第1話 戦神《いくさがみ》
ギギギギ、という金属がきしむ音。モニターに映し出される倒れた二足歩行型ロボット複数と横たわっている人影。中には国軍の迷彩服を着た者もいるが、ピクリとも動かない。住宅街だったと思われる辺りは瓦礫が散乱していて火災も起きている。普通に歩行する事は困難なようだ。
モニターを観ながらどこかへ通信を送る少年。年は16、17位だろうか。この惨状の中、表情は全く変わらない。
「こちらレオン。
「OK。見つからないように
通信相手の男性から言われた通り操縦しているロボットの光学迷彩のスイッチを入れる。
その直前、瓦礫の陰から人が出てきた。手には銃を構えている。
少年は表情を変えず、躊躇する事もなくロボットに搭載してある武器のボタンを押す。
ドガガガガッ!
連弾の音と共に目の前の人が倒れる。しかし、対ロボット用の兵器のため、遺体の判別は難しい状態になった。
「どうした? 何があった?」
「いや…人が出てきて銃で撃たれそうになったが撃退した」
「ロボット相手に人間が敵うわけ無いのに…まあ早く戻ってこい」
「ああ…了解した」
ロボットは
あちこちで戦争が繰り返されている時代。辺境のこの場所にも戦火がくすぶっていた。
「へー、あの戦争終結するのか」
アジトにしている廃工場。そこに整備されたロボットと少年、そして整備士の男性数名が寝泊まりしていた。設置してあるテレビでは、あちこちの戦争のニュースが次々と流れていた。
「…平和になったら俺らの商売上がったりだな」
「なーに言ってやがる! 平和が一番! だよなあレオン!」
整備長に話しかけられたが沈黙が続く。
「あー、レオンなら次の使令が来るまで待機になったからって、そこの公園に行きましたよ」
他の整備士が整備長に教える。
「…あいつ、いつの間に」
「しかし、あれだけいたパイロットが今やレオン一人だけとはなあ…」
整備士の一人が呟く。一同しんみりとした雰囲気になった。
「しんみりしても死んだ連中は帰ってこねえんだから、この話は終わり終わり!」
「に、しても」
整備士がレオンが乗るロボットを見ながら、
「あいつ、今のところ負け知らずだよなあ」
「戦地じゃ『
「神か…それにあやかって俺らも生き残りたいなあ」
「だな!」
整備士達は会話を終わらせていつものメンテナンス作業に戻っていった。
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