貴婦人転生~七生八重子、七度の転生
倉沢トモエ
転生女子高生
1 鍋島啓太は七代目
ええ。
〈猫は七代祟る〉と申しまして、非常に執念深いと昔から言われております。
しかしこの〈七代〉てえのは、ぜんたいどのくらいの長さになるんでしょうかな。
ひと世代はだいたい三十年で数えるそうなんです。
となりますと、サンシチニジュウイチの、ざっくり二百十年祟るということになりまして、なかなかの執念ということになりますな。
「おい!
そんな風に落語の稽古をしておりますと、うちのブチャ公がやかましく呼びつけていけません。
「足りねえぞ、カリカリがよお!」
白に黒ぶちの猫。
ブチャ公は、ほんとうは〈ブチ
「悪い悪い。猫缶開けるから」
「はやく! はやく! 俺っち腹ペコだい!」
ここはそもそも落語研究会の部室なんでございますから、下手でも部員が一人しかいなくても落語の稽古をしているあたくしが正しいんでありまして、決して猫のおやつスペースなんぞではないんですよ。はいはいはい!
「ううむ。今回の猫缶はアタリだなあ。へへへ、匂いでわかるぜたまらねえぜ」
ヨダレがすごいんですが、まあ、食べるものは与えたのでほっておいていいでしょう。
「ええと、」
忘れちまったじゃないですか。
「大体、お前っちみてえな
猫缶を頬張りながらしゃべるのはやめてほしいもんですな。
「おっしゃいますが、そんなわけにも参りませんよ。ひとつ怪談ばなしをこさえて、部員を増やさなきゃあならないんですからねえ。あたくしの代で廃部となっちゃあ、先代に申し訳が立たないですよ」
「先代って、ただの卒業生だろうよお。だいたい配信で部員なんざ増えるのかよ、百年早いんだよ」
夏休みにひとつ配信をしてはどうかと、映研の親友、
「その前に中間テストが散々だったじゃねえか」
「それを言っちゃあ、おしまいですよ」
あたくしは扇子でブチャ公をぴしりと指しました。
「親しき仲にも、なんとやらと言うでしょう」
「ジジくせえなあ、お前さんはよお」
なんというやかましい猫なんでございましょうか、うちのブチャ公は。
それもそのはずで、こいつは家に代々祟っている猫又なんでございます。
猫は七代祟ると申しまして、あたくしがその七代目に当たりますもんですから、やれやれ、やかましいのも祟りです。もうしばらく付き合わなけりゃあいけないのです。
◆
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