彼氏彼女のなんとやら

バブみ道日丿宮組

お題:急なカップル 制限時間:15分

彼氏彼女のなんとやら

『今日付き合ってもらえる?』

 そうメッセージを飛ばしてきたのは、ほとんど交流のなかった少女(大学生)。

 グループ活動のときにお互い連絡先を交換したぐらいで、会話らしい会話も今までなかった。

 それが突然の呼び出しだ。

 驚きはしたが、特に用事らしい用事もなかったので、誘いを受けた。

「まずはきてくれてありがとう」

 待ち合わせ場所は、駅前のコーヒーショップ。

 清楚(黒髪ロング、ロングスカート)というのが当てはまるほどの容姿を持つ彼女にはピッタリの場所だった。

「それでいったいなんのようなんだ?」

 適当にコーヒーを頼むと、席につくなり本題を尋ねた。

「……私と付き合ってほしいの」

「付き合い? それは彼氏彼女の関係という?」

「そう。その彼氏彼女」

 一口彼女がコーヒーを含む。

「親が紹介しろってうるさくてね」

「それはいるって言ってたことだな」

 そうでないと、紹介しろだなんて言わない。

「お見合いさせようとしてくるんだもの。彼氏の一人や二人いなきゃ、言い逃れできないじゃない」

 逃げれてないし、追い込まれてる。

「いい加減紹介しないと、そのうち部屋に乗り込まれる。さすがにそうしたら、バレちゃう」

「同棲でもしてる設定なのか?」

「結婚まで決めてるって言っちゃった」

 言っちゃったじゃないだろう。大問題だ。王手された。

「それでどうして、俺に?」

 気になるのはそこだ。大学にはイケメンも、お金持ちもかなりいる。彼女の容姿からすれば、選び放題に思えてならない。

「グループ活動のとき、私を気にかけてアドバイスとか、発言させてくれたでしょ。それが……その……」

 もじもじ。

「嬉しくて、ずっと記憶にあったの。それで付き合うなら、優しい人がいいなって思って……」

 もじもじ。

 なんだこの動物可愛いかよ。

「ダメかしら? 私じゃダメ? もしかして、付き合ってるこがいたりする? いない?」

「ダメじゃないし、彼女なんて作れてないよ。この容姿だもの、仲間はずれにされることのが多いよ」

 ぽっちゃり系メガネ。典型的なオタクというやつだ。

 改善しようと何度も挑んだが今になおらない。

「きっと食生活がダメだと思うの。そこで私と一緒に暮らせば、きっと痩せれる」

 素直にデブと言われたほうがダメージが少ないぞ。

「別に私はあなたの外面で判断してるわけじゃないの。内面に惹かれたってことよ?」

 わかってるよ。

「それで付き合ってもらえるのかしら?」

 赤面。

 慣れてないんだろうな。というか、恋人がいたような様子もないし、ひょっとするとひょっとするかもしれない。まぁこっちもないんだけど。

「売れ残り商品でいいのであれば」

 断る理由がなかった。

 

 そうして、俺たちは同棲をはじめた。

 最初は混乱が多かったけど、次第になれ、本当の恋人になれたと思う。

 親御さんからの視線は悪かったけれど、堂々と彼氏をアピールした。

 そして大学を卒業後は、すぐに結婚した。

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彼氏彼女のなんとやら バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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