のルーンを強調


※印のルーンは、複数の用法を持つルーンである。


<魔法語魔法の例>

『治癒魔法』呪文「urgeofu…」

傷を癒す基本的な治癒魔法。霊質は治癒できないので注意。

基本的に他人を癒すためのものであり、自身を治癒する場合大きなマイナス補正を受ける。

『自己治癒』呪文「urjara…」

自分の傷を癒す治癒魔法。霊質は治癒できないので注意。

他人を治療することはできない。

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