第12話 冒険者試験
「君達が・・・困っているようだったからかな、困っている人を助けるのは当たり前だろう?」
「ヴァルディ殿・・・」
さて・・・そろそろ切り出すか・・・
「ところで、君達にもう一つお願いがあるのだが・・・よいか?」
“「追放だ!!」” “「二度と来るな」”
大丈夫・・・次こそは・・・。
「き、君達のパーティーに入れて欲しいのだが・・・ダメ・・・か?」
マズイ・・・緊張しすぎて素が・・・もう少しスマートに言うはずだったのに・・・。
「「「「「・・・・・・・・・」」」」」
この沈黙・・・やっぱりダメか・・・?
「ヴァ、ヴァルディ殿・・・冗談・・・ですよね・・・?」
「いや、私は本気だ、真剣に君達のパーティーに入って一緒に冒険したいと思っている」
「ば、馬鹿な・・・ヴァルディ殿は私達が王国でなんと呼ばれているか知っている筈です!!!」
「あれほどお強いヴァルディ殿なら王国最強にだって・・・」
「リゼの言う通りニャ・・・私達じゃヴァルディさんの足を引っ張るだけニャ・・・」
「はい・・・私達とヴァルディさんじゃ釣り合いが・・・」
「それに・・・ボク達と居たらヴァルディさんまで・・・」
「私は名声や地位に興味は無い、私がここに来た目的は信頼できる仲間とパーティーを組み冒険することだからな・・・君達とならそれが出来ると思ってのことなのだが・・・」
「それに私の目的抜きにしても君達の力になれたら嬉しい」
「ヴァルディ・・・殿」
「ヴァ、ヴァルディ殿はそれで後悔しないのですか? 一度パーティーを組むと簡単には解消出来ませんが・・・」
「ああ、もちろんだとも」
「分かりました・・・! 皆もそれでいいか?」
「嘘みたいだニャ・・・これ夢じゃないかニャ・・・? これでパーティーを続けられるニャ・・・?」
「いいに・・・決まってます!!! パーティーだって解散しなくていいんですよね!!?」
「やった・・・グスッ、また私達一緒に冒険できるんですね・・・しかもヴァルディさんも一緒に・・・!!」
「うれしい・・・ここ・・・居心地いいから・・・これからよろしく・・・ね?」
「皆もこう言っています! そ、それに・・・わ、私は・・・」
“綺麗な女性の顔に傷が付いているほうが耐え難い・・・”
「ッッッ〜〜〜〜!!!!///」
「ず、ずるいです!そ、そんなのボクだって・・・」
“女性の君が男のフリをするのは辛いだろう?もし辛い事があれば話ぐらいは聞けるぞ”
“ヴァ、ヴァルディ様・・・み、見ないで・・・下さい・・・・///”
「(カァァァァァ・・・!!!!)///」
「わ、私が一番最初ですよ!!」
“君が無事なら何の問題もない”
「・・・///」
「み、みんなどうしたニャ?顔が真っ赤だニャ・・・」
「・・・熱?」
「そそそ、そんな事ないぞ!?」
「確かに具合が悪そうだが大丈夫か?」
「だ、大丈夫です! それよりパーティー契約には冒険者登録が必要となります!」
「なので、試験会場に向かいましょう! 詳しいことは道すがらお話しします!」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「受付嬢殿 冒険者試験とやらを受けたいのだが・・・」
「はい!冒険者試験ですね!お名前のご記入をお願いします!」
「ああ分かった」
「はい!ありがとうございます!次は魔力を測定します!こちらの水晶に手をかざしてください!」
「!えっ!ま、魔力10・・・?」
「どうした・・・?」
「い、いえ、誰でも最低100は魔力があるはずなんです・・・なので10というのは珍しいなと・・・」
あぁ、おそらく装備の付呪の効果だな・・・ゲーム内では魔力をサーチし容量から間接的にステータスを覗き見る事が出来るから対策は必須だったしな。
装備を外せばよくある水晶パリン展開になるかもしれないが・・・。
「それで次は何をすればいい?」
「は、はい!ヴァルディ様は戦士職をされてると思うので次は単純な身体能力テストとなります!本来は魔術テストも受けて頂くのですがヴァルディ様はその・・・魔力が少ないようなので身体能力テストで終了となります!」
「承知した この木偶人形に好きな武器で攻撃すればよいのだな?」
「はい!ではお願いします!」
「受付嬢殿もう少し離れていてくれ」
「は、はい失礼致しました!」
「ふっ!!」
バキャッッッッッッ!!!!!!!っとメイスで殴りかかると硬い木で出来た人型の人形が“爆ぜる”とともに辺り一帯に暴風と衝撃音が響き渡った。
「キャッ!!///」
ちなみに白だった。
「すまない メイスが曲がってしまった」
メイスを見ると不自然な形に曲がり武器としての役割りはもう果たさないであろう姿へと変わっていた。
「ヒィ!だ、大丈夫です!!」
怖がっているようだったが冒険者という荒くれ者を日々相手している受付嬢は肝が据わっているようですぐさま平静を取り戻した。
「ヴァルディ様の測定結果は総合でC・・・つまりCランクからのスタートとなります!」
「申し訳ありませんヴァルディ様・・・能力テストは魔力や魔術テストが主な採点基準となっておりまして・・・」
魔法使いが優遇されてるって事か 確かにリゼも魔法は使えるだけですごいって言ってたもんな・・・このシステムは改善するべきだとは思うが普通は木偶人形を木っ端微塵には出来ないだろうし。
筋力の少ない女性でも凄腕の戦士が1人殺す間に魔法じゃ100人殺せるって考えると割と正常な判断基準なのかもしれんな・・・。
「かまわない気にしないでくれ、ところでパーティーを組む際はランクに関係なく組む事が可能というのは本当か?」
「はい!その通りです!分からないことがあればいつでもお聞きくださいね!」
「ああ分かった」
受付に背を向けリゼ達に結果を報告にいこうと思い扉を開けようとすると噂を聞いたらしい冒険者達が群がってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます