文字が躍る戦闘

ふつれ

第1話

※こちらの文章は一行38文字以上の縦書き(38文字ではこの行は括弧閉じで終わる)で表示されることを前提に作成しております。ビューワーの設定や端末を変更して、そのような環境でご覧になることを推奨します。スマホにしますと、画面が縦長になるのでこの条件を満たしやすいと思います。それ以外の環境下では、意図しないレイアウトになる可能性があることをご了承ください。 


 ズバッ と。

 無造作に。

 奴

 が

 真

 横

 に

 振

 り

 抜

 い

 た

 刀

 は、

 俺の相棒の首を

         滑

          ら

           か

            に切り落とした。

 何よりも先に、恐怖がやってくる。次は俺がそうなるかもしれないのだ、という恐怖が。

 そして、遅れて。怒りがやってきた。

 俺の仲間を躊躇いなく殺した奴に。そして、一時でもソイツに気後れした、自分自身に。

 俺は深呼吸をする。

 彼我の距離は、まだ               十分にあった。

 夜闇に濡れる奴の影を、ゆら  かが   

              めく  り火がぼんやり照らしている。

 今なら、俺が圧倒的に有利だ。

      腰の箙――矢を入れておく筒だ――から、

   矢を一本、音もなく

      すっと、抜き出して、俺は弓にかける。

 息を殺して、奴に向けて弓を構えて。 大丈夫だ。奴はまだ俺に気づいていない。

  そ                                い。

   の                              な

    まま、                         すぎ

       弦を引き絞る。            に、力は入れ

             照準がズレてしまわないよう

             

 今ならまだ気づかれていない。

 間にあう。

 俺はゴクリと唾を飲み込んで。

 

                 すっと指を

                  離して

                   矢

                   を

                   打

                   ち

                   放

                   つ。

 

 ――そのとき。奴が不意にこちらを見た。 こちらを見た!? 奴の刀が

                              跳

                            ね

                          上

                        が

                      っ

                   て。

 飛来した俺の矢を一刀のうちに切り捨ててしまう。

 どうしてバレたのか。殺気を出し過ぎたのか。

 そう困惑しているうちに

           奴

           は

           俺

           と

           の

           距離を

           瞬間的に詰めてくる。

 もう一度。今度は俺の目の前で。

               奴

               の

               刀

               が

               右

               か

               ら

               左

               へ

 頬に触れる寸前で。それを何 と か弓幹で受け止めて耐えた。

               最

               小

               の

               動

               作

               で

               薙

               い

               で

               い

               く。

 

 刀と弓で押し合うわずかな膠着状態。

 俺が一度引こうと足を動かすと、それに合わせて奴に足を払

                            わ

                             れ

                              て、

                                体

                                ご

                                と

                                地

                                面

                                に

                                転

                                が

                                さ

                                れ

                                た。

         その隙を逃さず、

     

             ―――上から繰り返し         俺

                                は

             ―――振り下ろされる         さ

                                ら

             ―――刀               に

                                転

             ―――刀               が

                                っ

             ―――刀を。             て

                                泥

                                だ

                                ら

                                け

                                に

                                な

                                り

                                な

                                が

                                ら

                                回

                                避

                                す

                                る。

 くそ。絶望的な状況。

 空間的に上を取られて。

 立ち上がる隙は与えられない。

 しかも接近戦では、刀の初動に弓は間に合わない。

 俺の心は、折れそうになる。

 ――だが、


 こいつは、俺の相棒を殺したんだ。


 文字通り一矢報いなければ、俺はアイツに顔向けできない。

 だから、何か、しなくては――

 

 俺は、地面を転がりながらも、もう一度腰の箙に手を伸ばす。

 矢の束をガッと掴んで。

                   


                 手に一本だけを残して――。

                  

                 残りの矢たちを奴に向けて――。

                   

                 俺の体に覆い被さるように――、

      

                 刀を振り下ろしてくる奴に向けて――。

  

                 つぶてのように一纏めに投げつける――。


 奴が一瞬だけひるんだ。

 その隙を逃さず、俺は弓に、最後の一本の矢を番える。

                                 起

                                 き

                                 上

                                 が

                                 る

                                 間

                                 も

                                 惜

                                 し

                                 ん

                                 で。


 奴はすぐに体勢を立て直すと、再び刀を振り下ろしてきた。

                                 弓

                                を

                               引

                              き

                              絞

                             り

                             な

      ――俺は根性で左手を突っ張って。       が

                             ら

                             そ

                             の

                              刀

                              を

                               受

                                け

                                 る。

 腕

            が

     砕

         け

   る

               ような

        衝撃

                    に

 視界を チ カ チ カ とさせつつ、それを堪えた。


 来た。

 今だ。

 今しかない。

 奴は俺の弓に刀を振り下ろした直後。

 すぐには回避に移れない。

 一方の俺は、既に弦を引いていて、後は手を離すだけ。

 

 左手は痺れて感覚がないが、それでも。

 この至近距離で矢を外すはずがない!!!



 

             そうして俺は、直上へ向けて。一矢を打ち放った―――

 

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

文字が躍る戦闘 ふつれ @ffuture23

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ