。。。、。

エリー.ファー

。。。、。

 どうにかなんねーかな、とか思ってました。

 でも、どうにもなんねー感じです。

 やっべえです。

「諦めるなよ」

 切りまーす。

「おい、ちょっと、待てって」

 無理だよ。

 もう、酸素もねぇし。

 宇宙ステーションからどんどん遠ざかっていくんだもん。俺の体。

 無理よ。

 死ぬって、これは。

 あーあ、家の冷蔵庫にある、あのケーキ。

 食っとけばよかったなあ。

 あ。

 駄目だ。

 賞味期限、絶対に過ぎてるな。だめだ。食えねぇや。

 あー、なんか未練が消えていく感じがする。

 だって、戻ったってケーキ食えねぇんだもん。

 じゃあ、いいか。

 いいよ、もう。

 という感じで、自問自答とかしちゃう。

 どうせ、あとは酸素が切れるまで、だらだら考え事するだけだしなあ。

 何、考えよーかな。

 何にしようかな。

 あ、韻とか考えてみるか。

 宇宙飛行士。

 蕎麦を啜る貴公子。

 夢中に掃除。

 とか、大丈夫かな。

 韻踏めてるかな。

 あー、考えるのが面倒くさい。

 思いついたのが正しいかどうかが分かんないもん。

 もう、いいよどうなったって。

 酸素が少なくなってきてるって、ことかな、これ。

 いや、俺、こういう性格だ。

 じゃあ、別に大丈夫か。

 うん、大丈夫だな。絶対に。

 あとは、何か考えることあったかなー。あったかなー。考えた方がいいこととかあったかなー。

 ないかなー。

 ないかー。

 相談する相手がいないせいで、どうすりゃいいのかマジで分かんねー。

 どうしよ。本当に。めっちゃ困るんですけど。

 あれ、そう言えば。

 ダウンロードしたゲーム、まだやってなかった気がする。

 そうだ、あのインディーズゲーム。

 同級生が作ったとか聞いて、買ってみたんだ。その同級生のことなんか何も覚えてないけど。なんとなく買ったんだ。

 あー、遊べばよかった。

 面白いかどうかくらいは、知りたかったなー。

 評価は高いらしいけど。

 どうなんだろう。

 いや、マジで知りたい。

 調べる方法はないかー。ないなー。さすがに。

「おいっ」

 へーい。

「お前、助かるぞ」

 マジで。

「マジで、じゃないよ。本当に助かるんだよ、もう少し喜べ」

 どれくらいで助かる感じ。

「十分くらい」

 だとすると。

 酸素は切れないか。

「それは、死にたいってことか」

 いやいや、そういう意味じゃないけど。

「お前、敬語使えよ」

 さーせん。

 どうすりゃいいですか。

「漂ってろ。すぐに行く」

 十分くらいっすか。

「そう、十分くらい。いや、七分もかからないか。五分くらいかもしれない」

 ありがとうございまーす。

「ずいぶん、リラックスしてるな」

 あぁ、そうですね。

 なんか、楽しかったんです。

「死ぬ寸前なのにか」

 あはは。

「おかしくなったか。どうした」

 俺、癌じゃないっすか。

「あぁ、そうだな」

 ここで生き残っても。

「そうだな、半年後には死ぬな」

 ちょっと、生きたいなあって思いましたよね。

「治療を受けるということでいいんだな」

 え、そうですね。受けてみようかな。

「いや、受けろって」

 でも、大変だし、それで治るかどうかわかんないですよー。

「治るよ」

 あはは。先輩、めっちゃ無責任。

「治るって」

 マジっすか。

「治るよ、当たり前だろ」

 先輩、神様なんですか。

「神様じゃないよ」

 ほらー。

「神様より先輩の方が偉いんだよ」

 あー、なるほど。

「今、救いに行くから」

 救ってください。待ってます。

「あぁ。あとさ、治るよ」

 はいはい。

「真剣に聞けって、治るから大丈夫だって」

 いいですよ、もう。

「治るし、治せよ」

 治します、治します。はい、今、治りました、治りましたよ。

「バカだな、マジで治るよ。本当だって」

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