絶対悪は許さない

獅子雄誠

第1話 プロローグ

 この世界は素晴らしい。

 苦しい事や辛い事も勿論あるが、嬉しい事や楽しい事だって、それ以上にある。

 人が悲しんでいたら、優しい歌が救ってくれるし、人が嬉しそうに笑っていたら、温かいスープも迎えてくれる世界である。


 俺が人を憎む?

 俺がこの世界を憎む?

 そんな事絶対有り得ない。


 だって、中学三年生の、一翔太(はじめしょうた)は、今、裕福ではないが、確かに、最高の家族に囲まれて、幸せなんだから。


 ――。




「……か、母さん! ……父さんまで! めぐ! めぐ! 目を覚ませよ! だ、誰がこんな事をぉ……! 何で俺がこんな目に……」


 だから、中学式の卒業式の日、家に帰ってきて、家族が惨殺されていた時は、頭がいかれそうになった。

 それから俺は、あっという間に大人になり、刑事になった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る