ショック×3(声劇用台本版)

かかみ かろ

ショック×3(声劇用台本版)

●登場人物

 ・御影みかげ ゆき(♀):主人公。高木が好きで少しだけ内気な普通の女の子、に見えるが実はかなりのヤンデレ。高校生。

 ・糸惹いとひき あかね(♀):雪の親友。雪の良き理解者でハツラツとした普通の女の子、に見えるが実はかなりのヤンデレ。雪に恋愛感情を抱いており、彼氏は雪の気を引けないかと思って付き合っているだけ。

 ・高木たかぎ 紅葉こうよう(♂):雪の好きな相手で雪たちのクラスメイト。重めの大豆アレルギーがある以外ごく普通の好青年。本当に。茜が好き。


●所要時間・・・凡そ15分前後~。


※これは「かかみ かろ」の著作物です。

※基本的に、配信などで使用する場合にも作者に連絡する必要はありません。が、もらえたら見に行けるので嬉しいです。ただし金銭などが発生する場合に限り、事後でも構わないので連絡をお願いします。

※裏設定(最後注射が無かったのは茜が盗んだから、他人物設定参照)まで踏まえるならアドリブ語尾変など可。


 

〈本編〉

 

雪「(うん、大丈夫。チョコ、ちゃんと鞄に入ってる。カモフラージュ用も持ってる。大丈夫、大丈夫……!)」

 

茜「雪、おはよっ!」

雪「おはよ、茜」

茜「気合入ってるね! 歩くの早すぎ」

雪「あ、ごめん」


雪「(気楽そうでいいなぁ。茜の渡す相手は彼氏なんだし、当然だけど)」


茜「今日、高木に渡すんでしょ?」

雪「うん。緊張しすぎてヤバい……」

茜「あははっ、大丈夫だって! 雪、可愛いんだし。てか多くない?」

雪「いや、これはクラスで配る用のやつ。高木君に渡すのは、こっち」(鞄を叩く音)

 

茜「なるほどね。 って、あ! 私今日日直だった! 雪、ごめん、急ぐ!」

雪「うん!」


(間)

(チャイムの音)


雪「んーっ……ふぅ。やっと終わった」


雪「(ヤバい。授業の記憶、高木君の横顔しかない……)」


茜「雪! 弁当食べよ!」


雪「(茜……。相変わらず片づけるのは早いんだから)」


雪「ちょっと待って。……おっけ」

茜「はいはーい。あ、中村、今日も椅子借りるよー。――何? 私の顔、何かついてる?」

雪「んーん、何でもない」


雪「(茜のあーゆー律儀なとこが好きなんて、流石に言えないよね)」


茜「ふーん? 変な雪。それで、いつ渡すつもりなの? 告白もするんでしょ?」

雪「放課後渡そうかなって……」

茜「そっか。でもその様子だと、まだ誘えてないよね?」

雪「う、うん……」


雪「(そんな簡単に誘えたら苦労しないって。私は茜ほどコミュりょ――)」


茜「(かぶせ気味に)おーい、高木ー、ちょっと来てっ!」

雪「っ!? なっ、ちょっ、あかっ、茜、何してっ」


雪「(と、友達と話してたし、ワンちゃん聞こえてな――)」

 

高「うん? ちょっと待って、今それどころじゃ、あ、この辺食べといてくんね?」


雪「(って、来た!? 高木君来ちゃった! 待って、まだ心の準備が……!!)」


高「わりわり。で、なんか用?」


雪「(ちょ、茜、心の準備する時間稼いで! お願い!)」


茜「ちょっと雪がねーって、何かあったの? なんか騒いでたみたいだけど」


雪「(さすが私の親友! よく視線に気づいてくれた!! と、とりあえず深呼吸する?(スーハー……))」


高「あー、間違えて弟の弁当持ってきてたみたいで、豆腐が入ってたんだよ」

茜「大豆アレルギーだっけ。そういえば前、何たらショック起こして救急車で運ばれてったね」

高「アナフィラキシーショックな。てかそんな恥ずかしい話ぶり返すなって」


雪「((スーハー……)や、やっと落ち着いてきた。顔赤くなってないよね!?)」


高「で、御影さん、何の用?」

雪「そ、その……」

茜「ほら、雪、頑張って!」

雪「その、放課後、話があるから第一公園に来て!」

高「あ、ああ、その、わかった。……それじゃあ」

雪「う、うん」


雪「(言っちゃった……。高木君、ちょっと困ったような顔してた気がする……。……ねえ私、やめるなら、今だよ。でないと……)」


茜「よしっ、これで後は雪次第だよ!」

雪「えっ、あ、うんっ!」


雪「(切り替えよう、大丈夫)」


雪「ていうか、茜ばっかり高木君と話してずるい」

茜「あはは、雪が助けて~って目でこっち見るからじゃん?」

雪「うっ、それは、ありがとう……」

茜「はい、よく言えましたー」

雪「私は園児か。って、なんで撫でてくるの!?」

茜「はい、照れない照れない」


雪「(うぅ、茜、思いっきり楽しんでるな……。こそばゆい……。高木君は……楽しそう。揶揄からかわれてるのかな? ちょっと耳が赤い)」


茜「はいはい、高木君が気になるのはわかるけど、早く食べないと昼休み終わっちゃうよ。全然食べてないじゃん」

雪「あ」

茜「食べないなら私がもらってあげる!」

雪「食べるからっ」

茜「あはは、喉詰まらせないでね」


雪「(まったく、これだけ食い意地が張ってて、なんで茜は太らないんだろ。羨ましい)」


(間)


雪「(終礼、終わっちゃった……。皆には配ったし、あとは高木君の分だけ……)」


茜「あれ、雪、まだいたの?」

雪「……あ、茜。緊張で吐きそう」

茜「そんなこと言ったって、もう誘ってあるんだから」

雪「あ、あれは茜が……わ、わかってる。わかってるんだけど……」


雪「(うぅ、高木君がちらちらこっち見てる。早く行かないとなのに……)」


茜「しょうがないなぁ。ほら、雪、途中まで一緒に行ってあげるから」

雪「茜、ありがとう……! ごめんね……」

茜「いいからいいから。でも私まだやることあるから、ちょっと待ってて!」

雪「うん、わかった」


雪「(あ、でも高木君……って、茜が何か話しかけてる? こっち見て、何話してるんだろう。茜ばっかり……。……あ、高木君、鞄も持たずにどこいくんだろ?)」


茜「雪、お待たせ!」


雪「(茜、いつの間に……。高木君ばっかり見てて気づかなかった)」


茜「時間稼ぎしようと思って、高木に雑用押し付けてきた!」


雪「(そっか、私がこんなだから……)」


雪「茜、ほんとありがとう……」

茜「それじゃあ行こっか」


(間)


茜「ここからは一人だよ」

雪「うん……」

茜「大丈夫っ。雪、頑張って!」

雪「うん……!」


雪「(着いちゃった……。う、また気持ち悪くなってきた。とりあえず深呼吸しよう。(スーハー、スーハー……)大丈夫、大丈夫だから。高木君は、私の――)」


茜「(あ、高木、雪ならこの先で待ってるよ)」


雪「(茜の声……。わざと大きな声で知らせてくれたのかな。他の人に聞かれてたら恥ずかしいけど、ありがたいな。――もうすぐ高木君が来る。チョコの箱を取り出して、最後にもう一回……(スーハー……)よしっ)」


高「お、おう、御影さん。話って……」

雪「あの、高木君、これっ、私の気持ちです! 受け取ってください!」


雪「(お願い、受け取って……)」


高「……その、ごめん。俺、他に好きな人がいるんだ」

雪「…………そう」

高「ごめん……」


雪「(ああ、ダメだった。受け取ってくれなかった。私の気持ち……。辛い。でも、まだ泣いちゃダメ。仕方ないんだから。高木君に他に好きな子がいるんなら、仕方のないことだから……)」


雪「ううん、いいの、私こそ、ごめんね。代わりにこっちなら受け取ってくれる?」

高「それ、今日配ってたやつ?」

雪「……うん」

高「……分かった。ありがとう。……ごめんな」


雪「(謝らないで、高木君。謝らなくて、いいんだよ)」


雪「ねえ、味の感想聞かせてくれない?」

高「今?」

雪「うん」


高「……うん、ちょっと不思議な味で、美味しいよ」

雪「そう、良かった」

高「……ごめん、そろそろ行っていい?」(焦った感じで)

雪「だめ」

高「……アレルギー出てるから、薬の注射しなきゃなんだけど」

雪「うん、知ってるよ」


雪「(だって、そのアレルギー、私が起こさせたんだもの)」


高「……どういうこ、うっ」

雪「さっきのチョコね、投入チョコだったんだ」

高「なん、で……」


雪「(ああ、高木君が目を見開いて、私を真っ直ぐ見つめてくれてる。嬉しい)」


雪「だって、高木君が私を受け入れてくれないんだもの」


雪「(だから仕方ないんだよ)」


雪「ちゃんと症状が出てくれるかわからなかったけど、大丈夫だったね。きっと神様も私たちのこと応援してくれてるってことだよね」


雪「(やっぱり私たちは運命で結ばれてるんだ。ほんと嬉しいな)」


高「はぁ、はぁ、はぁ……。御影、さん、こんな事して、何にな――」(雪のセリフ中も苦しそう)

雪「(かぶせ気味で)安心して、高木君。高木君は、私の心の中で生き続けるの。そしたら、ずっと一緒にいられるね!」

高「っ!」


雪「(なのに、高木君、何してるの? 鞄の中漁ったりして)」


高「なんでっ、ない……! 終礼の前は、確かにっ……!」


雪「(忘れちゃったのかな? 残念)」


雪「もー、薬なんて探しちゃダメだよ? 私と一緒になれないじゃん。――ああ、高木君、いい匂い……」

高「くっ、御影さ、ん、離してっ……」


雪「(抵抗しちゃって、意外と照屋さんなのかな? そんな高木君も好き。仕方ないから、一回離れてあげようかな)」


高「うっ……。なん、」


雪「(あ、膝ついちゃった。犬みたいで可愛い。なんか薬見つからないみたいだし、ラッキーだね。やっぱりこれは運命だよ)」


雪「高木君が悪いんだよ? 私を振った高木君なんて、いらないの。ん、ちゅ……。ふふ、口移ししちゃった。これ、私のファーストキス」

高「ぅぅ……」

雪「あれ、高木君、倒れちゃった。キスの感想聞きたかったんだけど、残念。とりあえずチョコの箱、入れ替えておかないとね。――これで誰も私のせいって気が付かないね?」

高「ぅ……」

雪「あ、まだ聞こえてるんだね」


(以下矢継ぎ早に)


雪「高木君がちゃんと私のものになってくれてたら、こんなことにはならなかったんだよ? 高木君が私を裏切るから、他に好きな人がいるなんて言うから。高木君は私のものなのに。私以外の隣で笑う高木君なんて見たくないのに。だから仕方ないの。高木君のせい、私は悪くない。高木君は私の心の中で笑っていたらいいんだよ。高木君は私の心の中で私の大好きな私の高木君として生き続けるの。ずっとずっとずっと。だから安心して。私を振った高木君なんていらないからあなたには死んでもらうけど、私の高木君は死なないの」


雪「(そう、高木君は私の中でずっと生き続ける。これからはいつでも会える。なんて幸せな事なんだろう)」


雪「あれ? もう聞こえてないのかな? まあいいや。それじゃあ私はもう行くね?」


雪「(茜の位置からは見えないだろうけど、あんまり待たせたら不審がられちゃうし。高木君の体は……滅多に人が来ないところだし、そのままでいいか。あとは、そうそう、ちゃんと悲しい顔を作っておかないと)」

 

茜「あ、雪! どうだっ……そっか」

雪「うん、ダメだった……」

茜「……雪、おいで」

雪「……うん」

茜「よしよし、雪は頑張った」


雪「(また茜は私を子ども扱いして……。今日は高木君と一つに成れたいい日なんだから、悲しくなんて無いんだよ? なのに、そんなことされたら、涙出てきちゃうじゃん……。悲しくなんて、ないのに……)」


茜「私はどこにも行かないからね。彼氏とも別れる。ずっと雪の隣にいるよ」

雪「……茜、ありがと」

茜「だから雪も、どこにも行っちゃだめだからね」

雪「……うん」

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