第2話 命の恩人はポテトチップス!?
「何を申しておるのだ。お前は!」
はぁーーー。そりゃそうだよな。もう、あれから1時間近く説明しているのだが、一向に理解してくれない。だってタイムスリップなんか信じるわけないんだもん。
「もう良い。わしについて来い。」
ただ、俺の服装とか持ち物を見て、戦国の人間ではないことは分かってくれたらしい。しかも、新しい物好きで有名な信長だ。気に入ってくれたのか、城に上がらせてくれた。
〜〜〜〜〜
安土城内に入る。現代ではCGやイラストでしか見ることができない安土城が目の前に。綺麗だ。とてつもなく。
〜〜〜〜〜
大広間的なところに案内された。
「将希だったか。みなに挨拶をしろ。」
え?嘘でしょ?俺は緊張しているんだぞ?たくさんのちょんまげのおじさん達の前であたふたしていると、見慣れた顔の人から野次馬がとんできた。
「面白いことやって!」
こいつは秀吉だ!肖像画のまんまだな!まるでイメージと一緒だ。そんなことを考えていると周りも賛同している。多分、見慣れない姿のやつに興味津々なのだろう。ただ、俺だって伊達に明るいわけじゃない。しかも、不幸中の幸いと言ったところか、釣りに行くために持った荷物は全部こっちの世界に来ている。俺は考えた。ポテチを皆に振る舞おう。興味は持つはずだ。
「えー、みなさんはじめまして。えー2022年から来ました市村将希と言います。えー、きょ、今日は、皆さんにとって未来の食べ物であるポテトチップスを食べていただこうと思います。」
おじさん達はざわざわしている。(ん?まさかミスったか?)殺されるのか俺は。
「おお!まずはわしが食おうぞ!将希!貸してみい!」
そう発したのは信長だった。
「しかし、親方様」
周りの部下が止める。そこで、また信長。
「なんだ?怖いのか!はっははははは!こやつがわしに毒でも盛ると思うておるのか?未来から来たばかりじゃぞ!殺す理由がなかろう!」
「た、確かに。そうですが。」
「では、頂くぞ将希!」
そう言って俺からポテチの袋を取ると、短刀を取り出して袋を切り、大きめの1枚を取ると口の中へ放り込む。
「.....」
喋らない。口に合わないのか?周りの部下も心配そうに見ている。
あ、飲み込んだ。
「...」
「将希!」
「えっ!はい!」
「ずばり、美味!どうやって作るんだこんなもの!」
予想外だった。美味いのか。ひとまずは良かった...
しかし、安心はできない。作り方まで聞いてきやがった。俺が知ってるはずないのに。でも答えなければ恐らく死にはしなくても痛い目を見るだろう。
「えーっと、芋です。じゃが芋を薄く切って味付けしたものを油で揚げたものです。だと思います。」
って、誰も聞いてないじゃん。信長含め周りの重鎮の部下らしき人はポテチを食べているのだ。
でも良かった、命は救われて。今日家を出る前に母が持たせてくれたポテチのおかげだ。
俺は、母とポテチに最大級の感謝をした。
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