第11話 決着
「ヴァルディさん!意地張ってないで早く逃げるニャ!!!!」
「ヴァルディ様!!逃げてください!!!」
「・・・あの・・・魔法は・・・私じゃ防げない・・・」
「ヴァルディさん・・・!」
「ハッハッ!馬鹿だなお前ら アレは範囲魔法だぜ?今更避けられる訳ねぇだろう?」
「俺らを馬鹿にした 罰だぜ!!ギャハハ!」
「彼の歪んだ顔が見れないのが残念ですが仕方がありませんね?クックッ」
“バチッ”火の玉が兜に当たった瞬間 火の玉は水風船に針を刺したかのように破裂した その内に溜め込んだ熱はあらゆる物を呑み込み辺りに広がる。
「ヴァルディ殿!!!!!ッッッ〜〜〜〜!!!!!」
「ニャッッッッ〜〜〜〜〜!!!!」
「ッッッ〜〜〜!!!あ、熱い・・・!!」
「・・・あつ・・・い」
「ヴァル・・・ディ・・・さん・・・」
・・・・・・・・・・・・・・・・
強烈な爆発音と光が辺りを覆いつくし破壊の余韻がまだ残る訓練場は高温に包まれ着弾地点にはクレーターが出来ていた。
“その中心に立つ人物が一人”
「これは一体なんの真似だ?私は最高威力の魔法を使えと言ったはずだが?」
「なん・・・で・・・な、なんで立ってるのよ!!!!!!」
「ありえない!!!!!ありえないわ!!こんなの!!!!!」
「どうなってやがる・・・!!!!!」
「ありえねぇ!ありえねぇ!ありえねぇ!!!」
「彼は一体何者なんですか!!!!!一体何をした!!!」
「まだ何もしていないが?もう お遊びはここまででいいだろう?お前の使える最高威力の魔法をそろそろ見せてくれ」
「・・・えっ?な、なに言ってるの?」
「お前の使える最大の魔法を私に向かって撃ってみろと言ってるんだ」
「さっきの“火の粉”がそうだったなんて言わないだろうな?」
「「「「「「・・・・・・・・・」」」」」」
「まあいい 出し惜しみするならこのまま死んでもらうだけだ」
これで戦意は完璧に折れただろう あとは少し脅せば降参する筈だ 王都にきて早々に高ランク冒険者を皆殺しなんて噂が広がれば外聞が悪すぎるしな。
「さて 私もお返しをしないとな “爆炎の玉”(フレア・ボール)」
「な、私と同じ魔法!?なんで詠唱なしで魔法が発動するのよ!!!?」
ゴゴゴッ と炎の玉は膨らみ続ける 先ほどの“爆炎の玉”(フレア・ボール)の遥かに超える規模へと膨張を続けその大きさは先ほどの数倍になっていた。
「わ、分かった!!!こ、降参だ降参する!!!!」
「ヒッ、ヒィ〜〜!!!た、助けて!!!」
「わ、私の魔法が・・・」
「こ、こんな事が・・・」
「“解除”(キャンセル)口ほどにもない奴らだ 自分の決めたルールに救われたな」
“解除”(キャンセル)によって火の玉は即座に霧散して消えた 対人戦ではフェイントに使われていた技術だ。
“爆炎の玉”(フレア・ボール)の威力は違うのはおそらく単純な魔力による違いだろう。
「か、勝った・・・のか?」
「ヴァルディさん!すごいニャ!!!!」
「ヴァルディ様は一体何者なんでしょうか・・・」
「・・・どうして・・・あんな魔法が使える・・・の?・・・あんな魔力・・・今まで少ない魔力量しか・・・見えなかったのに・・・今もそう・・・どうして・・・?」
「ヴァ、ヴァルディさん・・・もしかしたらって思ってましたけど・・・本当に勝っちゃうなんて!」
「勝ったぞリゼ殿」
「す、すごいです!!!ヴァルディ殿!!!あのような魔法も使えたのですね!!」
「あの程度はね・・・それよりリゼ殿 勝ったわけだが 何を命令する?」
「・・・実はもう考えてあります」
「お前たち・・・」
「な、なんだよ!!俺らを殺すつもりか!!」
「安心しろ、ヴァルディ殿のお力でお前たちをどうこうしたとなれば騎士の名にキズがつく」
「じ、じゃあなんだっていうんだよ!?」
「私はいい、ただ今まで馬鹿にしてきた事を私のパーティーに謝ってくれ」
「確かにお前達の言ってきたことは嘘ではない依頼に失敗して依頼人や冒険者に迷惑をかけてきた事は事実だ だがもう少しだけチャンスをくれないか?」
「リゼ殿・・・」
「・・・ッ!分かったよ・・・またそこの化け物の相手はしたくねぇ!もうお前らにちょっかいはかけねぇ・・・今まですまなかったな」
「オラ!お前らも謝れ!冒険者のルールだろ!」
「ッ〜!わ、悪かったよ・・・」
「クッ・・・!!!わる・・かったわね!」
「申し訳・・・ありませんでした・・・」
「お前ら もういくぞ!」
男達は割と素直に謝りトボトボとギルドに帰っていった。
「リゼ殿あれでよかったのか?」
「はい・・・元々私たちに原因がある事ですから それにバルドはあんな見た目でも悪い奴ではないんですよ?」
確かに攻撃の前に補助魔法もかけていなかったし本気で殺すつもりはなかったんだろう。
パーティー解散も俺が挑発して頭に血が上っての事だろう。
「あ、あの!・・・ヴァルディ殿・・・その・・・ど、どうして私たちのためにあそこまでして頂けたんですか?・・・」
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